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福助くん その6

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    福助くん、9歳の秋です。 ちょっと長めの散歩をして、世田谷公園へ。 紅葉と福助をご覧くださいまし。

福助くん その5

  • 赤いサルビア♪
    2010年秋の福助くん。とある週末に埼玉県所沢市にある航空公園に行ってきました!

福助くん その4

  • 1 毎年恒例の・・・
    今さらですが、今年の花見の福助くん。ご近所の目黒川に行ってきました。

福助くん その3

  • 1 田舎に行ってきました!
    飼い主の田舎に行ってきた福助。うららかな春を迎えた大自然のなかで、いつもと違った表情に。

福助くん その2

  • 定位置
    平日は会社にいる福助。こんな感じの毎日です。

福助くん その1

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    笠木の飼い犬。甘えん坊でちゃっかり屋の8歳。雄。

映画・テレビ

2019年2月 1日 (金)

女の料理、男の料理

 

 日本では2017年に公開され、第89回アカデミー賞の6部門で栄誉に輝いた『ラ・ラ・ランド』という映画があります。まだ2年ほど前なので、「という」というのもヘンかな。

 

 この映画の中で、ライアン・ゴズリングがエマ・ストーンと同棲しながらも、バンドの巡業に同行して留守にするシーンがあります。彼女は寂しくて電話をかけるのですが、彼はステージ中らしいので、歩きながら留守電に長いメッセージを残して帰宅。すると、思いがけずゴズリングがキッチンで食事の準備をしており、「サプライズ!」と言いながら調理用手袋をつけた両手を広げて彼女を抱きしめるわけです。ここで「おや?」と不思議に思いませんか。

 

 男が料理を作って彼女を待っているんですぜ。この映画に限らず、アメリカのテレビドラマでも、男が「腕によりをかけて」彼女のために料理するシーンが案外少なくありません。けれども、日本では肉ジャガで好きな男をトリコにするとか、料理は女性だけの課題というか業務であって、男は今でも「僕食べる人」になっているんじゃないかな。

 ちなみに、某食品会社による「私作る人、僕食べる人」というテレビCMが女性差別だと猛批判を受けて放送中止になったのは1975年。何と44年も前のことですが、その批判を受けた状況はほとんど変わっていません。日曜昼に放送されるTBS系『噂の!東京マガジン』では、若い娘さんに料理を作らせて、その無知や不器用を嘆きながら嘲笑する『やって!TRY』というコーナーがありますけど、ここでも男は出来上がった料理を食べるだけですからね。

 

 「私作る人……」の1975年当時なら、どうして若い男にも「TRY!」させないのかとクレームが入っても不思議ではないはずです。ネットの一部では指摘されているようですが、このことだけでも、日本社会は封建的な保守に逆戻りしていると判断するのは間違いですかねぇ。

 

 テレビの話題でもうひとつ。CS放送のFOXで『ザ・ブレイブ:エリート特殊部隊』というテレビドラマがあります。選抜された精鋭の米軍兵士で編成された特殊部隊が世界各地で活躍するのですが、基地で屈強な男がチームのために煮込みというかシチューのような凝った料理を作るシーンがありました。このチームには女性の狙撃手も配属されていますが、彼女は母親が食事を作るところなんて見たことも聞いたこともないので、「料理はできない」と臆すことなく言うんですよね。

 

 こういうことをボクなりに前向きに解釈すると、料理というのは誰かを喜び楽しませる作業ですから、それを女性だけの専業にしておくなんて、むしろ男にとって逆差別になるのではないかということなのです。こんな話を学校で、あるいは家庭で聞いたことがあるという人は手を挙げてください。おそらく、ほとんどいないと思います。

 

 だからといってアメリカが完全に男女平等社会とは言いませんが、ボクたちは悪いことばかりを真似して、良いことをちっとも学んでいない。もうすぐバレンタインデーですけど、海外ではこれまた女性からだけでなく、男からも女性にプレゼントを渡していい日なのです。ボクは若い頃に外国人女性に「明日はバレンタインデーだよね」と何気に言ったら、「何をくれるの?」と逆に訊かれて軽いカルチュアショックを受けことがあります。ましてやチョコを渡すのは日本だけの風習なので念のため。

