チューニング
まだ一般の人にはほとんど知られていませんが、大学業界では「チューニング」が大きな話題になりつつあるようです。本日はそれも含めた記事の締め切りなので、このブログはそそくさと終わらせていただきますが、この「チューニング」が「調整」という意味であるなら、大学以外の業界でも必要なことではないでしょうか。
というのも、第一に、現代の仕事は高度に専門分化されており、たった1人の人間がすべてを完成させることはできないからです。これはプロセスとしての垂直的な分業ですが、それが世界レベルで空間的にも拡大しているというのが現代の先端産業でしょう。
たとえば、基本的な設計図は日本で作り、デバイスは台湾に任せて、細かなパーツは中国の工場で製作。それらをタイとかベトナムで組み合わせて最終製品にするということがすでに行われているわけですね。こうした各段階での微細なズレは、最終工程で大きなズレに増幅されて組み上げに影響してくるので、おそらく初期段階のチューニングが大切な要素になってくると思います。
文系の仕事にしても、言語の問題があるので工業製品ほど空間的な広がりはありませんが、高度に分業されているとボクは思います。ところが、チューニングの基本となる設計図およびスペックが工業製品ほど厳密に規定されていないのです。もちろん企画書はありますが、職種や仕事によって密度が随分違うんですよね。広告代理店のマーケティングの仕事をした時にはA4で随分な枚数の企画書を作りましたが、テレビ局では新番組の企画書なんてせいぜい2~3枚程度が常識のようです。
そうした企画書が制作の各段階に回されて、それぞれがコンセプトを踏まえた形で発展させていくというスタイルが、ボクの知っている文系の仕事です。だからこそ各段階のクリエイティビティが活用でき、チームとしての経験が豊富であればそれこそ「あ・うん」の呼吸で進行できますが、その反面で、初めてか数回程度の仕事では解釈の違いなどによる「ズレ」も必然的にあり得るわけですね。
そうした「ズレ」を生まないようにするチューニングが、これから重要になっていくだろうと感じます。それをきちんと事前にやっておかないと、やり直しという形で無駄な仕事=徒労が累積されることになり、コストアップや納期遅れの原因につながってくるからです。
あっ、もう時間がないので、この話題はこんなところにしますが、産業別の「チューニング・スペシャリスト」みたいな専門職もあり得るじゃないかと思うわけですね。すでに行政の仕事を民間企業が引き継ぐ時の専門家が生まれているので、このあたりは来週にでも詳しく解説するつもりです。
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