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2019年6月 6日 (木)

K君のこと(中)

 

 昨日のブログで紹介したK君は、ボクにとって数少ない親友に位置付けられるとはいっても、継続的に過ごした時間はあまり多くありません。むしろ普通より少ないといっていいでしょう。ボクは水泳部で彼はサッカーと、互いに部活をやっていたので、放課後はいつもつるむなんていうこともなかったなぁ。だから珍しく彼の家に行った時のことはよく覚えています。

 名古屋の中心部、お城の近くにある低層の公営集合住宅で、室内にはスタンドピアノがありました。彼に教えられてオフホワイトの鍵盤に指を置き、ビートルズ『レット・イット・ビー』のイントロコードを弾いたのがボクのピアノ初体験です。

 彼はボクと同じ一人っ子と思い込んでいたのですが、意外にも可愛い妹がまとわりついてきたので驚きました。性格や態度はまるで長男らしくなかったんですけどね。

 父親の異動に伴って転居し、中学も転校した初めの頃に「遊びに来い」と誘われて訪問したものの、それからは音信不通。ところが、お互いに勉強は怠け者で成績が同レベルだったのか、某県立高校の入学時に同じクラスになりました。奇遇というほかないのに、「あれ、お前も?」と呼びかける程度。引っ越しが多くて地域に執着を持たない根無し草同士ですから、再会にも感動が薄いのであります。

 けれども、2年になる前に再び父親が異動。今度は名古屋からはるかに離れた九州です。高校通学のために彼だけ残る選択もあったようですが、結局は転校して、またまたご無沙汰となりました。小中ならまだしも、高校段階での新しい環境であり、しかも文化風土が相当に違うところですから、さすがに馴染むのに手間取ったようです。2年の夏休みにコンサートで名古屋に来るというので、それが終わった夜に会いましたが、半年も経っていないのに気配というか雰囲気が違う。何かの話のついでに彼の掌を見ると、親指の付け根から手首に欠けて長い傷跡があるではありませんか。

「朝鮮学校の生徒とバス停で口論になり、向こうがナイフを出してきた」
「それでお前はどうしたんだ」
「脅しのつもりだろうと思ったから、こっちからナイフを握ってやった」

 えーと、つまり、こういう奴なんです。相手のほうがびっくりしたんじゃないかな。出したナイフをいきなり彼がつかみ、血がダラダラですもんね。バカなんじゃないかと思うでしょうが、男にはどうしても退けない時があるのです。転校生はそうした試練を乗り越えなければいけない。でなければコミュニティは存在を侮って、過酷なイジメにはしることもあるのです。

 かといって、意地を張って傷つけ合いたくはない。警察の厄介になれば将来にも影響しますから。そんな計算ができる男なら、そもそも他校の連中とケンカなんかしないはずですが、怯んで後ろに下がるのは沽券=プライドにかかわる。そんなこんなの考えと感情が頭の中で嵐のように渦巻くうちに、咄嗟にナイフをつかんでしまったのではないでしょうか。他人を傷つけるよりも自分が、なんていう崇高な精神ではないとしても、実は優しい奴だったのです。

 そんな大変な経験をした彼を励まそうと思っても、高校2年生が夜にやれることは限られています。夜行のブルートレインで九州に帰るという彼に会ったのは名古屋駅。泊まることもできると言うので近辺の宿泊場所を探したのですが、今のようにスマホでサクサクっと検索という時代ではありません。若い男が2人揃ってフラリと「空いている部屋ありますか?」ですから、そっちのほうに見られた可能性も高いんじゃないかな。

 それに気づいて宿泊はすぐに諦めましたが、夜行が出発するまでの時間をどうしたと思いますか。もう何十年も前のことなので告白しますけど、まだ整備されていなかった頃の駅裏にあったスナックに入ったのです。暖色系の明かりを灯した安っぽい店が猥雑に立ち並ぶ一角でした。ボクも彼も一応は進学校に通う真面目な高校生でしたから、よくまぁそんなことができたもんだと今は思いますが、当時は怖い物知らずだったんですよね。それでウィスキーの水割りを一杯だけ。店の人は高校生と分かっていたのでしょうか。

 濃紺のペンキで塗装された夜行列車に乗り込む時に、彼は振り返って「いろいろありがとう。じゃあな」と簡単な一言。こちらも、負けずに頑張れよなと心で声援しながらも「おう」と手を挙げて応じるだけ。テレビドラマや小説じゃあるまいし、現実はそんなものですよね。

 けれどもボクは、ようやく親友と呼べる奴を得たような気がしたのです。

 いうわけで、またまた長くなったので、明日に続きます。

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