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福助くん その6

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    福助くん、9歳の秋です。 ちょっと長めの散歩をして、世田谷公園へ。 紅葉と福助をご覧くださいまし。

福助くん その5

  • 赤いサルビア♪
    2010年秋の福助くん。とある週末に埼玉県所沢市にある航空公園に行ってきました!

福助くん その4

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    今さらですが、今年の花見の福助くん。ご近所の目黒川に行ってきました。

福助くん その3

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    飼い主の田舎に行ってきた福助。うららかな春を迎えた大自然のなかで、いつもと違った表情に。

福助くん その2

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    平日は会社にいる福助。こんな感じの毎日です。

福助くん その1

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    笠木の飼い犬。甘えん坊でちゃっかり屋の8歳。雄。

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2018年1月

2018年1月31日 (水)

自己犠牲(後)

 

 昨日の続きですが、新作映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でも、自己犠牲の精神性が発揮される場面がありました。レイアたちの乗った貨物船を逃がすために、副官らしき女性が1人で戦艦に残り、壮絶な最後を遂げます。

 

 このあたりで『ローグ・ワン』がまだ鮮明な印象を残しているボクなんかは、「またかよ」とイヤな予感がしました。これが当たらずとも大違いなのですが、ここからはネタバレになるのでご注意ください。

 

 ある星で洞窟を要塞にして立てこもったレジスタンスを、ハン・ソロの息子ベン・ソロが最高指揮官となった帝国軍が攻撃。物量や兵器力に劣るレジスタンスはじりじりと敗色を強めていき、やがて帝国軍はデス・スターを小型にしたスーパーレーザー砲で、要塞を守る厚い扉を一気に破壊しようとします。

 

 この時に、かつて帝国軍の兵士だったフィンが死を覚悟してレーザー砲に突撃していくのですが、その直前に整備士のローズが操縦する機が体当たりして助けてしまうわけです。確か「レジスタンスの仲間も大切だけど、アンタはもっと大切なんだ」みたいなことを言うんですよね。

 調べてみると彼女はベトナム系の女優さんで、美人揃いのこのシリーズにはあまり似つかわしくない容貌なのですが、それは枝葉末節として、この展開は『ローグ・ワン』の基調をなしていた自己犠牲に対するアンチ・メッセージのような気がするのです。

 

 ネットでは彼女の行動をあまりにも自分勝手じゃないかと批判する人もいるのですが、助けられたフィンは前回『フォースの覚醒』で次世代のジェダイであるレイと一緒に活躍してきた準主役。にもかかわらずカミカゼアタックで死んでもらっては困る、という作劇上の都合もあるでしょうね。でも、やっぱりボクは自分の死を賭した特攻を安易に選ぶべきではないと思ってしまうのです。

 

 その反面で、自分だけが大切で他人を踏みつけても痛痒を感じない人たちには猛烈な義憤を感じます。てめぇらが(たとえばですが)政治家や官僚やカネ持ちとして幸せを追求できるのは、みんなが支える社会があってこそじゃないかと腹が立って仕方ないのです。歴史を遡れば、それこそ太平洋戦争で死を余儀なくされた無数の英霊たちのおかげではありませんか。

 

 人間というのは何か使命を持って生まれてきたはずだと信じるボクは、自己犠牲こそ最も崇高で尊敬すべき行動だと思うからこそ、理不尽な命令や周りの雰囲気などに流されず、慎重に決断していただきたいわけです。

 

 このあたりはぜひNHKのEテレあたりで若者たちに討論してもらいたいのですが、とにかく再度繰り返して指摘しておきますが、自己犠牲は自らの意思でするものであって、何者かに強制されることではありません。だから、仮にみんなが決死の特攻に出撃して、ただ1人だけ居残ることになったとしても、彼を卑怯者などと絶対に糾弾してはいけない。

 

 そんな風土や社会環境やメンタリティがきっちりと確立されているなら、イザという時にボクは喜んで生命を差し出すでしょう。でもさぁ、昨今の日本が、いやかつての日本だって、そんな状況にはほど遠いと判断せざるを得ません。小狡くて意地汚く、すばしこい連中にどうこう言われる筋合いじゃねぇやと、啖呵を切ってやりたくなるんですよね。

 

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2018年1月30日 (火)

自己犠牲(前)

 

 大変に遅ればせながら、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を観てきました。ついでなので、席を話題のMX4Dにしてみましたが、うーむ、どちらも複雑な印象が残ってしまい、今でもうまく集約できないでいます。

 

 まず3Dの立体映像を超えて、映画を「体感」できるというMX4Dでしたが、まだ未完成というのがボクの率直な感想です。映画に合わせて席がガタガタと揺れたり傾いたりするだけでなく、風が吹いて霧やら水しぶきまで飛んでくるのですが、逆に映画に集中できないんですよね。年齢のせいもあるかもしれませんが、立体映像だけのほうがいいんじゃないかと。特に背中のあたりを後の席から蹴られるような刺激は不要というほかありません。

 

 それ以前に、たとえばラヴロマンスで席がドカドカ揺れるようなシーンはそれほどないはずですから、この仕掛けを最初から前提とした映画でなければメリットが生きないと思います。ということで、どちらも発展途上なので、今後の技術革新と専用の映画づくりに期待して批判は避けますが、映画が遊園地のアトラクションみたいになっていいのかなぁと考え込んでしまいました。

 もともと映画は言葉だけの文学などに対して、音楽や動きも伴った映像による「総合芸術」とされています。それでも鑑賞者が様々なイマジネーションを追加することで、それぞれの作品世界が完成するんじゃないかな。ドカドカやゴトゴトやビューっと吹く風をわざわざ再現するのは、むしろそうした想像性を奪うことにならないでしょうか。宇宙船が衝突したり、破壊されるなら、座席が揺れ動くどころの騒ぎではないはずなので、こりゃもう鑑賞者がアタマの中で想像したほうが衝撃は大きいに違いないということです。MX4Dはそれを矮小化するだけじゃないかなと。

 

 こういう批判は3D=立体映像の時もあったと思うので、あくまで個人的な感想と注釈しておきますが、ボクにとって当分の間は利用しないだろうなぁという仕組みです。

 

 映画のほうも感想がなかなか複雑で、初期の頃に比べて作風が大きく変わったような印象を受けました。ここからは一部ネタバレも含むので、予め注意しておきます。

 

 この感想は、昨年に観た『スター・ウォーズ/ローグ・ワン』の影響が大きいかもしれません。1977年(!)に公開された『スター・ウォーズ』の第1回にまつわるサイドストーリーとして製作された映画です。怖ろしい威力を持つ兵器を備えたデススターをルーク・スカイウォーカーたちが破壊するのが本編のラストでしたが、『ローグ・ワン』ではその攻撃目標が明示された設計図のデータを入手して、レジスタンスに送信するまでのエピソードが描かれています。

 

 これがまた、全編にわたって「自己犠牲」の連続なんですよね。凶悪で強大な帝国軍が相手であり、ジェダイも出てこないので当然といえば仕方ないのでありますが、ぶっちゃけて言えば、主要な登場人物はみんな死んでしまいます。それもこれもすべて、ピンポイントのアタックでデススターを自爆させられる設計図の入手が目的です。その大任を果たした主役の男女2人ですら、最後の大爆発に巻き込まれることで死を予感させるエンディングなんですよね。アメリカ人って、そんなメンタリティだったっけと面食らうようなストーリー展開なのです。

 

