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2010年6月 7日 (月)

あるキャリアチェンジの話(後編)

 前回紹介したMさんは司法浪人から、不動産信託、つまり金融系へとキャリアチェンジして高収入を得るようになりました。

 では金融関係の業種はおしなべてそんなに収入がいいのかというと、リーマンショックで打撃を受けたとはいっても、回復は意外に早かったようです。

 まず、第一に金融経済は実体経済をはるかに超えた規模になっています。日本人の金融資産だけで1200兆円とか1400兆円ともいわれますからね。

 ネットトレードで大金持ちになった若者が象徴するように、こうしたおカネをうまく動かせば、モノづくりよりもはるかに効率的に大金が得られます。その是非はともかく、今でもFXなどが話題になっているように、私たちはすでに金融経済にどっぷりと浸かっているわけです。

 昔は大金を投じて工場を作り、モノを生産し、それを販売しておカネを得ていました。今では、あり余った(極端に偏在していますが)おカネを働かせることで、さらにおカネを産み出す産業が前面に出てきたのです。

 日本のモノづくりは人件費の安い海外にどんどん流出しており、いわば国際分業の結果として、金融が先進国の主要産業になっているのではないかと考えられます。もちろんハイテク分野や熟練産業は別であり、特許など知的財産系も非常に大切ですが、そうした独創性を持たない製造業が国際分業の中で生き残ることはますます困難になるでしょう。

 そして、おカネをたとえば従業員と考えれば、彼らは給料も福利厚生も休みすら要求しません。24時間、働き続けることができます。さらに、1人のトレーダーは1日で何億円も動かしますから、数少ない人間のマネジャーによって、膨大な数のおカネという従業員が休みなく稼働しているようなものです。頭は徹底的に使いますが、利益効率は工場などに比べてものすごく高い。だから高収入が得られるという仕組みです。この構造は、莫大なお金が動く不動産信託にしても、関与する人たちが増えるだけで、基本的に変わりはありません。株式投資も債券投資も、不動産信託も外貨投資も、お金を派遣する相手先と考えれば分かりやすいでしょう。

 もちろん運用には失敗も伴いますが、私たちはもう少し、そうした金融経済社会にいることを認識したほうがいいと思います。

 さらに、このおカネの派遣先は国内だけに留まりません。

 ちょっと古いデータですけど、財務省の国際収支統計によると、06年上期(1月~6月)の海外証券投資の収支は、(この時点で)過去最高の約5兆2500億円だったそうです。しかも、そのうち債券投資からの利子収入は約4兆6300億円に達しています。元金抜きの利子だけで、この規模ですからね。

 米国債が多いことは誰でも想像できるでしょうが、こうした海外投資は各種の金融機関が窓口となり、国際的な投資信託会社によって、誰でもできる時代になっています。ということは、私たちの少なからぬおカネが(国内は低金利ですから)、どんどん海外に出稼ぎしているという状況なのです。

 こうした投資信託のファンド・マネジャーも、高給であることが知られています。

 うーむ。やはり金融系は有望なのでしょうか。

 スピリチュアルのテレビ番組でお馴染みの美輪明宏氏は、もともとはシャンソンを得意とする歌手であり、40年ほど前には「ヨイトマケの唄」をヒットさせました。

 オカーちゃんのためならエンヤコラ、で始まる名曲であり、中高年ならほとんどの人が知っているはず。近年になってサザンの桑田など複数の人気歌手がカバーしているので、若い人でも聴いたことがあるかと思います。

 汗まみれ泥まみれの土木作業に携わる母親に育てられた子供の視点から、感謝と愛情を表現した歌であり、1966年に発表されたのですが、なぜかすぐに放送禁止になってしまいました。歌詞の中に土木作業員を意味する差別用語があったからです。もちろん、そんな意味で使われていたはずはなく、まさに「きっこのブログ」でも指摘されていた「言葉刈り」の典型ですが、それが理解されたせいか、ようやく最近になって解禁されたようです。

 何度聴いても心の中にしみ込む名曲であり、歌詞なのですが、「ああ、これは昔の歌なんだな」と感じさせるフレーズが最後のほうに出てきます。ヨイトマケという言葉自体も現代では通用しませんが、苦労して育てられた子供が高校・大学を卒業して、立派な社会人になります。その職業が、エンジニアなのです。昔は母親たちが苦労して人手でやっていた土木作業も機械化され、その子供は成長してエンジニアになった。歌詞では表現されていませんが、「かあちゃんに誇れる花形の仕事に就いた」、というニュアンスが込められています。

 このあたりが、昔を感じさせるわけです。ボク自身は、その歌詞のように、エンジニアは立派な職業だと思っています。日本の高度成長を支えてきたのは製造業ですから、彼らが現代の繁栄を築いたといっても過言ではありません。親父が旋盤工だったこともあって、ボクのような売文業に比べて、社会的にも、はるかに重要な存在だと考えてきました。

 ところが、10年前に比べて大学の工学系の志願者が半減したというデータがあります。いくらか回復してきたとされていますが、法律や経済系に比べて人気が低落傾向にあることは事実のようです。

 その原因として、企業内で経営幹部に登用されるチャンスが少ないとか、メーカーの給与が低いと指摘する人がいます。実際に、ボクも高校で文系理系に分かれる時に、親父から「理系なんて人に使われるだけだからヤメとけ」と言われたことがあります。だから文系に進んだのですが、それでも「人に使われる」身ですから、ボクに関しては親父の言葉はあまり当たっていません。

 いずれにしても、工学系の人気が低いというのは、「工業立国」でやってきた日本にとっては憂慮すべき状況だと思います。「青色ダイオード」の発明者が指摘するように、エンジニアや研究者が金銭的に確実に報われるような会社や社会にしないと、工学離れは根本的に解決されることはないでしょう。

