秋入社
ホテルなどを運営する星野リゾートでは、内定学生の入社時期を春と秋から選べる制度を導入するそうです(日本経済新聞7月19日朝刊)。来年度の採用予定者は約180 人というのですから、小さな会社の気紛れではありません。もちろん秋(9月)に入社した場合は、それまで給与は出ませんが、キャリアに影響することもないとしています。
この会社は沖縄の竹富島で地域文化を活かした素晴らしいリゾートを経営しており、いつか行ってみたいと思っていたのですが、いいじゃないですか、この制度。ボクはかねてから大学の出口と会社の入口がスキマなく完全密着していることに大きな疑問を感じていたので、異論なく大賛成です。
入社時期を一斉に秋にするのでなく、春も選べることが特に評価できます。金銭的に厳しい学生もいるので、そんな人は春から働いて給与を得られるわけです。いくらか余裕があるなら、約半年を自由に過ごして、それから会社に来なさいというのですから、実に素敵な制度ではありませんか。
その半年の間に内定者は気が変わって入社を辞退するかもしれません。会社側はそんなリスクは承知の上でしょう。それでも、無理に早期から囲い込みをして、よく言われるように3年で3割が辞めてしまうよりはるかにいいと判断しているはずです。
観光会社から内定を得た上で9月まで入社が猶予されるのですから、その間に何をしようが観光業の視点からものを見るようになります。その経験が入社後に生きてくるわけですね。
こういうことは、むしろ社会的な影響力を持つ大企業が率先してやるべきでしょう。半年ばかり新人の入社が遅れると、業務に甚大な影響が出るという会社のほうがおかしいじゃないですか。にもかかわらず、大学卒業の1年も前から採用面接を行い、翌年の3月卒業直後に4月から入社。こうした慣例が果たして合理的なのでしょうか。
以前に、このブログで「給料日はなぜ25日か」と紹介しましたが、それとまったく同じで、この国はあまりにも慣例を厳守し過ぎです。思考停止といってもいいんじゃないかな。「いじめ自殺」で教育委員会の形骸化が指摘されていますが、であるなら教育委員会なんて制度は即刻やめればいい。ことなかれ主義の名誉職に税金を費やす余裕がいったいどこにあるのでしょうか。
このように書くと、有識者なんて呼ばれる人は必ず屁理屈を付けてきます。教育の自由や独立を持ち出す人もいるでしょう。しかし、生徒が1人亡くなったにもかかわらず、あの程度の対応しかできない組織を維持・存続していく理由にはならないはずです。
やはり「どこ見てんだお前ら」ということなんですよね。会社であるなら社員の能力や意欲を存分に発揮できる制度が必要であり、それによって顧客創造を行っていくのが本筋ではありませんか。昨日のブログで、会社にシャワー室を作れなんてことを書きましたが、それが社員の元気回復や意欲喚起になるなら有効な設備投資であり、決して冗談事ではないのです。
改革だのイノベーションだのと口先だけはご立派でも、変える、あるいは変わることに脅えている人が少なくないことが、この国の経済を停滞させている根本的な原因ではないでしょうか。
おっと、来週は大阪出張なので、月曜・火曜とブログはお休みいたします。
ランキングに参加しています。お気に召したら、ポチッと↓

人気ブログランキングへ
« 無料のサウナ | トップページ | ソーシャルビジネス »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
「ビジネス・キャリアアップ」カテゴリの記事
- ノーリスク・ハイリターン(2021.03.22)
- 人相(2021.01.26)
- バランス(2020.10.09)
- 満点主義の減速(2020.09.30)
- もう「パイプ」は不要(2020.07.30)