 いえね、戦争であれ日常生活であれ、多かれ少なかれ、人生は自己犠牲を伴うものだとボクは思います。部下を親身になって指導することも、子育てだって、軽度の自己犠牲と言えなくもありませんからね。さらに、たとえば悪質なテロリストにハイジャックされた航空機が大都市を目指して飛んできて、どうしても阻止できないとなれば、大統領が空軍に当該航空機の破壊命令を出しても仕方ないという側面はあります。目標とされる大都市に墜落すれば、かつての9.11と同じく何千人にも及ぶ死者や被害者が発生すると想定できるからです。

 

 生命はそうした「数」とは比較できないとはいっても、死亡や被害を金銭以外で保障できないように、たとえば航空機の乗員200人の犠牲で数千人を救うのは妥当な判断となるかもしれません。

 そんな局面はおそらく戦場では普通にあることで、1つの作戦が成功した背後には自己犠牲が必ず隠されているといっても過言ではないでしょう。問題は、それが自発的な行動なのかどうかってことです。太平洋戦争で日本軍は、Suicide Attack=自殺攻撃を組織的に指揮しました。出撃したら帰還しないことが鉄則の特攻は、軍略では「外道の作戦」とされていることを指揮官も承知していたのですが、日本を守るためには仕方ないとなったわけです。

 

 その是非は別に置くとして、そうした歴史を直近に知るボクとしては、映画とはいえ「自己犠牲」の連続にちょっと辟易としてしまうんですよね。もちろん、その分だけ印象深い映画なのです。伝送装置を起動させるために、ジェダイでもないのに「フォースは我とともにあり」と何度も唱えながら激しい銃撃の嵐の中を決然と歩いて行く盲目の戦士には涙すら誘われました。このため、シリーズ中の最高傑作と評価する人もいます。

 

 でもね、こうした自己犠牲や愛国心なんてものは決して強いられるものではないはずです。ところが、太平洋戦争の頃の世論や雰囲気は、国のために死んであたりまえ、それができなければ卑怯な非国民として扱われました。だから出征時には本音を隠して「死んでこい」なんて言いながら息子や学生たちを送り出したわけです。本来は自発的であるべき自己犠牲と、そうした全体主義は、紙一重程度の違いしかありません。ちょっと時代や社会が動けば、再びそうなってしまうでしょう。

 

 ボクの考え過ぎなら結構なことですが、近年はそうした危惧をどうしても強く感じてしまうのです。最新作の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』も帝国軍とレジスタンスの熾烈な戦いがテーマなので、やはり自己犠牲が描かれています。『ローグ・ワン』の影響なのか、ちょっとだけ違うのですが、長くなったのでこの続きは明日ということで。

 

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2018年1月29日 (月)

一生時計

 

 「終末時計」なるものがあって、地球最後の日まで残り2分になったそうです。北朝鮮の核開発やアメリカ大統領の好戦的な姿勢から、冷戦の真っ盛りだった1953年と並ぶ過去最短と報道されました。あと2分で核戦争が勃発して人類が破滅するわけではありませんが、それくらいヤバイ状況になっているということです。

 

 そんな世界規模の「終末時計」があるなら、個人における「一生時計」もあっていいのではないでしょうか。昨年の7月に厚生労働省が発表した日本人の平均寿命は、女性が87.14歳、男性が80.98歳でした。それよりも長生きするとトクしたように思えるはずですから、取りあえず12時位置を80歳にしておく。

 

 そうすると、6時位置は半分の40歳となります。9時位置ともなれば4分の3で60歳ですから、めでたく還暦ということで赤い数字に。そこからは10分ごとにおよそ1歳ずつ死に近づくカウントダウン状態なので、赤い帯を敷いた上に細かく年齢を表示する。11時近辺で73歳ですから、お亡くなりになる時刻はもうすぐということが感覚的によく分かります。

 

 現代の技術なら、このような「一生時計」は難なく開発できるはずです。毎日を過ごすための腕時計には無駄な要素としても、壁掛け時計や置き時計ならありなんじゃないかな。子供が生まれたお祝いにプレゼントするとか、針が赤と黒の2本ある「夫婦時計」も考えられます。子供のために金色や銀色の針を追加した「家族時計」とかね。「オレはもう6時過ぎだけど、お前はまだ5時で、子供は1時を過ぎたばかりだもんなぁ」などと和気藹々の会話がはずむ、わけがありません。

 

 いくら平均寿命とはいっても、自分の残り時間をビジュアルではっきり示されても困っちゃいますよね。というわけで市場性はまったく期待できませんが、たまに見るアプリとしてなら、あっても面白いんじゃないかなぁ。いつも死を意識する必要はないにしても、自分が有限の存在であることをきっちり認識して初めて生きる自覚が生まれると思うからです。

 

 それにしても、ボク自身の「一生時計」を頭の中で想定してみると、この時間に至るまでにいったい何をしてきたのでしょうか。3時前後はいろいろあり過ぎで、6時前後からは仕事に忙しかったにしても、一生時計の針は無常かつ無情に容赦なく12時に向けて進んでいくんですよね。

 

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2018年1月26日 (金)

社会正義

 

 これまでも手を変え品を変えて指摘してきたことですが、そもそも根っ子のところが揺らいでいるんじゃないかな。高度情報化のおかげで発覚しやすくなったという構造的な事情もあるだろうけど、不正事件があまりにも目立つような気がします。

 

 行政による大事業での談合なんて大昔からあったことですが、東芝の粉飾決算やら日産自動車や三菱自動車の燃費不正に神戸製鋼のデータ改ざん、今週になってもiPS細胞研究所で論文の捏造が判明しました。大赤字の自治体に寄生するような地方議員のインチキ領収書はもとより、国から巨額の助成金を騙し取るという「スパコン」事件も発生しています。

 

 ボクたちライターは記事を書く時に「同語重複」をできるだけ避けるのが普通ですが、どれもこれも「不正」ばっかりなので、それを言い換えるボキャブラリーにも限度があるってものです。

 

 かと思えば、いじめやセクハラ&パワハラが相変わらず頻発しており、世の中はこんなにも意地汚いことになっていたのかと、清く貧しく孤高を続けてきたオッサンは呆れ果ててしまうんですよね。いじめや各種のハラスメントは、権力や立場を利用した「不正」な「人権侵害」であることをどうして明確に指摘しないのでしょうか。それが分かっていないからこそ、あれは良くてこれはダメなどというつまらないガイドラインができたりするのです。どういうわけだか、こうした人権教育は戦後しばらく過ぎてから急速にないがしろにされてきたように思います。

 

 いずれにしても、どれだけ法律をこしらえたところで網の目をこぼれ落ちていく不正を食い止めることはできず、すべてを取り締まるのも不可能です。むしろ何でもかんでも法律で縛ろうとすれば、新しいことを生み出す創意工夫も檻の中に閉じ込めることになり、社会や産業からエネルギッシュな活力を奪うことになるでしょう。

 

 であるなら、やはり根っ子のところをきちんと糺すしかないだろうと。そこで「不正」という言葉を見直せば、「不・正義」ということです。つまり、社会正義にもとるということですから、その社会正義をきちんと定義して遵守することがみんなのためになるという認識を共有しなきゃいけない。

 大企業や個人がそれを踏みにじれば、目先の利益を上げることができても、他者に迷惑をかけるだけでなく、いずれ自分たちにも被害が及ぶということが、どれだけ理解されているのかなぁ。ここでは理屈を省略しますが、秩序の崩壊は不利益の拡大と無駄なコストの甚だしい増加をもたらします。さもなければ、社会正義なんていう共通概念が生まれるわけがない。

