内なるマニュアル
ボクの行き付けのコンビニが、なぜだか急に新しいメンバーばかりになって、愛想が大変に良くなりました。コンビニに商品以外のホスピタリティなんて最初から期待していなかったので、あまりの豹変ぶりに面食らってしまいました。
おそらく従業員トレーニングとマニュアルのタマモノかと察しますが、2種類のタイプがあるんですね。指示通りの手順と言葉で接客していれば問題ないはずという、まあ魂のほうはどこかに置き忘れたタイプ。もう一つは、このように教えられたのはこういう理由があるからで、だったらこういう時にはこうすりゃいいかな、という余計なことまで考えるタイプ。前者は表情に乏しく、後者は活気を感じることから想像がつきます。
言うまでもなく、サービス業のホスピタリティの本質は後者にあるわけですが、トレーニングやマニュアルを徹底し過ぎると前者が増加していくことになります。
これがマニュアル化における思考停止という弊害なので、随分前からノン・マニュアルにする会社が増えてきました。ボクの知る限りでは、スターバックスが最も早く、サービスは店員個人が工夫せよと指示されていたように記憶します。マクドナルドのコーヒーより高くて本格的なのだから、サービスも「スマイル0円」だけでなく、特別で固有なものでなければならないわけですね。
ここまでは常識みたいなものですが、最近は、むしろ自分の中でマニュアルをこしらえてしまう人が増えてきたように思います。特にルーチンワークでは、最適な手順を教えられたり、自分で見つけると、それに頑固にこだわるのがプロのように感じられているように思います。これは学校の先生も似たような部分があります。
お役所になると、同じことをするのが規則になっているので、いよいよマニュアルによる思考停止が進行していきます。そのほうが楽じゃないですか、アタマを使うより。
さて、そこにやってきたのが東日本大震災です。
何しろ1000年に1度という大災害ですから、こういう事態をマニュアルは想定していません。あったとしても、「まさか」とスルーされるのが普通でしょう。けれども、ほどなくコンビニではカップラーメンなどの買い溜めが始まり、物流もうまく行かない。「大変に申し訳ありません」と貼り紙を出すのが精一杯です。
このように想定されていない事態は、個人の判断や工夫しか頼れるものはありません。じゃどうするかは、置かれた状況や立場によってそれぞれ異なるので、正解もまたひと通りではないわけです。
このような事態を経験したにもかかわらず、それなりに復旧してしまうと、人間は再び同じような思考停止に戻っていくようになります。今度はマニュアルに大地震への対応が追加されましたけどね。
じゃあ大雨で水浸しはどうでしょうか、トラックが店舗に突っ込んできたとしたら。
そうした想定外のアクシデントへの対応能力をどう判断したらいいのか。ここに至って、ボクはやはり正解が必ず用意された勉強の限界を感じるのです。教科書って、ある意味で過去のマニュアルじゃないのかってね。
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