答は内に
相も変わらず「ナントカ力」とか「こうすればこうなる」といったノウハウ本というか自己啓発本が人気なようです。テレビのニュースショーでも「大変に参考になりました」「役立ちます」などと評価する通行人が登場。それだけならまだしも、他人にも勧めるというので驚きました。ボクなら放っといてくれって言うだろうなぁ。
こうした自己啓発本は書籍全体の6割にも達すると聞いたことがあります。新聞にもデカデカと広告が出ることも珍しくないので、やっぱニーズがあって売れるのでしょうね。
ボクの若い頃は、こうした本はほとんど見かけませんでした。あっても、むしろ馬鹿にすることのほうが多かったような気がします。そりゃそうですよ。本一冊を読むだけで、仕事ができるようになったり英語が話せるようになったり、上司から好かれて人事評価が上がったり人生が楽しくなって幸福になるなんてことは、まずあり得ないと普通は思いますよね。
しかしながら、こうした自己啓発本は、ボクの記憶に限ればバブル崩壊後の90年代に急増したように感じます。大学の数もこの時期に急増したんですけどね。資格の人気もかつてなかったほど高まっていました。このため、受験教育が背景にあるという仮説を立てられます。大学入試や資格試験で「こうすりゃ受かる」を教えられたなら、人生だって「こうすりゃ幸福になる」という方法があると考えるようになってもおかしくはないですよね。
そのせいか、ボクのブログの歴代ページビューのトップは「お金持ちになる3つの絶対法則」です。2009年11月16日に書いたものですが、今でも「お金持ちになる」というようなキーワードで検索して閲覧する人がいるようです。それでいろいろとチェックしたところで、ネットは基本的にタダの情報ですから、本当にカネ持ちになる秘訣を教えてくれるとはとても思えません。それでも、そうした秘訣がどこかにあるだろうと探し求める心情が、自己啓発本の人気も支えているような気がします。
けれども、仕事や人生には大学受験のようなノウハウや方法なんてあり得ないですよね。なぜなら、受験生は共通の属性を持っていますが、仕事や人生は人によって個別単独が普通だからです。いいかえれば、それぞれそれなりのバックグラウンドに基づいた状況・環境から人生観や幸福論もあるはずですから、それを「こうすりゃこうなる」と一括してまとめることなんてできないわけですね。
求める答も千差万別ですから、となれば自分の外側ではなく内側を見つめるしかないじゃないですか。そこでジタバタとあがいて試行錯誤しながら自分流を作っていくしかないとボクは思います。そこには教科書も参考書もなく、近道もバイパスルートもありません。そのかわりに、ズルして他人を出し抜くという秘訣もないわけです。
中教審では道徳を教科にする答申をしたそうですが、そんなものを今さら押しつけるより、学校で教えなきゃいけないもっと大事なことがあるだろうとボクは思うんですけどね。
ランキングに参加しています。お気に召したら、ポチッと↓

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ファクターXという幻想(2021.04.09)
- 東京タワー(2021.04.08)
- ワードとエクセル(2021.04.07)
- マイナンバーカード(2021.04.06)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 今こそ調査報道(2021.02.18)
- 『ヒトラーとドラッグ』(2019.01.30)
- 孤独のショッピング(2018.05.21)
- コピーからプロダクトへ(2017.12.13)
- Farewell, My Lovely(2017.08.21)