 

 倫理も道徳も同じことで、人間が健全に生きていく上で欠かせない、みんなが持つべき理念として発達してきたと思うんですよね。それに照らして恥ずかしくない態度や姿勢を堅持することが、共同体を混乱から守り、安寧に導くのであります。

 

 明文化された法律でなくルールでもない、こうした大きな理念をアクティブに発動する精神性が「義侠心」ということになるでしょう。過度に発達した資本主義と競争社会が、情報によってさらに加速されようとしているだけに、この「義侠心」がいよいよ有用になってきたとボクは思います。

 ただし、それはあくまで個人として自ら感じ考え行動することであって、大きな動きに付和雷同して匿名で追従することではありません。大勢というのはすべてを呑み込んで押し流してしまうので、正義も倫理も孤立することが少なくないんですよね。そもそも「みんながやっているから」という不愉快な理由で自己犠牲を伴う義侠心を発揮する奴がいるはずはありませんが、もしいるとしたら、それはそれで結果論として良いことなんですけどね。

 

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2018年1月25日 (木)

お、おもしろ過ぎ!(続)

 

 どうしてあんなにセカセカと焦るように急ぐのかなぁ。

 飛行機の着陸後、湾曲した大きな扉が客室乗務員によって開けられると、「さぁレースの始まりです」と言わんばかりに入国審査めがけて競歩ですからね。前に誰かいると追い抜かなきゃ気が済まないかのように歩みが早まるので、列全体がどんどん加速されていきます。杖を持ったボクなんか、いったい何人に追い越されたことでしょうか。ラッシュアワーの品川駅みたいに、杖を蹴飛ばす不愉快な奴はさすがにいませんけどね。

 

 どんなに急いだところで、荷物がベルトコンベアで運ばれてくるのはしばらく過ぎてからなので、結局は同じことではないでしょうか。カートを用意して少しでも有利な場所で待機するってことなのかな。それにしても、もうちょっとスローダウンして、旅の余韻を楽しむほうがエレガントではないかとボクは思いますけどね。とにかくエスカレータの横を駆け抜けていくのだけは危険なので勘弁してください。

 

 というわけで、ボクのスーツケースも無事にベルトに乗って出てきました。これを引き上げて、その上にキャリーホイールから外したバッグを載せればすべて完了です。問題は折りたたんだキャリーホイールなのですが、これが仇となりました。

 

 最後の関所となる税関では申告なしの緑の窓口に並び、別送品はなく買い物や所持品も規定以内ですという黄色い紙とパスポートを提出。パスポートが返却されたら到着ロビーに出ることができます。

 

 その時、なんですよね。税関から渡されたパスポートをジャケットの内ポケットに入れて、ほとんど目と鼻の先にある出口に向けて一歩を踏み出した時に、スーツケースのキャスターが何かに引っかかったように一瞬止まったことで、ボクの想定していた歩行リズムが崩れてしまいました。おかげでバランスを完全に失い、早い話が派手に転倒してしまったのです。

 

 ボクはこれまでに、滑りやすい靴に雨天後の濡れた床面という原因から3度の大転倒を経験しており、左足首を強打して腫れ上がったことや、病院に駆け込んだこともあります。そうした転倒のベテランとして、危ない時には無理して体勢を保持しないことが被害を大きくしないコツだと認識していました。この時も、まるでスローモーションのように壁や天井が傾き始めたので、足を無理してふんばることなく自然な格好にして、背中全体で受け身を取るようにしたんですよね。

 

 おかげで軽い打撲で済み、ひどい痛みはどこにもなかったので、駆けつけた税関や警備の皆さんに「ご心配をかけてしまいましたが大丈夫です」と礼を言ってから外に出ました。けれども、落ち着いてから左の中指に痛みがあることに気づいたのです。ボクの右手は杖で一杯なので、スーツケースを左側にして、キャリーホイールも指を絡めて移動しようとしていた時に転倒したらしく、中指が巻き込まれてしまったようです。

 

 骨折してはいないので被害は軽微ですけど、金曜午後に帰国してから3日目の月曜日になると、腰の左側と後にも痛みを感じるようになってきました。年を取ると打撲や筋肉痛は後日になってから影響が出るようになりますが、ボクも例外ではなかったようです。火曜日になると腰を曲げれば痛い、真っ直ぐ立つ時にも痛いと大変なことになりました。けれども時間の経過にともなって痛みも軽くなっていったので、深刻なダメージではないのが救いです。でもって本日はほぼ完全に回復しました。

 

 吉田兼好の徒然草に「高名の木登り」という項があります。ある木登りの名人は、人が高いところで梢を切っている時は何も注意せず、もうすぐ地面というほどに降りてきた時に初めて「怪我しないように気をつけなさい」と言いました。その理由を兼好が問うと「失敗は、簡単なところになって必ず起きるものでございます」と答えたという逸話です。

 

 えー、恥ずかしながら税関通過直後の転倒は、まさにその典型というほかありません。今さらそんな逸話を思い出しても遅いのですが、皆様はくれぐれもご注意くださいね。

 

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2018年1月24日 (水)

お、おもしろ過ぎ!(後)

 

 今回の海外出張のハイライトは、昨日にご紹介したダイナミックな予定変更に尽きるのですが、ジュネーブから到着したフランクフルト空港はやたらに広くて、乗り継ぎが大変なんですよね。

 

 ボクはこう見えても(どう見えるんだろう?)大変に慎重で、慣れない空港を経由する時は乗り継ぎのイメージトレーニング(!)をするのですが、何しろ突然の予定変更なので、そんな準備をしていません。この空港では随分前に7時間近いトランジットを経験。あまりにもヒマだったので、トルコのイスタンブールに行くという日本人女性を搭乗ゲートまで案内したこともあるのですが、残念ながら人間というのは忘れてしまう生き物なんですよね。空港の地理は頭から完全にすっ飛んでしまいましたが、途方もない規模と感じたことだけは覚えています。

 

 とはいえ、どんな国際空港でも乗り継ぎは基本的に同じで、サインボードさえ見逃さなければ間違えることはありません。到着したら、ArrivalではなくてConnecting Flightsが示す方向に行けばいいだけのことです。その時に、できるだけ早めに出発便のスケジュールボードを見て搭乗ゲートを確認しておく。ボクが乗る日本航空408便は「2D」とあったので、とにかくひたすらターミナル2のDゾーンに向かえばいいってことです。その途中で関所のようにパスポートコントロールやセキュリティチェック=保安検査が登場するので、列に並んでそれをクリアしていけば自然に目的のゲートにたどり着きます。ヨーロッパあたりなら、乗り換えがあっても機内預けの荷物は最終地まで直行となり、搭乗券も一緒に発行されるのが普通なので、ほかに面倒はありません。

 

 ただ、ボクはターミナル1に到着したらしく、延々と歩かされることになりました。だからいつも航空券を予約する際に乗り継ぎ時間に神経質になるわけです。前述した2つの関所でものすごく長い列に出っくわすこともあるので、到着から出発まで2時間くらいあったほうが焦らなくて済みます。空港の規模によって最短乗り継ぎ時間が決められているので、無理なスケジュールでは発券されないはずですが、それでも1時間程度というのはできるだけ避けてきました。そうはいかない時もしばしばあるんですけどね。個人的な経験で乗り継ぎが最も楽だったと思うのは、オーストリアのウィーン空港かな。小さな空港なので移動距離も大変に短いのです。

 