 

 そんなわけで、男にも料理教育を徹底すべきだと提案したいのであります。小・中学校に家庭科はありますが、ボクの経験では「おざなり」で実用性に乏しいんですよね。算数や理科など主要科目の一部を高校に回し、洗濯や裁縫にアイロンワーク、電気の配線から水まわりの修理なども含めて、家庭科を強化・充実したほうが自立の役に立ちますってば。

 それがもしかすると、セクハラ=女性に対する人権侵害を抜本的に駆逐するための有効な方法ではないかとも思うんですよね。

 

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2019年1月 8日 (火)

ぎぼむす

 

 正月3日の午後は散歩をかねて銀座に行くつもりだったのですが、何気に流していたテレビドラマに見入ってしまい、出かけることができなくなりました。TBS系の『義母と娘のブルース』。その筋では“ぎぼむす”と略されており(どの筋だよ)、昨年の夏頃に放送。ボクは地上波をほとんど見ないので気がつかなかったのですが、全10話を総集編としてまとめた再放送の3回目/最終回だったんですよね。

 

 かなりの高視聴率を得たドラマだったらしいのですが、ともかく綾瀬はるかの演技が素晴らしい。映画『僕の彼女はサイボーグ』(2008年公開)で感動して以来、ぶっ飛んだ役をやらせたらこの女優さんの右に出る人はいないということを改めて確信しました。おそらく衆知のように、生真面目過ぎるキャリアウーマンが、どういうわけだか余命いくばくもない子持ちの男と結婚。旦那が亡き後にシングルマザーとして血のつながらない娘を育てていく物語ですが、総集編の最終回だけを見たボクには様々な疑問が炸裂しました。いくら彼女が「日なたのような人」と褒めても、竹野内豊にイケメン以外の魅力があるとは思えません。広くて瀟洒なマンションは、ローンを死後の生命保険で完済したとしても、仕事をやめた彼女はどうやって収入を得ていたのか。何が何だかが結構あったのですが、綾瀬はるかの怒濤ともいえる演技がすべての疑問を綺麗さっぱりと押し流していったのです。

 

 いわゆる美人顔では決してないと思うのですが、不思議に惹き込まれて、魅力を感じさせる女優さんなんですよね。大したことでもないのに「申し訳ございません」と地面に頭をすりつけるほどの土下座など、誇張されたマンガのような演技も一切の躊躇なくやり通していくところが、心を揺さぶるのではないでしょうか。『ボクの彼女はサイボーグ』では、ロボットにもかかわらず健気で一途な気持ちを貫いていく姿勢にホロリとさせられましたが、それから10年を経て、大人の女性らしい色気と艶が加わっています。こうなったら、もはや最強というほかありません。突拍子もないヘンテコなシチュエーションや過激な演技も心から納得しちゃうんだよな。

 

 パン屋の店長が「う、うなじが」と言いかけた口を自分で押さえたシーンがありましたが、その通りでありまして、ひっつめ髪というのでしょうか、後ろでまとめたヘアスタイルも彼女にはとても良く似合います。匂うほどの間近で襟足とうなじを見たら、店長ならずとも男なら誰だって心臓がバクバクするはずです。

 

 それにシナリオも実に良く出来ています。いくら原作があるといっても、義母と娘の交流をあれほど面白く、時には涙させるストーリーにするのは並の技ではなく、非凡な才能と相当の手腕が必要。ドラマでは最重要な会話(ダイアローグ)も、それぞれの役柄の個性が際立つように仕掛けられています。調べてみたら、稀代の傑作『JIN−仁−』も手がけた森下佳子の脚本ですから、なるほどなぁと深く納得いたしました。

 

