明日は明日の風が吹く
1980年代後半がHIV、1990年代初頭にはBSEが大騒ぎとなったのに、今ではすっかり忘れ去られたかのようです。前者はエイズ、後者は狂牛病でしたが、英語の頭文字になるとリアリティも失うのでしょうか。
HIVについては年間の感染者や発症者が発表されていますが、新聞の扱いは極めて小さく、BSEについても米国産牛が輸入再開となってからまったく聞きません。エイズの特効薬が開発されたわけではなく、異常プリオンだって解決策はまだないはずです。
にもかかわらず、あたかもそんなことがなかったかのように、ボクたちは生活しています。
こうした忘れっぽさは、日本だけのことではないでしょう。特に今は原発の放射能問題のほうが緊急で切迫しているので、そんな昔のことを気にしてられるかということもあるのでしょうね。
ボク自身は、自分でも呆れるくらいの悲観論者でございまして、天が落ちてくるとは考えないまでも、何でもかんでもネガティブに考えるタチです。おかげでHIVが派手に報道された時は自分もそうではないかと心配したり、BSEもどこかで食ったのではないかと本気で不安になりました。それからおよそ20年余を経て、何もないことは明らかとなりましたが、これからは分からないじゃないですか。
そんなわけで、焼き肉やステーキを食べる時は国産にこだわり、狂牛病が発生していないオーストラリアとニュージーランドまでは許す、と固く決めていたのですが、さすがに最近はもういいかとチェックがルーズになってきました。心配するほうが精神の健康に悪影響を与えるということがありますからね。それに原発事故で、日本産なら必ずしも安心とはいえない事態もありました。
直下型地震と同じく、誰でも完璧な危機回避は不可能なのですから、ある程度のリスクは仕方がないと受け入れるほかありません。宝クジに当たる人がほとんどいないように、よほどリスキーな生活をしていない限りは、こうした不運に当たらないと考えるほうが自然ではありませんか。
このように考えるようになったのは、やはり陽気が良くなってきたからかな。凍えるような冬にエヘラエヘラと笑っているほうがちょっとヘンです。いくらか寒く感じられても、明るい時間が長くなれば、気分も変わってきます。
人間というのは深く物事を考えられる反面で、実にまったくテキトーなんですよね。さもなければ、生き抜いていくことはできないでしょう。
とすれば、ですよ。来年新卒予定の皆さんの就活も同じで、あまり深刻に考えないほうがいいでしょう。とはいっても、一生の大事ではないかと文句を言われそうですけど、公務員試験を除いて、今からできることは限られているじゃないですか。ヘタにジタバタするよりドッシリ構えたほうが採用側の印象も良くなるはずです。
明日は明日の風が吹く。
真剣に悩みに悩んで底にまで至れば、いつか夜が明けるように、ノーテンキでテキトーの何が悪いのかと居直れるようになるはずです。何のことはない軽度の躁鬱ですけど、人間というのはそういう生き物であるとやっと実感できるようになりました。
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