『白雪姫』
ある会社で「あいつは顔採用だよ」と噂された人を知っています。女性なら分かりますが、男性のことですから大変に興味深いではありませんか。
何でも、その会社の社長は自他ともに認める超不細工顔で、若い頃はフラレてばかりだったそうです。そこで「俺のような顔の男が女にモテるはずがない。そんな奴がモテようとするなら仕事しかないだろう」というわけで、不細工な男ほど仕事を一生懸命にやる→つまり優秀と考えるようになったそうです。
こういう会社の採用面接をジャニーズ系のイケメン男子が受けると悲惨でしょうね。男の嫉妬心がメラメラの厳しい質問攻めとなり、その挙げ句には、顔が美形というだけで可哀相にも不採用の理由が増えるからです。こうした傾向はかなり昔からあったらしく、ハンサムな男は敬遠されやすいと聞いたことがあります。けれどもねえ、働くのはあくまで職場であって、そこは合コンやナンパの場ではないんですけど……。
顔の造作と能力に相関関係は何もないだろうと思いますが、イケメンは努力すればなれるというものではありません。生まれた時からすでに10点くらいポイントを貯めている感覚かな。不細工に生まれた男がこれをリカバーするためには、確かに学業やスポーツや仕事など後天的な分野で頑張るほかありません。その意味では、前述の社長の意見も合理性はあるわけです。
男の場合はそんなところでワッハッハと笑って済みますが、女性となるとそうはいかないでしょう。綺麗と不細工では、生まれた時から待遇が違ってきますからね。口には出さないまでも、不細工なおかげで様々な不利益を被ったという女性は少なくないんじゃないかな。同じくらいの能力、いや少しくらいの差なら、美人のほうが採用確率も高いはずです。
ボクは女性でないので実感はありませんが、こうした顔面差別は人種差別に匹敵するくらいの大問題ではないでしょうか。とはいっても、「絶対に顔で選んだでしょ?」と追及しても「違いますよ、全然」と否定されるのがオチですけど。
次に、女性における顔と能力の相関ですが、前述の事情から、男よりは関係しているような気がします。子供の頃からチヤホヤされていれば、自分に自信がつくじゃないですか。そう考えていくと、女性は男性よりもはるかに厳しい競争環境で育ってきたことになります。もし運良く美人の部類に入るとしても、「キレイ過ぎる」なんて呼ばれる新人やライバルが次々に登場するので、安心してはいられません。
ああ、これこそが『白雪姫』の本質だったのかと、やっと今頃になって気づきました。男の場合は美少女の白雪姫に感情移入してしまうのですが、本当の主役は「世界で一番美しい女性は?」と魔法の鏡に問いかける継母の王妃だったんですね。とても童話とは思えない、戦慄するような寓意が含まれています。最後には姫の披露宴で真っ赤に焼けた鉄の靴を王妃に履かせて復讐するなんて、こんな場面を子供に読ませていいのでしょうか。まさに『本当は恐ろしいグリム童話』です。
ただし、そんな逆境にめげることなく勉強などを頑張ってきたとなると、これはもう男なんてそれこそ顔負けでしょう。要するに、女性の場合は生まれた時から容貌に加えて学力・能力という2つの側面で熾烈な戦いを続けてきたことになるわけで、近年の女性が男よりはるかに強くて優秀なのも、当然といえば当然の結果といえるではありませんか。
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