ブルガリとLVMH
高級ブランドでは世界最大のグループであるLVMHが、ブルガリを買収したと発表されました。51%の株式を取得したそうですから、ブルガリの経営権はLVMHに移行することになるわけです。
ファンやユーザーにはあまり関係のない話ですけど、ボク自身はちょっと感慨深いものがあります。というのも、時計業界では2000年頃に大きな地殻変動があり、ブランドの買収が活発に行われたからです。
カルティエ率いるヴァンドーム・グループがリシュモンに完全統合されたのは1999年。2000年からウァンドームという名称もなくなりました。加えてリシュモンはこの年にジャガー・ルクルト、IWCなども傘下にしています。
詳しいことはいずれ有料記事で書くことになるでしょうが、この頃にブルガリはダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタという時計ブランドを買収しています。当時、ボクはそれに関してCEOにインタビューしており、それから約10年。こうした経緯から「感慨深い」と表現したわけですね。
取材してみないと何とも言えないのですが、世界的にはあらゆる産業でM&A(企業の買収・合併)が活発に進行しています。日本企業の場合は、世界の市場に出ていく拠点づくりの意味が強いようですが、いずれにしても、M&Aによって資本力や商品力、シェア拡大といったパワーの増強が期待できるわけですね。
高級ブランドでは、そのほかにも大きな資本グループがあり、要するに世界のラグジュアリー・マーケットをガチンコで取り合ってきたと表現できます。こうなると、人気の高いブランドをグループに引き入れるのは当然のことであり、不人気で改善が見込めないブランドは売却されることになります。一方で、そうしたブランドを買収して建て直そうとするグループもあり得るわけです。
もちろん、あくまでもブランドの独自性を維持するために、いかなるグループの傘下にも入らないインディペンデントにこだわる会社もあります。
いずれにしても、大資本による熾烈な戦いの一端が、今回の買収からかいま見えてくるわけですね。
もっとも、老舗の高級時計に関しては、創業家が経営を続けてきたブランドのほうが少なく、一度は消滅したブランドが復活することも珍しくありません。ブランパンなどはその典型でしょう。つまり、M&Aによって数多くのブランドが生き延びてきたといっていいのです。
それに比べて、日本では同族支配が長く続いてきたせいか、世界市場を目的にしたM&Aは始まったばかりといえるかもしれません。
こうしたパワーゲームでは明らかにビジネスはアグレッシブな「肉食系」となります。消費者である限りはまったく関係のない話でも、その中に飛び込むのであれば、のんびりした「草食系」ではいられません。経済学はもちろん、財務会計や金融・投資などの知識も不可欠になってきます。
そうした勉強を学生時代に、あるいは社会人になってからでもやっておかないと、すぐに「間に合わない」人材になりかねません。
だからこそ、ボクは経営系大学院=ビジネススクールで学ぶことをオススメしてきたわけです。
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