 てなことを思い出しながら2Dを目指してひたすら歩いていくと、どうやらターミナル1から2に行くにはSkylineという無人運転の電車に乗らなきゃいけないらしい。これがまた、エレベータでいったん下に降りてから再びエスカレータで上がるという京都の住所みたいなアップダウンがあり、ようやくホームにたどりついても、どちら側がターミナル2のD行きなのか分かりません。サインボードをチェックすれば分かるのでしょうが、こういう時にボクはすぐに誰かに訊いてしまうんですよね。勝手に思い込んで慌てて乗車すると、エラく遠回りになるとか簡単には帰ってこられないところに連れて行かれるなんてこともあり得るじゃないですか。

 

 そこで、すでに電車に乗り込んでいたドイツ人らしい中年女性に、扉口から「この電車はターミナル2のDに行きますか」と英語で聞いてみると、「あたしもそこに行くからついてらっしゃい」と心強いお返事。走り出してから聞いてみると、この電車は環状ではなく、ターミナル1のAからB、Cを経て、ターミナル2のD・Eゾーンを順番に往復するシャトルになっているそうです。

 

「とってもロジカルなのよ」

「それってドイツ的といえませんか」

「そうね。でも、いつもドイツがロジカルだったとは限らないけど」

「それは歴史的に、ということですか?」

 

 ボクはオカルティズムに心酔していたヒムラーと狂信的なナチズムが念頭にあったのですが、彼女は曖昧な笑みを浮かべるだけで明確には答えず、かつてデュッセルドルフで日本企業と一緒に仕事をしていたことがあると話してくれました。

 

「だから英語がお上手なんですね」

「本気で勉強したのは結構年をとってからなの。でもね、何かを学ぶのに遅すぎるということはないのよ」

 

 ケラケラ笑いながら深いことをサラリと言ってのける、アッパレなオバサンなのであります。

 

 そんなわけで、何事もなくDゾーンに到着。その後のことはつまらないのでカットします。帰国便の機内ではさすがに疲れていたせいか、ワインのグラス一杯を空けることもできず、すぐに爆睡してしまいました。はっと気がつくと成田まで残り3時間程度。睡眠は貯金できないと言いますが、借金取りはちゃんとやってくるようです。

 

 キュッキュッと車輪が接地する大きな音をたてて飛行機が着陸すれば、もう心配はありません。例のベルトコンベアでスーツケースをピックアップして税関を抜けるだけなのですが、あまりにも気を緩め過ぎたせいか、最後の最後の最後で、戦慄すべきアクシデントがボクを待っていたのです。この続きも明日ということで、乞うご期待!

 

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2018年1月23日 (火)

お、おもしろ過ぎ!(中)

 

 大幅な予定変更を経てようやく帰国したら、スイスより寒いうえに、昨日は都心でも大雪ですからね。天気の精霊ならぬ悪霊が、ボクを深情けして追いかけてきたのでしょうか。それにしても、大雪が降るたびに帰宅困難者の続出を繰り返して懲りないのかなぁ。分かりきったことなのですから、どうして平時から準備・改善しておかないのでしょうか。

 

 それに比べて、というのもナニですけど、KLMの地上職員はかなりテキパキと難事を処理していました。行列を作った搭乗予定客の最終目的地はそれぞれ異なるので、世界各地のフライトスケジュールを睨みながら最適な乗り換えルートを瞬時に見つけていくのは熟練が必要なはずです。ボクはそれまで空港の地上職員を搭乗前の整理係に過ぎないとナメていましたが、今回のことですっかり見直しました。

 

 さて、ボクの予定変更を整理しておくと、当初のKLM便は以下のようになっていました。

●ジュネーブ9時5分発KL1926→アムステルダム1430分発KL861→成田着9時45

 

 これがアムステルダムの悪天候で最初の便が大幅に遅延。乗り換え便も間に合わず取り消しとなり、地上職員から渡された新しいEチケットは次のようになっていました。

●ジュネーブ1455分発LH1219→フランクフルト1930分発JL408→成田着翌日1430

 

 経由地がオランダ・アムステルダムからドイツ・フランクフルトとなり、航空会社も KLMからルフトハンザ、そして日本航空に変更。日本の航空会社は海外のエアラインとはホスピタリティがまるで違うので大歓迎ですが、問題は荷物です。

 出発ゲートに待機中の航空機にすでに積み込まれているので、これは果たしてどうなるのか。すると、ですね、地上職員は「ここに行け」と言いながらチケットに「S belt」と書きました。そんなところがあったっけ?

 

 で、訊き直してみると、渡されたEチケットは搭乗券ではないので、要するに最初からもう一度やり直しなんですよね。つまり、出発フロアのルフトハンザ航空カウンターでチェックインして、荷物を預けて搭乗券を貰ってから、セキュリティチェックを抜け、搭乗ゲートに向かうわけです。

 

 そのためには、いったん機内預けにした荷物を再び入手する必要があります。こちらも到着時と同じで、いくつものベルトコンベアが並んだバゲージクレームBaggage Claimで荷物をピックアップするのですが、飛行機に乗っていないボクの場合は、特別な「S belt」から出てくるらしい。

 

 「ありがとう」と礼を言いながらも、初めての経験なので怪訝に感じながら歩き始めたボクを地上職員が追いかけてきました。「ミールチケットを忘れていました。3時間以上遅延した場合は出すことになっているので、これをどうぞ。空港内のすべてのレストランで通用します」と渡されたチケットと同じ厚紙には35CHFの手書き。これを見せれば、35スイスフランまでの食事が無料になるそうです。

 

 ちなみに、ボクは学校以外で特別に英語を勉強したことは一切なく、読み書きなら辞書で何とかなっても(実際に翻訳書をいくつか出版しました)、スピーキングとヒアリングは自信がありません。にもかかわらず、こうしたことが理解できたのは、ちょっとしたコツがあります。とはいっても決して難しいことではなく、相手が英語で言ったことを解釈したら、それを自分なりの英語にして必ず「確認」するということです。この時には文法なんか無視して単語だけで結構。先の例なら「S belt, where?」だけでいいのです。すると先方はいろいろ言うので、「Go to baggage claim?」と再び訊き直す。どんなことでも相手が「Yes!」と言うまでしつこく確認することが最有力なコツだとボクは考えてきました。おそらくこうだろうと勝手に判断して決めつけると、いよいよ迷ったり混乱するので、突発事や重要なことほど自分の言葉にして「確認」を取っておく。そのやりとりで先方はこちらの英語レベルを判断するので、客商売であるなら、次第に分かりやすく話してくれるようになります。

 

 というわけで、到着フロアに行き、Baggage Claimで「S belt」を探すことに。成田や羽田空港と同じように、便によって異なるいくつかのベルトコンベアが並んでいますが、その背後にひっそりとした感じで「Special Baggage」と表示されたところが確かにありました。長さ3メートル程度で「ベルト」と呼ぶには拍子抜けするほど短いので、Informationに行って「確認」しましたが、ここに間違いありません。よく見るとKLMのゲートで見かけた搭乗予定客もいるではありませんか。しばらくして荷物がゴットンゴットンと吐き出され、その中にボクのスーツケースもありました。

 

 これを転がしながら再び出発フロアに上がり、ルフトハンザ航空のチェックインカウンターで搭乗手続きです。「天候トラブルでもう1回やり直しっすよ」と話すと、係員はハハハと明るく笑いました。念のために「またセキュリティチェックだよね」と訊くと、「Oh Yes!」と肩をすくめながら腕を広げてさらに大笑いですから、陽気というか何というか。こちらの気分も楽になりましたけどね。

