採用面接の影
窓際で撮影したのでしょうか、彼の背後にはブルーのカーテンがありました。しかも、ポロシャツ姿で、右手はピースサインです。
こんな写真が履歴書に貼ってあったら、中身なんて読まないで即座に不合格ですよね。さらに、職歴には有名出版社名がズラズラと「、」でつながっていました。そこで何をしたのかも明らかではありません。
彼は、かつてボクの同僚でした。
最初から理解できない行動を取っていたので、なぜ、こんな男が選抜されたのか不思議でなりませんでした。
後で知人のルートからもれてきた情報によれば、サラ金のブラックリストにも名前が上がっていたそうです。
そのうちに、法外な図書資料代をもらっていたにもかかわらず、本も領収書も一切提出していないことにボクが気付いて、やっと問題社員であることが判明しました。
多数の応募者からボクと彼のたった2人が選抜されたのですけど、この時の面接担当者は、彼ではなく、ボクの採用に最後まで反対していたそうです。このため前の会社にまで電話して履歴書を確認していたというから、手が込んでいます。
この面接担当者は「能力は後で高められるが、性格は変わらない」というのが持論でした。それでもポロシャツにピースサインはどうかと思いますけど、とにかく彼はボクの性格がとことん気に入らなかったようです。
普通ならここで落ちたはずですけど、ある人が「彼は面白そうじゃないか」と後押ししてくれて、ボクは入社できたのです。
この面接担当者は社内でそれなりの立場にあり、どうやら自分よりデキそうな奴や邪魔になりそうな奴は排除していたらしいと気づきました。
中小零細企業では、こうしたことはママあります。だからこそ大手企業は採用を恣意的な判断が入りにくい人事部に任せているわけです。
だから、面接は時として客観的でも何でもなく、人の思惑がきっちり入り込むものなのです。仮に落ちたからといって、能力や人格が全否定されたわけではありません。その会社で、そいつが面接したからダメだったということも大いにあり得ます。
タマタマ偶然だったり、人と人との出会いの妙みたいなものですから、就活中の皆さんはヘコたれずに頑張っていただきたいと、自分の体験をサラしてみたわけです。
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