『クーガータウン』
離婚して子供1人がいるアラフォーのシングルマザーが、やたら早口で「年齢が何よ。私だって若くてピチピチしたオトコと寝たいわ」なんていうことをしゃべりまくるテレビドラマを見ました。
タイトルは『クーガータウン』。いわゆる肉食系の中年女性を「クーガー女」と呼ぶそうですけど、この番組から生まれた言葉なのか、その言葉を反映した番組なのか、どっちがニワトリかタマゴが知りませんけど、セックスも含めて、というより、それがメインと言うべきか、とにかくアケスケに女性の欲望や不満が語られていきます。
女性だって性欲はあるわけで、そうしたホンネが冗談混じりの会話に仕立てられているのは大変に面白いですけど、そんな女性が近所にいたら、いかなる美貌でも、ボクは歓迎する気分にはならないでしょうね。
タテマエよりホンネという傾向は、インターネットによって加速されてきたような気がしますが、ホンネって実はあまり美しいものではなく、他人にとって決して魅力的とはいえません。かといって、近頃の政治家が体現しているように、タテマエばっかりでやっていることは全然違うというのも不幸な話です。
でもね、男女関係に限っていえば、タテマエとホンネの間に淫靡なエロスが存在するんじゃないかなぁ。
以前に、ある女性の大学教授を取材した時に「欧米の人は自分の肉体を精神の乗り物みたいに考える傾向ってありませんか」と質問したことがあります。だから、体調が悪いと感じたらすぐにアスピリンを飲んだり、医者に行くのはまったく当然のことで、なんでグズグズしているのよ、てなことになります。ブレーキがうまく動かなきゃすぐに整備工場に出す自動車みたいな感覚です。
美容整形だって、自分の顔に醜いところや気になる部分があったら、それを改造して何が悪いのかと。脂肪が体形を崩しているのであれば、外科手術ですっぱり取ってしまう。ここまで行くと、逆に過剰な肉体美信仰ともいえますが。
そんなわけで、ボクたち日本人もそのように割り切ったほうが、生きていくのにラクなんじゃないか。たとえば処女崇拝なんか実にクダラないことですよね。貞操だって、肉体と精神は不可分という意識から生まれたんじゃないか、なんて言ってみたわけです。
すると、その教授は「私はそうは思いません」と否定されました。随分以前のことなので、失礼ながら詳細は忘れてしまいましたが、源氏物語などの研究者らしく、そうした割り切りからは、深い情念は生まれてこないのだと喝破されたのです。
意識して挑発的な質問をするタチなもので、ボクもその通りだとあっさり撤回しましたが、今や現実は肉食系クーガー女ですもんね。このドラマが人気を集めて、「あ、じゃ私も」なんてことになるのはくれぐれも避けて欲しいなあ。アケスケなところに陰翳はありません。谷崎潤一郎ではありませんけど、アケスケなところに色気なんてものは棲息できないですよね。その意味では、女性の和服はつくづく良くできたファッションだと思わざるを得ません。そこのところを忘れると、むしろモテなくなりまっせとボクは思うのですが。
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