 

 このセキュリティチェックで、前回は珍しく靴を脱げと言われました。ボクは左膝に故障があって杖を利用しているので、脱いだ左側の靴のヒモを結び直すのは簡単なことではありません。今度も同じことを指示されたら拒否するつもりでしたが、予想通りだったので、杖と膝を指さしながら「No」と首を振ってやりました。すると、係員は仕方ねぇなぁという感じで黙認。これには驚きました。何でも言ってみるもんです。

 

 でね、もうひとつ驚くことに、行き先も出発時間も違うのに、搭乗ゲートは前と同じA8。最初からやり直して、まったく同じ場所に戻ってきたことになります。早朝6時過ぎからここまででおよそ8時間。まる1日がかりで、ようやく日本への接続空港となるフランクフルトに向かうことができます。

 そんなこんなで、またまた長くなったので明日も続けることにします。

 

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2018年1月22日 (月)

お、おもしろ過ぎ!(前)

 

 先週金曜日にスイス・ジュネーブから帰国したのですが、その旅程で大変に珍しいことを経験させてもらいました。昨年夏も往路でエアフランスがオーバーブッキングしたおかげで、第1ターミナルからはるばる第2の日本航空に乗り換えさせられましたが、どうもボクはアクシデントに遭遇する確率が皆様より格段に高いようです。普通よりおもしろいといえばそうですけど、今回はちょっとおもしろ過ぎなんだよなぁ。

 

 そもそもの始まりは、18日早朝のジュネーブ空港です。当初の予定では、午前9時5分出発のKLMオランダ航空でアムステルダムのスキポール空港に向かい、3時間半ほどのトランジットを経て午後2時30分発の同じくKLM便で翌19日午前9時45分に成田に到着することになっていました。

 

 ボクは時間ギリギリの行動で焦るのは大嫌いなタチなので、その日も早々と6時半頃にはジュネーブ空港に到着していました。ヨーロッパの渡航経験がある人には周知のことですが、シェンゲン協定加盟国は最初の入国以降から最後の出国までパスポート審査がありません。もちろん搭乗前のセキュリティチェックはありますが、要するにヨーロッパ内の移動は国内便と同じなので、そんなにも早く行く必要はないのですが、十分な余裕がないと落ち着かないんですよね。

 

 そんなわけで、空港内をぶらぶらして待ち時間をつぶして、8時過ぎには搭乗ゲート前に到着。外を見ると航空機がすでにタラップに接続されていたので、予定通りだなと安心しました。そこに航空機が待機していない場合は、到着遅れが出発便に連鎖する可能性が高くなるからです。

 

 ちゃんと駐機していても、乗務員のストライキで機長不在となって遅延したこともあるので過信は禁物ですけどね。しばらくして機長が「待たせたかなぁ?」とでも副機長に言ってコックピットに乗り込む様子を、待合室からイライラしながら眺めていたことがあります。

 

 さて、搭乗時間が近づくと、地上職員がゲート付近にポールを立ててビジネスとエコノミーに分けた順路を作るのが普通なのですが、直前になってもそんな気配がまったくありません。ものすごくイヤな予感を噛みしめながら、航空機とつながっているスロープを何気なく見ていると、機長と客室乗務員らしい女性が歩いてくるではありませんか。

 ゲートのカウンターに座っている地上職員も何となくざわついた感じになっており、とてもじゃないけど普段通りとは思えなくなってきました。するとカウンターの向こうで「キミが話したほうがいいんじゃないか」「いやいや機長のほうが適任でしょう」という感じでマイクを押しつけあっているようにボクには見えましたが、やがて機長のアナウンスが始まったのです。

 

 それによれば、スキポール空港が強烈な暴風に見舞われて離着陸が困難になり、到着便も上空で待機している状態なので、取りあえず出発が1時間ほど遅れるということでした。機材など人間に由来するトラブルなら文句のひとつも言いたくなりますが、相手が悪天候ではどうしようもありません。そのアナウンスを聞いた直後に、たちまち乗り換えなどを相談する行列がカウンター前にできましたが、ボクの場合は前述したようにアムステルダム到着から日本出発まで3時間ほどの余裕があったので、1時間くらいならまぁ許してやるかと。搭乗ゲート近辺にいても仕方がないので、再び空港内をぶらつきましたが、どういうわけか出発便のスケジュールを表示したボードには「On Time」とあるんですよね。新しい時間や遅延の表示になっていなければおかしい。不安になってすぐにゲートに戻ると、カウンターには相変わらず列ができており、状況はまったく変わっていません。

 

 機長と客室乗務員のまわりにも人だかりがあったので、それに混じって念のために搭乗券を見せながら、「コネクションは大丈夫ですよね」と確認すると、「アムステルダムからの出発便も同じように遅れるはずです」と言う。ただし「それは間違いないのですか」とたたみかけると「まだ確実なことは分からないので」と何とも頼りない返事です。けれども相手は前述したように天候ですから、それ以上を詰問することもできないじゃないですか。

 

 それから予定の1時間を過ぎても、搭乗を準備する雰囲気はまったくありません。いったんは姿を消した機長と客室乗務員のカップル、じゃなかったペアがゲートのカウンターに再び姿を表わすと、マイクを握って「やはり天候が回復しないので2時間ほど遅延となりそうです」と言うんですよね。

 

 1時間+2時間=3時間では、日本出発便が定刻であれば間違いなく乗り遅れます。それでボクも焦ってカウンターの地上職員に問い合わせましたが、「現地の発着便がまだ確定していないので11時にまた来てほしい」という返答でした。

 

 これが往路であるなら、さすがのボクもパニック状態の大混乱になっていたはずです。ホテルの予約はもちろんですが、ヘタすりゃ翌日のアポにも遅れて、多数の関係者にご迷惑をおかけすることになるので。ところが帰国便で到着の翌日はお休みの土曜日。そこで覚悟を決めて「何ならアムスに一泊くらいしてやってもいいぞ」くらいの余裕をカマしていました。かくして「おもしろ過ぎる!」という他人事の感想になるわけですね。

 

 約束の11時頃になると、ボクのメールに「ご予約のKL0861便の出発時刻が15時に遅延いたしました」という告知が入りました。これはアムステルダムから成田行きの便ですが、定刻から僅か30分ほどの遅延に過ぎません。もはや事態は決定的で、ジュネーブ発の便からすべてを変更しなきゃいけないので、カウンターに直行して長い列に並ぶことに。男女2人の地上職員がそれぞれの乗り換えなどを懸命にさばいていました。

 

 スイスでの時計取材は20年以上。大学の取材なども含めて海外渡航経験は多いほうだと思いますが、空港内を乗り継ぎで走らされたことはあっても、これほどダイナミックな遅延は初めてです。ボクってばいったいどうなるんだろうと、ハラハラドキドキと好奇心がセットになっていたおかげで時間が早く過ぎ、予想よりも早くコンピュータとにらめっこしている地上職員と面談することになりました。

 

「成田と羽田、どちらがいいいですか?」

「そりゃまぁ羽田のほうが近いので、できればそちらのほうが」

「あ、ごめんなさい羽田ルートはダメでした。満席だから、やっぱ成田ね」

「仕方ないですよね。でも、アムステルダム発の便も遅延していると聞いたので、もしかすると間に合ったりしませんか」

「絶対に間に合いません。ちょっと待ってね。えーと、フランクフルト空港経由がありだなぁ。ルフトハンザで14時55分出発。帰国便は19時30分発の日本航空ということになるけど、それでいいですか?」

