郵政省(前)
省庁再編によって郵政省はとっくに消滅したので、どうでもいい話ですけど、その傘下の郵便関係で問題を感じることがいくつかありました。最初に疑問を感じたのは第三種郵便です。公益に寄与する定期刊行物を通常より割安な値段で郵送できる制度なのですが、そのかわりに紙・誌面の中で広告が占める割合が5割以下といった規定があります。では、その規定をすべてクリアすれば第三種として認可されるかといえば、必ずしもそうではありません。役所というのは、このグレーな部分を利権化する習性があるらしい。
この第三種郵便の認可を受けた定期刊行物を持っていれば、様々なメリットが生まれます。インターネットやメルマガなどデジタルメディア全盛の今では考えられないでしょうが、通販などの商品カタログを格安で郵送できれば、コストを大幅に削減できるじゃないですか。ところが、このカタログは広告なので誌面全体の5割を超えることはできません。そこでしょうもない記事を申し訳のように掲載して、商品カタログを差し挟むという「第三種ビジネス」があったのです。こうしたDMの注文がない時には、印刷部数とページ数をギリギリまで絞り込み、定期刊行物の体裁だけ整えておく。
それだけなら市場における創意工夫の一種といえそうですが、この第三種の認可にかかわる団体もあったのです。あくまでも知人からの伝聞ですが、認可のためにはそれなりの費用が必要と言われたそうです。かつてリクルートが発行していたドル箱週刊誌『住宅情報』も第三種郵便物だったといえば、何かカラクリがありそうだと思いませんか。
というのも、あの情報誌はほとんどが不動産会社の物件広告なので、前述した第三種の要件には合致しません。広告が5割どころか、9割以上ですからね。ところが、カコミでくくられた物件概要だけを広告として、レポーターの文章は記事と解釈されて認可されたらしい。どのように解釈しようが、不動産会社からページあたりナンボという大枚の料金が支払われているのですから、すべて広告ではありませんか。そんな広告のカタマリが第三種の認可を受けていたわけです。それだけでなく、郵便関連のガイドブックを制作する際に、間接的ですが監修料を要求されたこともあります。1人10万円×10人分で合計100万円。仕事を受注した会社の経理では前渡金で通りにくいというので、しばらくボクの事務所が立て替えることになったのです。
ある行政研究者は「日本の公務員の数は欧米の先進国と比べて必ずしも多いわけではない。けれども底が抜けているんだよね」と語っていましたが、ボクのささやかな体験もまさにその通り。こんな官庁は解散すべきだと思っていたら、2001年にめでたく廃止となりました。にもかかわらず、近年も「かんぽ生命保険の不正販売」が発覚。2000人近い処分者を出しています。体質的な問題を抱えているとしか思えません。もっとも、情報通信の電子化のおかげで、手紙や年賀状などのハガキは減少の一途。このため、最近は家電量販店などの代送もやっているようですけどね。
ちなみに、厚生省の外局だった社会保険庁も年金の杜撰な管理などの不祥事によって2009年に廃止されました。問題は郵政だけではなかったのです。大きな利権や巨額の資金を扱う官公庁ほど腐敗しやすいと断じてもいいんじゃないかな。だったら頂上に位置する政府はどうなんだと。メディアの監視機能が弱くなれば、似たような不祥事が跳梁跋扈することになります。もしかすると手遅れなのかな。
それだけでなく、ほとんど冗談のようなことも経験したので、明日はそれについて紹介します。
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