羊頭狗肉
くっそううううっ、また騙されてしまいました(泣)。
自慢じゃありませんが、商品や投資やサービスで詐欺や詐欺まがい並びにインチキにひっかかったことは一度としてありません。そんなカネがないこともさることながら、高校時代に経験した喫茶店のバイトで、気の弱そうな若者を取り囲んで高額の英語教材を売りつける悪辣な連中を身近に観察してきたせいか、かなりの精度でヘンな勧誘やウソを見分け、断固として拒否する自信があるのです。
しかしながら、単行本や新書や雑誌だけは例外なんですよね。いかに辺境にいるとはいえ同業者のくせに、という誹りは覚悟の上で明かしますが、それらしいタイトルやキャッチコピーに何度騙されて購入したことか。
特に近年はそうしたケースが増加。真相暴露的あるいは常識を否定するような巧妙で魅力的なタイトルの新書系が目立つような気がします。そのくせ30分もあれば読了できて、驚いたり参考にできたり感心するようなことは1ミリだって書いてない。そんな本を読まされた後は、騙された自分のアホさ加減が情けなくなってきます。新書なら千円にも満たない金額ですが、それをむざむざとドブに捨てちまったかと思うと悔しくてならないのです。
先週にわざわざアマゾンから取り寄せた本もその類でした。書評でもそれなりのことが書かれていたので読んでみたのですが、肩すかしもいいところで、二言くらいでまとめられるような薄っぺらな内容をよくまぁ本に仕立て上げて、こんなあざといタイトルを付けたものだと逆に感心させられました。
昔からある手口といえば実にまったくその通りですけど、そうしたタイトルはおそらく著者が発案したものではないと思います。それでも編集者が勝手な独断で出版できるものではありませんから、その意味では著者も連帯責任は免れないと思うんですけどね。飲食物や各種プロダクトに関しての「羊頭狗肉」は法律などでかなり管理されるようになりましたが、言論の自由を背景にした出版活動は実のところ野放しといっていいのです。
もちろん、それを法律で取り締まれなんてことは死んでも絶対に言いません。けれども、インチキなタイトルだろうが「売れたもの勝ちじゃん」という姿勢が続けば、ますます本を買わない人が増えていくでしょう。そうした自覚を今こそ強く持っておかないと、自分の首を絞めることにつながり、いよいよ無料のインターネットにやられてしまうと思うんですけどね。でも「悪貨は良貨を駆逐する」なんて至言もあるからなぁ……。
ランキングに参加しています。お気に召したら、ポチッと↓
« 変化を怖れる気分 | トップページ | 洗脳 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ファクターXという幻想(2021.04.09)
- 東京タワー(2021.04.08)
- ワードとエクセル(2021.04.07)
- マイナンバーカード(2021.04.06)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 今こそ調査報道(2021.02.18)
- 『ヒトラーとドラッグ』(2019.01.30)
- 孤独のショッピング(2018.05.21)
- コピーからプロダクトへ(2017.12.13)
- Farewell, My Lovely(2017.08.21)