 

 この会話はもちろん英語ですが、分かりやすく意訳してあります。いずれにしても、結果的に昨年夏に続いて日本航空を再び利用することになったわけです。日本を代表する航空会社と何か隠された奇縁でもあるのでしょうか。その後も海外に行かれる皆さんの参考になることを経験したのですが、長くなったので、こんな緊急時の英会話のコツと、続きは明日ということで。。。

 

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2018年1月12日 (金)

旅の荷造り

 

 毎年のことではありますが、国際時計展示会の取材でスイス・ジュネーヴに出張いたします。1990年代半ばから続けてきたことなので、荷造りなんて慣れたものだろうと思われるみたいですが、そうでもないんですよね。言うまでもなく旅装の基本的なスタンスは必要最小限ですが、海外では何が起きるか分からないからです。

 

 これまでにあったアクシデントをちょっと思い返してみると、ジャケットに赤ワインをこぼしたり、スコールのような強烈な雨にびしょ濡れになったり、自転車に乗った悪党にカバンを引ったくられたり、真冬なのにコートをクロークが紛失するなど、いろいろあるんですよね。ボクは経験していませんが、機内預けのスーツケースが別の国に飛んでいってしまったなんてこともありました。

 

 というわけで、薬などの絶対的な必需品は、全部でなくても2日分くらいは機内持ち込みの荷物の中に入れておくべきです。そのほかの携行品も、ある程度のバックアップが必要なんですが、この案配が難しい。たとえばワイシャツは、ジュネーヴの場合は実質3日間の取材なので3枚+帰国時の1枚=4枚でいいかといえば、やはりサブとしてもう1枚を用意したほうがいいかなとなります。クリーニングから戻ってきたビニールの封も破らず、そのまま持って返ることもしばしばですが、やはり「もう1枚」があると何かと安心なんですよね。

 

 ではジャケットやスーツもバックアップが必要かといえば、そこまで用意したらカバンはパンパンとなってしまい、現地で入手する取材資料などを収納できなくなってしまいます。

 

 このため、ボクの場合は出発の3日くらい前からスーツケースをテーブルに出しておき、様々なシチュエーションを思い返しながら、必要と思われるものをどんどん放り込んでいきます。自分なりの必需品チェックリストはあるのですが、これは最終段階用なので、当初は「あ、そういえば!」を否定することはありません。

 

 こうして放り込んだものを、出発前日に再度見直して、やっぱり不要となれば外していくわけです。結局は毎年同じ顔ぶれの荷物になってしまうのですが、最近になって新しく加わったものがあります。折りたたむと小さくなるバッグと、携帯スチーマーです。前者は資料などが多くなった時に、衣類などをまとめて機内預けの手荷物にするため。もうひとつの携帯スチーマーは、ボクの秘密兵器でございまして、ジャケットやスラックスなどのシワ取りに劇的な効果があるんですよね。もちろん日本製。ということは、電圧が異なる海外では変圧器が必要になります。数年前に家電量販店でススメられたものを合わせて携行するので、これが以前とは大きな違いです。どちらも小型なので出力が小さく、十分な蒸気噴出量とはいえないのですが、変圧機能を内蔵した旅行用の携帯スチーマーをボクはまだ店頭で見たことがないので仕方ないですよね。

 

 そのほかにも、スーツなどがシワにならない収納方法や、肩を潰さない携帯ハンガーなど、旅装にはまだまだ課題が少なくありません。つまり、スーツケースやカバンなどを改良・改善していく余地は沢山あるはずです。にもかかわらず、昔ながらの基本スタイルが継承されており、「こりゃすごい」と感心させるものに出会ったことがありません。家電などもそうですが、まだまだ工夫次第でヒット商品を生み出せるはずなんだけどなぁ。

 

 そんなわけで、このブログは来週からお休みとさせていただき、帰国後の22日月曜日から再開する予定です。例によって旅先で思いついたことがあればアップするので、たまにチェックしてみてください。

 

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2018年1月11日 (木)

苦労が身につかない?

 

 「あなたってさぁ、人生で苦労したことなんてないでしょ。欲しいものは何でも簡単に手に入れることができて、好きになった女の子にも振られたことがなかったんじゃないの。私には分かるの、絶対にそうよ、そうに決まっているわ」

 

 何をどう勘違いするとそうなるのか、まったく不思議でなりませんが、ある中年女性からこんなことを言われたことがあります。ボクの服装や顔つきや話しぶりが仮に苦労知らずに見えたとしても、あまりにも失礼な言い方だと思いませんか。

 

 だからといって、これまでの個人史を詳しく語るような時間も関係性もなかったので、「そんなことないよ、はははははーはーぁ」と力なく笑みを浮かべながら否定することしかできませんでしたが、ロクに知らないアカの他人をそこまで勝手に決めつけられる強烈なメンタリティは、ボクには想像もつきません。

 

 でもねぇ、そのようにはっきりと面前で言わないまでも、似たような印象を持っている人がほかにもいる可能性は否定しきれません。だから、ここで皆さんに明確に断言しておきますが、そりゃもうワタクシの人生は苦労&苦労の連続でございまして、女性関係だって失恋ばっかり。これからの老後にしても、不安な要素は事欠きません。

 

 ただね、そういう苦労や心配や不安を額に刻みつけるのはイヤだなぁと思ってきたことは事実です。なので、先の女性がボクを冒頭のように品定めしてくれたのは必ずしも悪い気分でもないなぁと。もちろん経験は豊富なほうが何かと便利なはずですが、あまりにも苦労や重みや悲哀を感じさせる表情や雰囲気は、ちょっと圧迫感があって息苦しいではありませんか。その意味で、ボクにとっては「苦労人」という評価よりも、むしろ軽薄で能天気に見られるほうがまだマシだと思うわけです。「ちょいワル」というにはほど遠いでしょうから。

 

 まぁね、他人からどう見られたところで、自分のイメージを今さら変えるのは困難なので、お好きなように判断してね、としか言えません。ただ、苦労なんてさ、そんなものはできるだけ身につかないほうがいいんじゃないかなぁ。もちろん失敗や挫折は、それを繰り返さないように深く反省して心に残すことは必要ですけどね。そういうことを、きちんと彼女に説明できなかったことだけが心残りなのです。

 

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2018年1月10日 (水)

悪い奴ら

 

 浜の真砂は尽くるとも、世に盗人の種は尽きまじ。

 

 安土桃山時代の大盗賊、石川五右衛門が処刑された時の辞世の句として大変に有名ですが、「種は尽きまじ」というより、SNS全盛の時代にもかかわらず、似たような悪事が何度も繰り返されることに呆れてしまいます。

 

 言うまでもなく「はれのひ」事件です。テレビや新聞の報道で詳細が次第に明らかになってきましたが、以前から様々な理由やサービスをくっつけて前払いをせかしていたようです。けれども、いざという時に責任者が遁走。営業所も閉鎖して踏み倒すという事件は以前に何度もありました。

 

 最近では格安旅行会社「てるみくらぶ」の破綻が、と書きかけてネットで調べ直してみたら、驚くことについ昨年ではありませんか。こちらも旅行直前にチケットが届かない、あるいは宿泊できなくなったという被害が大々的に報道されました。今回の「はれのひ」も規模や業種こそ違いますが、会社経営が行き詰まり、決算を粉飾して融資を受けながらも財務状態がさらに悪化。給料の遅配などを経て、最後には一般消費者に迷惑をかけまくるという構図はまるきり変わっていません。

 

