不毛な質疑
「政権を私物化していませんでしたか」
「いいえ。説明不足はあったかもしれませんが、断じて私物化はしていません」
金曜日の安倍総理辞任会見での質問と回答要旨です。ネットの報道によれば、これは長丁場となった記者会見の最後から2番目の質問とされています。ボクは早々にバカバカしく感じてテレビを見ていなかったので、あくまでも「伝聞」ということになるんですけどね。
それまでも、その後もそうですが、政策より政局のことばっかり。安全地帯に陣取った有識者ならびに評論家やコメンテイターの皆様による憶測やら推測、政界の噂話などのオンパレードですもんね。そんなことより、安倍内閣のこれまでの政策をきちんと総括しろよ。コレはかろうじて評価できるけどアレは完全な失敗だったから、次の総理はコレとコレをしなくちゃいけない、とかね。アベノミクスって要するに何だったんだよ。
もうすっかり忘れてしまいましたが、国会議員としての選挙公約や、総理就任時の抱負や施政方針演説なども振り返って、その達成率にもとづいて点数をきっちりつけるべきではないでしょうか。 口先だけは元気でも、予算を執行するまで時間がかかりすぎるのも、安倍内閣の際立った特徴じゃないかな。
難病による辞任の無念さといった個人的な心情は、ボクたちごときが論評できることでも、すべきことでもありません。国家の指導者という重責と圧倒的な権力を掌中にした人間の恍惚と不安(ヴェルレーヌ)、栄光と驕り、そして隔絶した孤独感は、とてもじゃないけど凡人のボクたちに想像できるはずがない。
けれども、彼の政策を判断することは、国民であるなら十分に可能です。たとえば2014年と19年の2回に及ぶ消費税増税は適切だったのか。その使途は果たして当初の規定通りなのかどうか。経済の低迷を長期化した元凶になっていなかったか、とかね。こんなことを言い出すとキリがないのでやめますが、現在のメディアにおける報道や評論は、より良い社会を創っていくためのエビデンスにしようという視点に欠けまくっているように感じるのです。
冒頭の質疑も同じで、「政権を私物化していなかったか」と問われて「ええ少しはしたかも」と肯定するような大馬鹿野郎は世界のどこにもいません。誰だって「とんでもない」と否定するに決まっています。こんな曖昧な問いかけではなく、もっと具体的な答弁を引き出せる直接的な質問をするべきでしょう。それであれば、総理が明言を避けた、あるいは逃げたという印象を視聴者に強く感じさせることができます。
いずれにしても、新型コロナ禍では感染者数などの数字もコントロールされている可能性があるので、ボクたちに見えるすべては茶番と言い切ってもいいかもしない。けれども、それでは1㎜も前に進めないので、もうちょっと根拠や証拠に基づいた対話や議論をする習慣を身につけようよ。社会科学なんて、日本にちっとも根付いていないじゃないか。
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