 ついでに、といえば失礼ですが、娘役の上白石萌歌もなかなかの出来ではないでしょうか。綾瀬はるかの細おもてに対するような丸顔なので、いかにも血がつながっていないことを強調したキャスティングだろうと思うのですが、妙に眼力(めぢから)のある女優さんで、知的な愛嬌も感じさせます。そのせいか、素っ頓狂な綾瀬はるかの演技を随所でしっかりと受け止めており、ドラマに立体的なリアリティを与えていました。

 

 ボクは子供の頃から気の強い変わり者の女性が好きでしたが、それだけじゃあダメなんだよな。女性に限らず男も、健気さと愛嬌、何よりも他者を思いやる優しさがなきゃね。そんなことを思わせるテレビドラマでありました。

 

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2018年12月 6日 (木)

『ぬけまいる』

 

 たびたび書いてきたように、ボクはほとんど地上波のテレビは見ません。ましてや土曜日の午後6時なんて、テレビを視聴するような時間帯ではないだろうと思うのですが、たまたまNHKの『ぬけまいる〜女3人伊勢参り』に見入ってしまいました。田中麗奈の女っぷりが格段に艶っぽくなっていたからです。

 

 ボクが彼女に注目したのは1998年公開の映画『がんばっていきまっしょい』でした。切れ長の眼に、鼻とアゴが尖った細面という、おそらく親父の代からの遺伝的な好みに合致しており、一発でファンになったわけです。痩せた身体にもかかわらず、ボートを1人でかついで海辺まで運ぶなんていう勝ち気と健気さも好感が持てました。

 

 それからしばらくはあまり気に止めていなかったのですが、実は外国人で田中麗奈にそっくりの女優さんがいるのです。アラナ・デ・ラ・ガーザ。どこまで名前で姓なのかよく分かりませんが、『CSIマイアミ』や『クリミナルマインド国際捜査班』などCS放送のアメリカドラマに頻繁に出演しています。父親はメキシコ系で母親はアイルランド系ということで、このような名前になったようですが、本人はオハイオ州コロンバスで生まれました。肖像権などを意識してここでは写真を出しませんが、本当によく似ているのです。外国人なので、彫りの深さや顔の面積こそ違いますが、ネットで調べてみてください。ボクの説が正しいことが分かるはずです。

 

 さて、『ぬけまいる』に戻ると、朝井まかての長編時代小説が原作。江戸女の3人組が、手形もカネもない「抜け詣り」で伊勢神宮を目指すというストーリーです。原作は知りませんが、テレビドラマ自体は他愛のない内容で、とりたてて紹介するほどの新味はありません。しかし、だからこそ、田中麗奈の美貌と演技が際立っているんですよね。悔しいことに彼女は2016年に医師と結婚したのですが、そのせいか、若い頃のヤンチャな子供っぽさがうまく消えて、人妻らしい色っぽさが磨き上げられたといっていい。

 

 前述したように、ストーリー自体はまるきり面白くないのですが、そんな田中麗奈に加えて、セットがものすごいのです。背景やディテールの造り込みが民放とは格段に違います。大道具や小道具を作る手間暇やカネのかけ方が半端ではありません。時代考証も相当に突き詰めていると思われます。

 

 この『ぬけまいる』のついでに、大河ドラマ『西郷どん』も初めてみましたが、やはりセットの仕立てが素晴らしい。俳優の演技ばかりでなく、たまには背景も念入りに見渡して民放の時代劇などと比較すると、その凄さが実感できると思います。

 

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2018年9月12日 (水)

サミーア・アームストロング

 

 大変に長らくお待たせいたしました。前回のオリヴィア・ウィリアムズから約2年ぶりとなる、美人女優シリーズです。

 

 以前から紹介しようと思っていた女優さんなのですが、なかなか名前を調べるヒマがなく、このほどようやく正体が、って化け物じゃないんですけど、分かったんですよね。名前はサミーア・アームストロング。1980年10月生まれ。スペルはSamaire Armstrongなので、サミーラとかサマイヤと表記されることもあるそうです。父親はスコットランド人の武闘家で、ああ、だからアームストロングなんて強そうな苗字なんだぁ、ってホントかよ。ちなみに母親はイタリア人。しかも彼女は何と東京生まれですって。まんざら、ボクたちと無縁な女優さんではないってことですかね。

