思うて詮なきこと
思うて詮なきことは思わず。
これは近頃のボクが心の中で呪文のように日々唱えている言葉です。思っても仕方ないことは、むしろ思うべきではない。クリスマスにサンタクロースからポルシェ911をプレゼントされるという無茶な期待を持つなということではありませんよ。
たとえば、として長い話になりますが、最近話題の「誤表示」なんていうのは誰が見たって明らかに「虚偽」つまり「嘘つき」です。レッドキャビアや何とかエビといったチマチマした話ではなく、マーケティングやマネジメントなどで派手に喧伝されていたはずの「顧客満足」というスローガン自体が、結局は偽装に過ぎなかったことに気づいてる人がどれだけいるでしょうか。
かの三波春夫先生による「お客様は神様です」を経営用語にした「顧客満足」がここまで裏切られていたということは、とりもなおさずMBAなどの経営教育が所詮は絵空事だったとすら言えるかもしれません。
以前からボクは経営教育に倫理は不可欠であり、アメリカのMBAでもEthicsは必修科目になっていると紹介してきました。その本国でも、インチキな投資商品と不適切な格付けを原因とする金融破綻=リーマンショックが発生しましたけどね。
それに比べれば食品偽装なんて大した問題ではないと思う人もいるでしょうが、これは商道徳や倫理の明らかな内部崩壊を意味するので、率直にいえば、これから何が起きてもおかしくないのです。思えばブラック企業だって、嘘をついたり無理をさせる相手が違うだけじゃないかといえば理解していただけるでしょうか。
だからといって、道徳や倫理を法律として明文化して規制しようとしたらキリがありません。むしろ、そうしないことで人間の行動を様々な局面で抑制すると同時に、無償の奉仕や協力や支援を促してきたわけです。法律違反ではないけどそんなことをしちゃいけない、あるいは儲からないけど人間としてこうすべきという超越的な配慮や発想ですよね。
それを、どんな理屈があるにせよ、持つ者や提供する側が随分前から平気で踏みにじり、ぶっ壊してきたことを新聞やテレビが毎日のように報道しているのです。
嗚呼、だからといって、この流れは当分おそらく変わらないでしょうね。隠し事がバレるたびに記者会見で謝罪の繰り返し……。
こういうことを本気で憂慮すれば、徒労を感じて絶望するのも不思議ではありません。それでようやく冒頭の話に戻るわけですけど、そうした鬱状態にならないように、詮なきことは思うな、という意味なのでしょうかねぇ。
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