ビオレUのハンドソープを2本とも使い切ったので、ドラッグストアでリフィルを購入することにしました。ありそうな棚に見当たらないので、店員さんに聞くと「ビオレUならこっちです」と言う。そこで2本を購入して自宅に戻り、さっそく1本を詰め替えてポンプを押してみると、すごく固くて、いつものふわふわな泡が出てこない。あららららヘンだなとパッケージを確認すると、このリフィルはボディソープであって、泡ハンドソープとは違うんだよな。洗う対象は手でなくて身体ですから、粘りもそれなりに違うのだと深く納得。そうと分かれば、開封した1本は勉強のための貴重な犠牲として、もう1本を返品して、新しく2本を買い直せばいいですよね。
再び気を取り直してドラッグストアへ。レジで説明すると、「あ、そうですか」と返品自体は問題なかったのですが、「ハンドソープの在庫はありません」と突き放すような言い方をする。それでボクも超遅ればせに気づいたのですが、テレビで毎日「手を洗え」とうるさいほど言うおかげで、かつてのトイレットペーパーやティッシュ、そして現在も品薄が続くマスクやアルコール消毒剤の仲間入りをしてしまったらしい。
このドラッグストアだけかもしれないので、念のために別の店に行ってみると、やはり「ありません」という。「似たようなモノならありますよね」と畳みかけても、「液体のハンドソープはすべて売り切れ。固形の石鹸しかありません」と実に無慈悲なお答え。諦めて帰ってきました。
かつてのオイルショックでもトイレットペーパーが買い占められましたが、今回の新型コロナは何かと組織的な在庫切れが相次いでいるように感じます。とにかく、必要なモノが店頭からどんどん消えていく。ハンドソープがなければ、ボディウォッシュでも石鹸にしても、とにかく手は洗えます。ボクもプランBとして石鹸にするつもりですが、問題はそんなことじゃないんですよね。客がちょっと押し寄せると、すぐに商品がなくなり、それが連鎖して飢餓的なパニック心理を加速させるだけでなく、抜け目のない転売ヤーもゴキブリのように出現。たちまちネットで戦後の闇市のような無法な高額売買が行われる。知人の情報では1本3000円近いものも少なくないそうです。こんなことを何度も繰り返していいんですか、ということなのです。
無駄を徹底的に削ぎ落とし、利益を最大限に追い求める現在の商品流通は、どうやら供給を需要ギリギリの数量でセットしているらしい。製品であれ材料にしても、余計な在庫は利益を圧迫するので、平時はそれで正解なんでしょうね。けれども、ちょっと状況が変わって需要が急増すると、すぐに欠品状態。特に近年は原価を圧縮できる国際的なサプライチェーンに依存しているので、予定外の緊急発注には対応できないわけです。その陥穽を狙って転売ヤーが次々に買い占めていくため、少しばかり増産してもまるで間に合わないわけですね。要するに、平時の需給は綱渡りのように危ういバランスで均衡しているってことです。
トヨタのカンバン方式=ジャスト・イン・タイムの普及によって、在庫はあたかも悪のように捉えられてきました。この方式が考案された当初は、豊田市にある本社工場の周囲を部品を積んだトラックがグルグル走りながら、納品指示を待っていたと聞いたことがあります。それが悪意のある噂だったとしても、下請け企業との緊密な関係が、在庫ロスの解消に寄与していたことは間違いないはずです。
ところが今では、そのサプライチェーンの重要な部分を中国が占めています。このため、新型コロナの蔓延という予想外の事態が発生すると、マスクは言うまでもなく、トイレなど水まわりの部品や機器が納品されなくなり、日本国内の生産活動自体も停滞してしまう。繰り返すようですが、こうした国際的な物流は平時ならローコストで高い利益を生み出します。けれども、緊急時には現地の需要が優先されるため、発注者のほうが不便を強いられることになるのです。
パンデミックなんて誰も予想できないことですから、これまでは仕方ないとしましょう。けれども、第二波や第三波の感染爆発が到来した時も、同じように我慢するんですかねぇ。PCR検査だって、まだまだ1万件にも達していないですから、心配になるじゃないですか。ちなみに韓国では1人の女性医官に全権を委任。彼女がドライブスルー方式を開発したほか、全自動で人間はノータッチの検査体制を確立して、世界からモデルケースと絶賛されています。
それに比べて日本は「船頭多くして、船は山を登る」といっても過言ではありません。国と自治体の軋轢が象徴的ですよね。問題の原因が分かったなら、それを解決すればいいだけのことなのに、どういうわけだか手をつけない。たとえば前述の液体ハンドソープなど必要物資は、常に一定量を備蓄しておくことを供給者に義務化する。あるいは生産拠点を国内にも確保しておくとか、リスク回避の方法はいくらでも思いつきます。それによって少しばかり定価が高くなっても、店頭から消滅するよりマシってものじゃないですか。もちろん家庭内でも災害時などを想定した備蓄を用意しておくべきです。実際に、ボクは地震用の緊急セットに助けられました。
現場の皆さんは頑張っていると思いますよ。しかしながら、率直に言わせていただければ、言い訳と後付けの解釈ばっかり上手な人たちがあちこちで権力を牛耳っているように感じられるのです。
なお、明日は早朝から案件があるため、ブログをお休みいたします。翌13日水曜日に更新する予定です。
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