 

 さて、ボクが彼女に注目したのは、ハンサム男優のサイモン・ベーカー主演のテレビドラマ『メンタリスト』です。第4シーズンのエピソード7で、情報屋のサマーとして登場しました。韓国系の刑事で、無口な堅物のキンブル・チョウが彼女を担当。事件に絡んでいくことになるのですが、その態度がね、ものすごく魅力的だったのです。

 

「なにさ、あんたのために頑張って情報を持ってきたのに」

「お前のやり方は違法なんだ」

「もしそうだとしても、役に立ったのなら、少しは褒めてくれなきゃ」

「分かったよ。ありがとう」

「ダーメ。心が全然こもってないもん。もう1回ね」

 

 こんな会話があったかどうか忘れてしまいましたが、「何さ」と横を向いて拗ねる表情がものすごく可愛いのであります。左右非対称な笑顔で、正統派の美女とはいえないかもしれませんが、カエル口というかアヒル口と呼ぶべきか、上目づかいで何かをおねだりする顔は、古今東西を見渡しても、ボクにはとても魅力的に感じられます。

 

 不良少年上がりで軍隊経験者の真面目人間、チョウも彼女を無視できず、つかず離れず面倒を見ているうちに、やがてベッドを共にするわけですね。けれども、彼女が隠していたクスリを発見。こうなると、刑事である以上は一緒にいるわけにいかない。その別れの時の泣き笑いの表情がね、いま思い出してもぐっと胸がつまるほど可愛いのであります。若い女性が使うカワイーでなくて、可哀想に近い可愛いなんだよね。可哀想たぁ惚れたってことさ、という有名な言葉がありますが、まさにそういう気持ちを渦のように引き起こす顔つきができる女優さんなのです。

 

 サマーを別れたきりで不幸にしたら、シナリオライターはただじゃおかねぇぞと誰かが投書したのか、しばらく後の回で、彼女は再び登場。シニアのカネ持ちと結婚式をするために戻ってきたという設定でした。ところが、例によって昔の仲間の犯罪に巻き込まれ、チョウは彼女にまんまと騙されたと怒ります。でも、やがて冤罪であったことが証明され、そのカネ持ちも無類のお人好しであることも分かって、ハッピーなエンディングに。真っ白なウェディングドレスを着てリムジンに乗り込むサマーに、チョウは言います。

 

「今度こそ幸せにな」

「うん」

 

 そう頷きながらも、サマーは眼の端の涙を拭うんですよね。チョウへの未練もきっとあったでしょう。そういう複雑な女心がとっても分かりやすい。男にそうした印象を与える女なんてウソつきだ演技じゃねぇかと糾弾する人もいるでしょうが、いいじゃないですか、騙されたって。ケチケチすんなよ。

 

 ということをいくら書いても、分からない人は分からないでしょうから、ネットで画像を調べてみてください。ボクは女優さんならイングリッド・バーグマンがこれまでダントツのトップだったのですが、そんな知的な美女よりも、近頃はサミーアのような豊かな表情ができる女優さんが好きになってきました。悲しい時はひいひい大声で泣き、嬉しい時は顔中を明るくして喜ぶ。笑う時には大口を開けてもらったほうが、こちらも楽しいじゃないですか。

 

 ついでに言えば、怒る時も愛嬌がなきゃいけない。はい、その通りでありまして、今の世の中、男女ともに愛嬌がなさ過ぎ。負けないことや自分を守ることに力を入れ過ぎて、つまりは余裕がないってことかな。

 

 顔かたちなんかより、ハンパな知性より、キャリアや立場なんかより、何はなくても人間は愛嬌こそがかけがえのない財産なのだ、ということを教えてくれた女優さんです。

 

