風を受けて進め
テレビに限られますが、菅首相を見ていると、番頭さんが主人になってはいけないとつくづく思わされます。日本の政治が国民を面前にするのでなく、奥の院=御簾の向こうで院政的、あるいは根回しや談合で進められてきたことを、これほどあからさまに体現した人物も珍しいんじゃないかな。
安倍政権では内閣官房長官として活躍。カミソリのような切れ者と噂されたようですが、いったいどこがだよ。緊急事態宣言は出さない、いや出しますと短時日でフラフラ変更するだけでなく、会見があまりにもヘタ過ぎる。しかも頻繁に言い淀み、間違えることもしばしば。こんな人でも日本のトップになれるのですから、政治が国民の意思をないがしろにして進められてきたとしか思えないじゃないですか。
少なくとも、紙に書かれた文字やプロンプターを読むのはやめたほうがいい、ドイツのメルケルもイギリスのジョンソンも、あのトランプでさえ自分の言葉で国民に話しかけているじゃないですか。ボクが個人的に最も贔屓にしているのは、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相ですけどね。そこらのオバサンが井戸端会議で話をしているかのように、聴衆に距離をまったく感じさせません。そのせいかどうか、かなり早期からロックダウンを敢行したにもかかわらず、国民が好意的に協力。新型コロナウイルスの封じ込めに成功したと伝えられています。
首相在任中に産休を取って女児を生むという、相当にキモの座った女性でありながら、小池さんのような薄気味悪さがないんだよな。ロックダウン中は会見を毎朝行うだけでなく、「うふふふふ。今日はとても嬉しいことがあったので、子供と一緒に小躍りしました。だって感染者がゼロだったんですよ」。こんなスピーチができる政治家が果たして日本にいるでしょうか。
海外の事例をひきあいに出すと、「だったら日本から出て行け」という人がいるようですが、良いことは率先して学ぶべきじゃないですか。国民の気持ちに寄り添えないリーダーなんて即刻クビにしたほうがいい。
それもこれも、ボクたちはリスクを避けた2番手意識が強過ぎる。1番のすぐ後ろで風をよけながらチャンスを待つというか、旧軍隊の参謀のように、意見や文句はうるさいほど具申するクセに、結果責任は指揮官に押しつける人が少なくないんだよな。
2番手は先頭を走る人の背中越しに世界を見ているけど、トップの人が眼前にする景色はまるで違います。菅さんは、自分が首相になってみて、官房長官とはあまりにも異なる政治責任の重さに当惑しているんじゃないかな。だからさ、番頭がいきなり主人になってはいけないのです。
今さらこんなことを言っても遅いですから、学校でちゃんとしたリーダー教育をやっとけよ。決して難しいことではなく、先頭に立つことを怖れず、常に風を真正面から受けて進めってことなんですけどね。あるいは、他人の後塵を拝することを潔しとせず、たった一人で違う道を行くとかね。そうすれば、どんな振る舞いが卑怯なのか、誰が本当の勇気を持っているか、なんてことがすぐに分かるんだけどな。
ランキングに参加しています。お気に召したら、ポチッと↓
« 福袋 | トップページ | 孤高のグルメは何処へ »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 頭と尻尾はくれてやれ(続)(2021.02.25)
- 悪夢ふたたび (2021.02.24)
- のんびり生きよう(後)(2021.02.22)
- のんびり生きよう(前)(2021.02.19)
- 今こそ調査報道(2021.02.18)