今こそ調査報道
新型コロナの陽性者が日々減少するのに伴って、テレビの意気込みもどんどん消沈してきたように感じます。東京で陽性者が毎日1000人、2000人という1月前半には「こりゃ大変です」と、あたかも笑みを抑えて深刻そうなフリをしつつもはしゃぎまわる。というのはすごく失礼なので直ちに撤回して謝罪いたしますが、少なくともコメンテーターと一緒にわぁわぁ騒いでいたと感じるんだよな。
ところが、500人を下回った頃から温和しくなりました。そのかわりに。東京五輪・パラリンピック組織委員会の後継会長選びにすっかりご執心です。3時頃にテロップで陽性者数が発表されても、ちょいと触れるだけでほとんどスルーだもんね。オリンピックがちゃんと開催できるかどうかも分からないですから、その原因である新型コロナのほうをもっと深く追いかけるべきなのに、橋本だの山下じゃないかと場外での品定めばっかり。それよりもワクチンの導入がどうしてこれほどまでに遅れたのか、本当に重篤な副反応はないのかといったことを深く調べたほうがいい。
とはいっても、マスコミというのはもともとそういうものであって、新聞の発行部数を飛躍的に伸ばしたのは太平洋戦争であることくらい衆知ですよね。今でもテレビを本気で視聴するのは地震と台風くらいじゃないですか。それにしたってネットのほうが情報は早く、SNSを利用しているなら、現地からリアルな情報もキャッチできます。
その意味では、まだまだ大きな資本を持つメディアがやるべきことは「調査報道」だと思うんですよね。かつてはフリーライターがコツコツと調査や取材を繰り返して真実を追求。それがベストセラーになるということもありましたが、出版不況の現在ではほとんど期待できません。1年も2年も手弁当で取り組んで単行本発行にこぎつけても、持ち出しばかりの大赤字になりかねない。だったら、大手の新聞社やテレビ局が率先してやるべきではありませんか。ところが、大手ほど権力に近くて、晩飯を政治家にご馳走になるといった癒着がないわけではありません。あれほど批判された記者クラブも温存されており、横並びの報道姿勢はまるで変わっていないように思えます。
情報環境はネットによって劇的に変わり、オールドメディアはいよいよ深刻な経営危機を迎えるはずです。だったら、先手を打って、何よりも事実と真実、それも国民の目線できちんと深掘りした信頼できる報道に邁進すべきだと思うんだけどなぁ。たとえば政治関係ならA局、犯罪事件ならB新聞といった棲み分けが今こそ必要ではないでしょうか。それによって、すっかり失われたリスペクトも取り戻せると思うのです。
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