禁煙中
正直に告白します。嗚呼、煙草がすいたい。あの紫煙を肺の中に無理矢理にすいこみ、でもって両方の鼻の穴からぽわーんと出してやりたい。ヤニというかニコチンというべきか、苦くて臭くて何ともいえない煙をもういっぺん身体のすべてで感じてみたいのです。
前から1日にハイライト2箱はちょっと行き過ぎとは思っていました。単純計算で820 ×30 日だから1か月で2万4600円。1年ならば30万円近くを文字通りに煙と灰にしてきたわけです。しかしながら、原稿を作る時には何となく必要で欠かせない、頼りになる鎮静剤みたいなものでした。その意味では年間30 万円は必要経費とすら言えるのではないでしょうか。
けれども、アメリカもヨーロッパも急速に禁煙が進行。航空機内はもちろん、ホテルの部屋もほとんどが禁煙で、どうしてもすいたいなら外に出てやれという冷酷な社会環境になってしまいました。日本にしても大学のキャンパスは禁煙が常識的になってきたので、喫煙を継続する教職員の皆さんは苦難を強いられていると思います。
カネがなければ一食を抜いてでも煙草のほうを選んできたヘビースモーカーのボクにとっては、健康はともかくとして、大変に不便な習慣になってきたのです。スイスでは夜中にパソコンに取り組みながら、煙草をすう時にはいちいちホテルの外。しかも雪が舞い散る厳冬ですからね。そんな喫煙なら、御利益も乏しくなるってものではありませんか。
自宅の書斎に閉じこもっても営業が成立する作家なら別ですが、取材を前提とするライターにとって、こうした社会環境の変化は影響が大きく、不便かつ非効率の度合いが大きくなってきたのです。
それで昨年の11月に思い切ってやめたのですが、最もトクをしたと感じるのは、健康よりも外出時のチェックでした。煙草の火の始末をいつまでも気にする必要がないというのは、スモーカー以外には理解できない感覚ではないでしょうか。
でもねぇ、28歳の時に半年ばかり禁煙したので分かってしまうのですが、久しぶりの煙草は身体がぐぐっと沈み込むような感覚になるんですよね。それまでは風船のごとくふわふわしたものが、次第に確固とした落ち着いた気分になっていく。あの感覚をね、もういっぺん経験したいのでありますよ。
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