 そんな泥沼に足を踏み入れる前にさっさと倒産・自己破産しろよと言いたいところですが、無能な経営者ほどジタバタとあがくんですよね。その断末魔を象徴するのが前払い、会社側にとっては前受金ということになるわけです。

 

 経営に少しでも携わった人は、こうした前払いを異常にせかす会社はすぐに赤信号と判断しますが、旅行代金や航空券、それに今回の成人式の晴れ着などは慣例もあって、現物引き替えとは言いにくい。そこにつけこむからこそ悪質なんですよね。こんなのは詐欺まがいでなく、さっさと詐欺と断定すべきだとボクは思いますが、それが法的に確定するまで時間がかかるほか、払ったカネがきちんと返還されたなんて聞いたことがありません。

 

 でもね、ここまでSNSが普及したのですから、その予兆や警告みたいなサインがどこからか出ていても不思議はないだろうと思うのです。むしろ、それによって被害を最小限に留めるのが「高度情報化社会」の本筋じゃないかなぁ。オープンなブログやウェブサイトでは営業妨害で訴えられる怖れもありますが、LINEなんかで「あそこはちょっとおかしいよ」くらいのことは言えるのではないでしょうか。事実無根の中傷誹謗なども同じように広まる可能性もあるのでデリケートな注意が必要ですが、これからはネガティブな情報の信頼性や確度、そして速度が問われるようになるとボクは考えています。

 さもければ、いつまでも一般消費者が悪い奴らの餌食になり続けるじゃないですか。

 

 現代の消防は、火災を消し止めるだけでなく、予防のほうに重点が置かれています。難燃あるいは不燃の建材が普及してきたのもそのためですが、詐欺や犯罪も同じであるべきですよね。そういえば地震警報も似ていますが、消費者に被害が及ぶことを未然に防ぐ警告的な情報流通が急務ではないかと思うのです。

 

 ビッグデータの処理技術が発展すれば、犯罪予報だって可能になるはずですが、それでも「盗人の種は尽きまじ」と意識するのが、ボクたち自身の社会的な免疫ということになるでしょうね。

 

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2018年1月 9日 (火)

HUB浅草店

 

 年に数回ほどですが、スキヤキを猛烈に食べたい時があります。焼肉も悪くはないんだけど、せいぜいサンチュで巻く程度なので、すぐに飽きてしまうんですよね。年を取ったせいか、厚く切られた牛肉も苦手になってきました。

 

 それに比べて、スキヤキの肉は人間技では不可能なほど薄く切られているほか、シラタキ、焼き豆腐、シイタケにクレソン、じゃなかった春菊などの取り合わせにバラエティがあります。これを醤油ベースの甘じょっぱい割り下で煮つめるのですから、毎日は食べられないにしても、味がクセのようになって忘れられないのです。

 

 しかもボクは何と贅沢にも、ウェイトレスでなく仲居さんというのかな、できれば和服を着た妙齢の美しい女性に下ごしらえをしてもらうのがスキヤキの基本であると信じてきました。つまり、家庭でこしらえたら旨さが半減してしまう外食中の外食、王道的な存在といっていいでしょう。

 

 お会いしたことはありませんが、瀬戸内寂聴先生も「シニアは肉を食べなさい」と話していたことがあるので、正月明けの連休ということで、思い切って浅草に行くことにしました。浅草寺の初詣からスキヤキの名店・今半へのルートを想定していたのですが、仲見世通りは相変わらずの大混雑。秒速で諦めて国際通り本店に直行しました。かなり結構な値段ではあったのですが、質素な1人暮らしの正月を過ごしたので、たまにはこれくらいの散財は許されるだろうと。はい、期待に違わず大変に美味しゅうございました。

 

 でね、本題は食後の楽しみとして足を向けたHUB浅草店のライヴなのです。この店は先週1月4日のブログで紹介したように、グループの他店とはまったく違います。大きなステージがあって毎日ライヴを行っており、このためキャッシュオン・デリバリーでなく後払いなど、店名こそHUBですけど、むしろ別の名前にしたほうがいいんじゃないかと思うくらいです。

 

 実はスキヤキよりも同店のライヴがお目当てでありまして、はるばる遠く浅草までやってきたわけです。この日の出演者は永濱昌彦とデキシーVIPにヴォーカルとして木津ジョージさん。「デキシー」とあるように、ジャズの原点とされるディキシーランドジャズを得意とするバンドで、ピアノ、クラリネット&サキソフォン、トランペット、トロンボーンにウッドベースとドラムの6人編成=セクステット。ウェブサイトがなかったので未確認ですが、クラリネット&サキソフォンが最高齢の85()で、平均年齢70歳以上というスーパーシニアなバンドです。ヴォーカルの木津さんも70代半ばですから、年齢だけ紹介するとものすごく誤解されそうだけど、演奏が素晴らしく上手なんだよな。一芸に秀でたジーサンたちがこんなにもカッコ良いとは不覚にも知りませんでした。同夜のハイライトと思われるリーダーのドラムソロも10分以上。よく息が上がらないものだと心配しつつも、その迫力とテクニックに圧倒されました。木津さんのヴォーカルもほどよく枯れた味があるというか、円熟した雰囲気と色気が漂っているんですよね。

 

 年季を経ても生き残ってきた実力派のベテランが揃っているせいか、満員の店内はシニアばかりでなく、若い男女が目立つことにも驚きました。ディキシーランドジャズは日本ではとっくにオワコンかと思っていましたが、決してそうではないようです。インテリぶった小難しいプログレッシヴよりメロディアスで楽しいですからね。このライヴも3種類のブラスが一斉に音を放つ重層的なハーモニーが耳を通して胸にまで届き、心が沸き立つほど気持ち良く感じました。軽快に跳ねるようなピアノなど、それぞれのアドリヴも余裕があるので安心して聴けます。譜面なしで基本的なメロディとコードだけでつながる、ジャズセッションの楽しさを久々に堪能させていただきました。

 

 ステージは休憩を挟んで40分×3回。これでミュージックチャージは入れ替えなしでなななななな何と1600円ですよ。オーダーはメニューに記された料金に消費税だけ。ちなみにグラスワインは一杯660円。いつもの銀座に比べて、ホントに安いよなぁとしみじみ感心しました。

 

 こんな店が渋谷や新宿にあったら絶対に行きつけにしたはずですが、恵比寿から浅草はさすがに距離があります。でもまぁ月に1回くらいは行くぞと。あまりにも人気になって混雑するようになったらイヤだけど、ライヴが好きな人には超オススメの店であります。

 

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2018年1月 5日 (金)

彼女・彼氏がいない!?