 だから、「ものづくり」を経済の基本と考えたいボクの個人的な本音としては、「富の平行移動」を主業務とする金融系のキャリアについてあまり紹介したくはないのです。でも、国際分業を前提とすれば、金融業のウェイトはますます高くなっていくでしょう。

 金融は実体経済の血液であり、うまく動かすことで産業が成長していきますから、社会的な意義もあります。公的年金なども、お役人がもっと上手に運用していれば、少子化で慌てずに済んだのではないかとすら思います。

 また、1999年にロンドンの金融街、シティで活躍する若い社長を取材したことがあります。彼は年金などを運用する投資会社を経営しており、相当な収益をあげていました。住まいはロンドンの中心部、ベンツの高級スポーツカーも所有しており、バリバリのニューリッチです。しかし、他人のお金を動かして、できるだけ高い利回りを実現する仕事ですから、彼自身も「少し前まではギャンブラーの一種だと思われていた仕事だよね」と自嘲していました。

 面白いことに、一般の労働者は、そんな彼らを「スーツ」と呼びます。決して羨んでいるわけではなく、自分の仕事に誇りを持つゆえの蔑称ということですね。そんな「スーツ」が仕事を終えてパブに集まり、ビール片手で談笑する場面も見ました。全員がダークスーツで、なるほどと感心した次第です。

 ついでに紹介すると、彼の会社には本格的なキッチンがあり、クライアントとのランチ・オン・ミーティングでは本職のコックを呼ぶそうです。巨額の資金運用に関する打ち合わせというか説明ですから、その動きで投資先の株価が変わったりします。外部ではどうしても情報が漏れることがあるため、社内で、ということなのでしょう。

 このようにロンドンのシティが活況を呈したのは、マーガレット・サッチャー元首相による規制緩和、金融ビッグバンのおかげであり、日本もいささか遅ればせながら、ほとんど同じ道を歩んできました。もっとも、シティでは「ウィンブルドン現象」と揶揄されるように、外資系企業が勝ち組になっているようです。テニスのウィンブルドンでイギリス選手が上位に来ないように、シティでも外資系企業が主役になっているという意味です。前述した彼の会社も、実はフランス系投資銀行を親会社としていました。

 

 それはともかく、金融系に興味を持つ人も少なくないはずなので、この分野に関係する資格から、サラリと紹介しましょう。個々の資格をもっと知りたいという人は、ボクの『価値ある資格-厳選200』(ダイヤモンド社)、または『国家試験資格試験全書』(自由国民社)を参照してください。

 

 まず、ビジネスに直結する営業系ですが、証券会社などで証券業務を行う人のための資格として「証券外務員」(日本証券業協会)があります。これまでは日本証券業協会の会員企業の社員しか受験できなかったのですが、04年9月から誰でも受験できるものとなりました。従って、証券会社への就職・転職には有望と考えられます。

 この資格は2種と1種の2つがあり、一般の人でも受験できる2種の場合は信用取引・先物・オプション取引などリスクの高い商品に関する外務はできません。2種を取って、実務を経験してから1種を取るというプロセスになります。

 この証券外務員は、その名称のように、簡単にいえば株式や投資信託などの営業担当資格ですが、証券界には「証券アナリスト」(日本証券アナリスト協会)というハイレベルな資格もあります。資産運用を指揮するファンド・マネジャーまたは証券調査などを行うリサーチアナリストになれる資格ですが、1次試験と2次試験があり、それぞれ長期の通信講座受講が条件になっています。

 生命保険業界では「生命保険一般課程」という試験がありますが、これは保険会社などに就職してから受験する、いわば業界内資格となります。

 この保険業界では、「アクチュアリー」(日本アクチュアリー会)という特殊な資格もあります。数理人とも呼ばれており、要するに保険の「料率」を計算するスペシャリストです。年齢別の死亡率や自動車事故率などを確率や統計学を駆使して分析し、適切な掛け金などを算出するわけです。2次の専門科目試験では生命保険、損害保険、年金の3コースに分かれています。すでに業務として行っている人のための資格なので、一般的とはいえないかもしれません。

 銀行に関しても、金融窓口サービス技能検定(技能士)などがあります。こうした銀行系の資格に関しては、金融財政事情研究会のHPが詳しいので、そちらを参照してください。

 これらは業界直結の資格ですが、横断的に使える資格として、ファイナンシャル・プランナーがあります。個人の資産運用に関するスペシャリストですから、金融だけでなく不動産業界などでも役立ちます。ただし、国家資格のファイナンシャル・プランニング技能士と、日本FP協会によるAFP、CFPという2つの資格があります。入口はファイナンシャル・プランニング2級技能検定試験で共通しているのですが(AFP受講者などはAFPとして登録可能)、上級では1級技能士とCFPの2種類に分かれています。

 

 税理士、公認会計士も金融系に関係するほか、中小企業診断士やMBA(経営管理学修士)も財務諸表などを分析できることから、金融系で役立つ資格といえるでしょう。

 外資系であれば、米国公認会計士も威力があります。実際に、この資格を取得して外資系の投資銀行に転職したSEもいます。

 こうした資格だけでなく、会計やファイナンス(財務)を学ぶ専門職大学院に進学するというのも有効です。中でもファイナンスを学べる専門職大学院はまだまだ少ないので、本格的な財務や投資運用、あるいはデリバティブなどに携わりたいという人は、資格よりもオススメかもしれません。

 サラリと資格や大学院を紹介しましたが、どんな業界もそうですが、特に金融の世界では実力が勝負。人のおカネを扱うだけに、高収入というだけでなく、運用に失敗すれば直接的な損害を与えることになります。資格や学歴はあくまでも入口にすぎないので、くれぐれも過信しないように。

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