給料はいりません!
やはり怖れていたように、この大不況には二番底がありそうです。 グローバル化のおかげで、ドバイの債務返済猶予がヨーロッパ、アメリカ、そしてアジアにまで直接的な影響を与えました。 職のある人はまだしも、新卒の内定率も大幅にダウンしており、1年がかりの就活という学生も珍しくないそうです。個人の努力と景気は関係ないとはいうものの、運が悪いといえばこれほど悪いこともありません。 企業も「厳選採用」を進めているらしくて、求人枠を無理して満たすつもりもないようです。こうなるとダブルパンチで、全体として就職難の上に、個人としても内定が複数取れる人とゼロという二極化が進行していくことになります。何とも救いようのない事態であり、こんな時こそ政治や行政が効果的に機能しないといけません。大丈夫かよ、民主党! そこで、自分の就職時を思い返してみました。 ボクの場合は大学中退で最初から大きなハンデがあり、しかも出版関係志望ですから無理もいいところ。だから、中途採用していた50社くらいに完璧にフラれました。当時はマガジンハウスも学歴不問だったので応募しましたが、入社試験が何と神田の明治大学。複数の大教室にズラリと受験者がいて、規模も会場も様子もまさに「入学試験」のマンマでした。 あの頃は編集プロダクションもなくて、今ほど敷居が低くなかったのです。 それで、亡くなった作家の色川武大氏、別名・マージャン小説の阿佐田哲也氏ですが、彼のエッセーに書いてあった方法を完全コピーすることにしました。 「雇ってくれたら、給料はいりません!」 労働基準法もあるから、まさか本当に無給で働かせないだろうという姑息な読みもあったのですが、これが効いたせいか何とか社員に潜り込むことができたのです。 それで、2000年頃に若い人にこの方法を勧めると、「もう通用しませんよ」と言われてしまいました。同じことを誰かが書いたらしく、みんな似たようなことを申し出たというから驚きます。 確かに、就活時の言葉は昔は「自己実現」でしたが、ちょっと前は「社会貢献」という具合で、流行というものがあるらしいんですね。 就活本も、ボクの本などをはるかに上回る勢いで売れているらしいですから、きっと採用担当者は似たようなことを言う学生ばかりに出会っていると思います。かといって、奇策が通じるほど世の中は甘くありません。 ボクは、面接に関しては「顔」が勝負ではないかと個人的に思っています。別にイケメンである必要はなくて、自信のなさは顔にどうしても出てしまうということです。逆にワガママな唯我独尊でもバレます。「オイラが入社したら、ぐっと儲けさせまっせ」くらいな顔つきかなあ。ただし、相手が「負け顔」の時は、強い押しはナマイキに感じられて逆効果になるので控えめがポイントです。 あっ、とすれば「給料はいりません!」よりも「御社の利益を10%アップさせます」というトークが有効かもしれません。「ではどうやって」と必ず訊かれるので、その準備はきちんとしてください。 それに、よく言われるコミュニケーション能力とは多弁のことではありません。相手に通じる言葉をやりとりすることが大事なので、ベラベラと量だけ多くてもコミュニケーションしたことにはならないのです。場合によっては一言二言のほうがインパクトを与えることもあります。 おっと、本題を忘れていました。 別のブログでも一度書いたのですが、コメディアンで今は俳優といったほうが適切な小松政夫さんがこう言っていました。 「芸人には波があってね、ヘコたれないで、次の波がくるまで頑張れるかどうかが正念場なんです」(『ジッポウ』2007夏号、ダイヤモンド社) 植木等さんが亡くなった直後の取材の時で、あれほど有名な植木さんでも、ビッグネームゆえに不遇の時があったという話から出てきました。 ボクたちだって、芸人みたいなものです。「捨てる神あれば、拾う神あり」とも言うじゃないですか。そのためには、絶対にヘコたれてはいけない。こんなことしか言えないのでは、このブログのサブタイトルが泣きますが、諦めたらそれで終わりなのです。 それに会社は東京や大阪だけにあるわけではありません。地方の会社でも、小さな会社であっても、自分の力で大きくして東京事務所を作ったり、株式上場させればいいのです。そうした意欲が顔に出るようになったら、内定も近づいてくるはずだと思うのです。
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