つなぐ人
インターネットで情報流通は大変に便利になったように見えますが、取材で現場を歩いていると決してそうでもないなあと感じさせられます。
大きな話題は洪水のようにあちこちで紹介・掲載・報道されても、小さいけど大切な話題や素材が、その陰になってしまうことがザラにあるからです。そして、活用されない情報が結構眠っていたりします。そんな情報が人間によってネットワークされて初めて、価値を持ったり、新しいビジネスが生み出されていくのではないでしょうか。
日本経済新聞4月12日付け夕刊では、司法試験や公認会計士の合格者に対して、一般企業への就職を支援するビジネスが増えてきたと報道されていました。
ボクは資格も得意分野にしている関係で、司法研修後の就職難という問題がずっと気になっていたのです。
就職先くらい自分で探すのが本筋といえばそうですけど、法科大学院を修了して司法試験に合格。司法研修だってクリアした人材が、ムザムザと無職まがいでは社会的にも大きな損失となります。
そうした人材ニーズはどこかに必ずあるはずです。しかしながら、それをマッチングさせる機関がなかったわけですね。日弁連もそれなりに努力はしているようですけど。
そこで彼らを本格的に斡旋するビジネスが生まれてきたらしく、その中には法科大学院修了後に受ける司法試験で残念ながら3回目も不合格だった法務博士(専門職)ホルダーも含まれているそうです。これは大変に歓迎できる動きではないでしょうか。
公認会計士試験に合格したけど、不景気で採用を絞った監査法人に入社できなかった人たちも同じで、こちらは経理のアウトソーシング会社が企業の財務部などに紹介する事業を開始したと新聞では報道していました。
合格者を絞って有資格者の利権を保護する政策は、どう考えても国際的な標準に反するとずっとボクは書いてきました。しかし、合格者が増加したのに行き先が乏しくなるというのもおかしい。自分の能力やスキルで競争する市場が最初から与えられなければ、実力も発揮できないからです。
そんな理由から、こうした専門人材と企業のニーズをマッチングさせる紹介業が登場してきたことは評価できます。それによって、ボクがかねてから書いてきた有資格者の活躍の場の拡大にもつながります。弁護士は弁護士事務所、公認会計士は監査法人に就職するためだけの資格としたら、あまりに限定的で、人材もあふれるに決まっていますからね。
同じように、他の専門的な人材と会社、技術と会社、技術と技術、あるいは会社と会社を「つなぐ」ビジネスがこれから伸びていくのではないでしょうか。
会社を巣箱とすれば、これらの間をミツバチのように飛び回るような「つなぐ人」が求められていると思います。もちろん日本と海外も含めて。
特に外回りの営業系の人たちは、この「つなぐ」ことを意識しておくと、新たなビジネスチャンスが見えてくるはずです。
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