 

 ある取材の時に、衝撃的なデータを紹介されました。未婚者のうち男性の約7割、女性も約6割が彼氏・彼女がいないというのです。さらに、そのうち男女とも約3割は交際相手を持ちたいとも思っていないらしい。

 

 これは国立社会保障・人口問題研究所が2015年6月に実施した「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」の結果で、厳密には1834歳までの平均なのですが、交際相手を持たない人の比率が年々高まっていることにも驚かされます。

 もっと細かく紹介すると、未婚男性の場合、2024歳で67.5%、2529歳で68.4%、3034歳で68.7%。女性では同じく55.3%、58.1%、3034歳になると急増して64.8%。適齢期から外れているか、既婚とみなされて敬遠されやすいからでしょうか。

 男性の平均比率がこれらの年代を超えた7割になっているのは、1819歳の層が引き上げているからです。大学入試の前後だけに、恋人なんか作らないで真面目に受験勉強に取り組んでいるということになるのかな。

 

 当然のことながら性経験のない未婚者も増加しており、たとえば2529歳の男女ともに約3割。こちらも1834歳までの全世代で前回(第14回、2010年)よりも増加しています。

 

 若者男性の「草食化」がいわれたのはずっと昔のような気がしますが、ここまで事態が進行しているとは予想もつきませんでした。男性が交際相手を作ろうとしなければ、彼氏のいない女性だって増加しますからね。

 ボクは基本的に人間なんてそんなに変わるはずがないということを信念としてきたので、このデータは大変にショックです。未婚男性が10人いたら、そのうち7人は恋人がいないなんて、相当に不自然な社会だと思いませんか。特に20代といえば、下世話にいえば「やりたい盛り」であるはずなのに、交際相手を望まない男女が3割なんて、とてもじゃないけど信じられません。

 

 SNSの普及で、交際にともなうトラブルがバレやすくなったので、濃密な恋人関係を怖れるようになったと分析する識者もいるようですが、だからといって孤独な「お一人様」がそんなにいいかなぁ。ボクには人間の本能を社会環境が抑え込んでいるとしか思えないのです。特にSNSなんて、このブログでいつも批判してきた「横並び」と「同調圧力」を促進するだけじゃないかな。

 だってさ、みんながホントに恋人なしで満足しているなら、恋愛をテーマとしたテレビや映画がヒットするはずがない。もちろん、カップルとしてのつきあい方は時代によって大きく変わって当然ですが、交際相手やパートナーを求める孤独な心境は、どんな人間にも共通しているんじゃないかな。ボクみたいなオッサンになると、面倒くせぇなぁと痛感することしばしばですけどね。

 

 だからさ、若いうちはもっとバカになって、情熱に突き動かされなきゃいけません。それで恥をかくなんて昔は普通にあったことなのにね。この話題はもうちょっと深く考えないといけないので、結論は据え置きとさせていただきます。ただし、欧米では交際相手のいない独身者を近親者や友人・知人たちが心配するのが常識的です。それで適当な相手を見つけてきて引き合わせたりする。そういう「お節介」、つまり世代を超えた社会的な関係性が日本では希薄になってきたことも大きな要因のような気がしてなりません。

 

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2018年1月 4日 (木)

ジャズィな年末年始

 

あけましておめでとうございます。

旧年中はご愛読ありがとうございました。

本年もよろしくお願いいたします。

 

 昨年末のブログで追記したように、更新は明日5日からの予定でしたが、取りあえず正月三が日も過ぎて、書けない・書かない理由は特段見当たらないので、「書き初め」として早めることにしました。

 

 さて、年末年始の話題です。ボクにとって最大のトピックといえば、アンドレア・モティスのライヴを聴けたことかな。彼女の名前をタイトルにした2016年9月1日のブログで紹介したように、YouTubeで発見したスペイン生まれの天才少女でありまして、詳しくはブログを再読いただきたいのですが、トランペットとヴォーカルが優れて魅力的なジャズ・ミュージシャンです。

 

 そんな彼女が年末に来日するというのですから、こりゃもう行かないわけにはいきませんよね。けれども、最初に出演するブルーノート東京はクリスマスイヴを挟んだシーズン最高潮の3日間なので、気づいた時はすでに遅く、くやしまぎれに言うなら料金も相当にスペシャル。その後の公演となるコットンクラブ東京を予約することができました。クリスマスをすっかり抜けたせいか、料金もそこそこでおトク感もあります。ここでは以前にビッグバンドのジャズを聴いたことがありますが、大人向きの落ち着いた雰囲気のシアターレストランです。

 

 ボクはフルバンド編成の“Lover, come back to me”(恋人よ我に帰れ)を視聴してすっかり彼女に惚れ込んだので、ブラスが勢揃いした重層的なジャズサウンドを期待していたのですが、今回はお師匠さんでもあるベーシストのジョアン・チャモロと、ピアノとギター、それにドラムスと一緒のクインテット。それでも彼女の鼻にかかった甘い歌声と、軽快でしなやかなトランペットさばきは期待通りでした。ボクはことさらなジャズファンではなく、延々と続くアドリヴや難解なプログレッシヴは裸足で逃げ出す無知なビギナーですけど、オールディーズともいえるスウィングジャズは大好きなんですよね。

 でね、ライヴの最初の曲が“You'd be so nice to come home to”だったことで分かるように、アンドレア・モティスは昔のスタンダードを得意としています。つまり、ボクにはストライクど真ん中のジャズというわけです。ちなみに、この歌はコール・ポーターの作詞作曲で1942年に発表されました。ヘレン・メリルのハスキーな歌声があまりにも有名ですが、彼女のオリジナルではなく、カヴァーとして1954年制作のデビュー・アルバムに収録されたというのは調べて初めて知りました。いずれにしても彼女を代表する楽曲であり、世界的にヒットして多大な影響を与えた反面で、日本ではダルそうに歌えばジャズヴォーカルという誤解をもたらしたとボクは考えていますけどね。

 

 一昨年に亡くなった大橋巨泉はジャズ評論家の頃に、この歌を「帰ってくれたらうれしいわ」とタイトルしたそうです。そんな切ない想いを歌とトランペットで演奏したアンドレア・モティスは、昨年末でまだ22歳。何と形容していいのか悩みますが、人生の重さを背景にした過度な感情表現ではなく、純粋に心地良い音楽に昇華されているとボクは感じました。トランペットも、細かな指使いの早びきとアドリヴは天才少女と称されてきた評価を納得させますが、決して押しつけがましくないんですよね。

 それだけに、できることなら、もっと小さな“箱”で、もっと長く飽きるほど聴きたかったなぁ。1ステージ1時間ちょっとなので、やはり短く感じました。

 

 そんな余韻を年始まで引きずっていたらしく、正月2日にあまりにもヒマだったので、つい浅草に行ってしまいました。絶賛大混雑中の浅草寺初詣なんぞではなく、ここの英国パブHUBは他のグループ店とは大違いで、何とジャズのライヴをやっているのです。これまで虎姫一座の行き帰りに2~3回覗いてみたことがありますが、そのたびに満員御礼でお断り。だったら昼間に行って、取りあえず中の様子を見てみようと思いついたわけです。

 

 それ以外に何の目的も期待もなく、午後3時頃にぶらりと入ったら、正月三が日は「新年マチネージャズライブ」というではありませんか。ボクが入店した時は偶然にバンドの休憩だったらしく、まったく気づかなかったのですが、しばらくするとバンドマンが集まって演奏が始まりました。それがまた、ボクの好きなスウィングジャズでありまして、特に女性のピアノの弾き語りが圧倒的な迫力を感じさせるのです。サックスとトランペット、ベースにドラムスの編成で、いきなりルイ・アームストロングの“What a wonderful world(この素晴らしき世界)ですもんね。しかも歌詞が、なななな何と日本語じゃないですか!!! そんなのボクはこれまでに聞いたことがありません。どうやら彼女=ダイナマイト・ミキさんというシンガー&ピアニストの自作らしいのですが、サッチモの歌のみならず、トランペットの音真似(!)も上手な芸達者でありまして、おそらく知る人ぞ知る有名人だろうと察しますが、とにかく感動いたしました。

 

 にもかかわらず、グラスワイン2杯で料金は税込み1340円。ボクはたまたま音楽チャージなしの時間に入店したらしいのですが、年の始めらしく、実にありがたくめでたい気分にさせていただきました。今度は早めに夜の本チャンに行ってみようかな。

 

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