頭と尻尾はくれてやれ(続)
ある程度の知識とそれなりの荒波にもまれた経験を持ち、さらに中高年以上の年齢の人なら、世の中がどのように動いていくかを大まかにでも予測できるようになります。
ボク自身も、決して自慢ではありませんが、いやちょっとだけ自慢かな、昨年11月のブログ「郵政省(前・後)」で総務省の不祥事を何となく匂わせたつもりです。郵政はとっくに民営化されたといっても、電波行政などの利権は総務省がきっちり引き継いでいるからです。社会保険庁もそうでしたが、世代が完全に入れ替わらない限り、不正や癒着に染まりやすい組織風土はなかなか改まらないんじゃないかな。今のところはコロナ禍での和牛ステーキや海鮮料理といった過度な接待会食に留まっていますが、もしかすると1998年に発覚した大蔵省接待汚職事件のような大事に発展するかもしれません。衆知のように、新宿のノーパンしゃぶしゃぶ屋で、官僚の皆さんが肉を頬張りながら女性のスカートの中を凝視するという世にも恥ずかしい痴態が日本中に暴露されました。この時は官僚7人が起訴され、全員が執行猶予付きの有罪判決が確定しています。果たして総務省からも“縄付き”が出るでしょうか。それを招いた主役が菅首相の長男というのですから、もはや「別人格」と居直ってはいられないと思うんだけどね。
おっと、またもや寄り道してしまいましたが、株や不動産のバブル的高騰がテーマです。昨日の日経新聞でもJTBが資本金を23億から1億円に減資すると報道されていたように、長引くコロナ禍で実態経済はボロボロといっていい。もちろん情報サービスなど活況の業種もありますが、観光関連や飲食といった個人消費に直結する分野が壊滅的なダメージを受けています。不動産にしても、少子化による人口減が依然として続くほか、テレワークの浸透で都心のオフィスを引き払う大企業も目立つようになりました。要するに明るい材料なんてどこにもないのに、株価が3万円を超えたり、若い人たちがマンションを競って買い求めたりする。
その背景にあるのは、誰でも分かるように「異次元の超金融緩和」です。あろうことか日銀がお札をバンバン刷って株を買い支えてくれるのですから、投資家も安心して株式市場にカネを注ぎ込む。それでもあり余ったカネは暗号資産とも呼ばれるビットコインに、そして不動産市場にも流れ込み、どんどん価格を上昇させているわけです。
そんな理屈は新聞やYouTubeでも見ていただければ分かるはずですが、ボク自身はもっとシンプルに「上がれば下がる、下がれば上がる」を座右の銘としてきました。つまり、高騰は暴落を招き、バブルもいつかはじけないでは済みません。
ただし、ですよ。それがいつになるのかを正確に予測するのは大変に困難なんですよね。そんなことが分かったら、かつてのバブル崩壊の時に株の空売りで大金持ちになっていたはずです。リーマンショックの時もそうかな。風船を膨らませるのと同じで、「もうすぐ」「いやまだまだ」と様子を窺っているうちに、突然にパンとはじける。風船ならゴムの張り具合が目に見えても、経済活動は複雑ですから、俯瞰するのは無理ってものです。なのでボクたちのような素人はヘタに手を出さないほうが安全ですが、そうなると富裕層と庶民の経済格差がますます拡大することになってしまう。
ボクが1つだけ追加してご紹介できるのは、2013年5月24日のブログで紹介した相場の格言です。「頭と尻尾はくれてやれ」。これは実にまったく、つくづく至言だと思います。欲をかき過ぎると大損につながるので、上がり目も下がり目も、ほどよいところで手を引け。このアドバイスが今こそ有効ではないかと思うんですけどね。
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