PFIとプロ経営者
2月23日のプログ「21世紀人材(14)公民連携」で、これからはPPP(パブリック/プライベート・パートナーシップ)の専門人材が必要になると紹介しました。合わせて政府がPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)の改革も進めているとしましたが、本日の日本経済新聞朝刊一面(3月9日)で、その最終案の骨格が報道されていました。
分からない人には何のこっちゃというテーマですけど、要するに社会資本の整備に民間資金とノウハウを活用していくということです。これまでは公務員や学校関係のハコモノがほとんどだったのですが、これを一気に拡大して、上下水道や医療・福祉施設、港湾の建設・運営などにも民間が進出できるようになるということです。
すでに羽田空港の新国際線ターミナルもPFIで運営されており、大阪国際空港と関空との経営統合にもコンセッションと呼ばれる新方式のPFIが適用されるようです。ボクも勉強不足なので申し訳ないのですけど、このコンセッションとは国や自治体は公共施設の所有権を維持しながら、開発・運営などの事業運営権を民間に譲渡するという、もう一歩踏み込んだカタチと考えられます(同日・日本経済新聞「きょうのことば」)。
いずれにしても、水道などの公共事業をほとんど民間経営できるため、資金調達なども幅広くできるようになり、一方で自治体は事業運営権の譲渡によって財政赤字の解消や、コスト削減を進められるというわけですね。
何で今までやらなかったんだろうと思うくらいの合理的な話ですけど、その背景にはおそらくインフラの輸出も想定していると思います。
お役人任せでは輸出の営業やネゴなんて無理ですから、簡単にいえば公共事業から「所有と経営」を分離することで、効率化と輸出拡大を狙っているのだろうと推察できます。
前のブログでは、このPFIも含めたPPPは「将来的には10兆円規模の市場に成長する可能性も」と書きましたけど、いよいよ現実化しそうな動きになってきたわけです。
しかしながら、こうした公民の連携には難しい側面が少なくありません。特に公共事業ですから、一方的な効率重視だけの経営や運営ではダメなわけです。かといって、民間ですから利益を上げられなければ持続は不可能。公共の利益と事業としての利益を両立できる経営や運営が求められることになりますが、ここを甘くすると、ヘタすれば第三セクターと同じ結果になりかねないわけですね。
だからこそ、PPPの専門人材は21世紀人材であり、大学院も設置されていますよと紹介しました。
まあ民主党政権ですからね、この最終案がどこまで実現されるか分かりません。けれども、国も自治体も膨大な財政赤字を抱えており、PPPを導入しない限り、国民に対する各種サービスはジリ貧になっていかざるを得ません。その意味では必然的な進化といえるのではないでしょうか。
そして、法律が施行されても、事業を動かしていくのは人材です。きちんとソロバンがはじけて、かつ国民や社会全体の利便性や幸福を追求できる人材。要するに、プロの経営者や事業運営の専門家が求められているわけです。
こんなことは民間企業でも、観光を積極化している自治体も同様でしょう。極論するなら、日本にはプロフェッショナルな経営者があまりにも足りないのです。PPPに限らず、MBAなどの大学院で、今のうちに経営を本格的に勉強することをオススメします。
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