歌声も老化する
肉体の老化が止めることのできない変化であるなら、声帯も例外であるはずがないと考えて、1人の歌手の歌声をデビューの頃から追いかけたことがあります。
昔ならレコードやCDを購入する必要がありましたが、今はYouTubeがあるのでホントに便利です。特に同じ楽曲を好んで歌い続けてきたという人は、それを聴き比べるだけで変化が一発で分かります。
やはり、というべきか、昔は透明感が高く、低音域でも艶と張りを感じた声が、年を経るうちにハスキーというべきか、かすれていくことを確認しました。覚醒剤で再逮捕された韓国人歌手は最初からかすれ声でしたけどね。
ボクが追いかけた歌手の場合は酒好きで知られていたので、アルコールの影響で声の老化も促進された気配があります(これで誰のことかほとんどバレちゃいますけど)。
もちろん容貌と同じく、ほとんど老化を感じさせない声の歌手もいます。やはり肌なんかと同じで、日頃の手入れが違うんだろうなぁと思わざるを得ません。それでも20年間を比べてみれば、やはり年齢を感じさせることは事実でしょう。
けれども、ファンや業界関係者はそれに気づいてないフリをしているように見えます。「往年の歌声」は今も変わらないというのが常套句で、時には「あの頃を想い出させる」というフレーズもあるようですが、それは記憶のウソに過ぎません。歌う方も聴く方も年を取れば、老化していて当然ではありませんか。昔と同じ声だと思い込みたい気持ちはボクも十分に理解できますが、素直に聴き比べたら明らかに違うのですから仕方ありません。
ただし、歌い方は違ってきますよ。ぐっと上手になる人も、クセのあるテクニックを覚える人もいますが、おしなべて感情の込め方がナチュラルになり、技巧の気配を感じさせなくなるようです。ごく簡単に言うなら、若い頃の歌い方が棒読みに近いものだったと分かるわけですね。
そうした意味でも、デビュー当時から低音で迫力ある女声だった山口百恵を比較してみたかったのですが、ご存じのように21歳という若さで引退して、ボクの知る限りでは2度と公衆の面前で歌ったことはないはずです。あの年齢であのレベルだったのですから、歌い続けていればどれほど変化したのか想像もつきません。
だからどうのってことではありませんが、人間というのはライブコンサートでも、昔の歌声を幻影ならぬ「幻声」として、リアルな歌声に重ねて聴いてしまうんだなぁとしみじみ思うわけです。
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