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2018年7月17日 (火)

良心の陰で

 

 ちょっと複雑な話なのですが、あなたがモテモテの若きイケメンで、スタイルも抜群で脚も長いとしましょうか。自信満々で世界的なメンズモデルになるためのオーディションに向かったのですが、不幸なことに交通事故に遭遇して死亡してしまいます。けれども、天国でのちょっとしたアクシデントによって、地上に戻って生まれ変わることになりました。

 

 ところが、ですね。生まれ変わったあなたは、ものすごくデブだったとします。たまたま鏡なんかですっかり変わってしまったオノレの姿を見て、「ギョッエー!」と頬に両手をあててムンク(叫び)することから始まる、アメリカのドラマがあるんですよね。

 

 正しくは女性の話なのですが、仮にあなたが俳優だったとして、この役を「キミにぴったりだよ」とオファーされたらどう思いますか。

 

 いくら前々からデブを自覚していたとしても、そんなあからさまな役をオレにふるなんて、嫌がらせの一種じゃねぇかと不愉快に思いますか。それとも逆に、個性を生かせるチャンスだと思うでしょうか。そんな体形にもかかわらず俳優になるくらいですから、むしろ「こんなオレでも主役が張れる」と大喜びするかもしれません。

 

 アメリカのTVドラマ『私はラブ・リーガル』を観るたびに、そんな複雑な心境になります。生まれ変わった主役はデブな体形にくじけることなく、女弁護士として活躍するんですけどね。

 

 彼女の場合は公称で身長165㎝、体重85㎏ですが、同じ身長で体重が181㎏と倍以上の巨体にもかかわらず、そのことに悩む役でレギュラー出演している女優さんもいます。こちらは『This is Us36歳、これから』というTVドラマです。腹違いの三つ子(?)の1人という設定で、子供の頃から過食に悩み、30代になると飛行機に乗る時は2人分の座席を購入しないと座れないほどの肥満体。様々なダイエットや痩身キャンプなどに参加しながら、やはり巨漢の恋人といろいろあるわけですが、何というかなぁ、こんなにもアケスケで遠慮が一切ないキャスティングってありかなと、デリケートな日本人は思ってしまうわけですよ。

 

 デブなことに悩む役柄を、デブな俳優に演じてもらう。「そりゃちょっとあんまりじゃないの、監督」とプロデューサーが突っ込んでもおかしくないと思うんだよな。

 

 ところがアメリカでは、そんなことは平気みたい。もっとも、前述した巨体の女優さんはいろいろなドラマや舞台で活躍しており、そうした多様性を認めるというより、積極的に活用できる文化風土があるからこそ可能なストーリーとキャスティングのようです。

 

 ということはつまり、むしろボクたちのほうこそ、デブやブスに偏見や差別意識を隠し持っており、アンタッチャブルなものにしているのではないかと。子供の頃はともかく、大人になると、過度に肥満な人の前で体形の話題は避けますよね。傷つけまいという良心の発露にほかならないつもりでも、コンプレックスを持つ側はそのことによって他人の差別意識を感じてしまい、もっと傷ついたりする。

 

 日本ではデリケート過ぎる問題なのに、アメリカのテレビドラマはそのまんまで、テーマにふさわしい俳優さんにやらせてしまう。これはもう感性の大逆転というのでしょうか、ボクたちのほうが、彼女彼らを普通の人間として見てはいなかったことに気づかされます。あなたも、きっとそうではありませんか。たまたま体重が普通より重いだけ、たまたま普通よりキレイでないだけで、つまり、それだけのこと。デブやブサイク以外にも、普通ではない人はもっといろいろいるじゃないですか。

 

 何というのかな、気にし過ぎて気にしない素振りが、かえって差別や偏見を深いところに沈めているのかもしれません。難しい問題なので、これは継続して考えていきたいと思います。

 

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2018年6月19日 (火)

ドレスデン(前)

 

 昨日午後2時過ぎにドイツから帰国。到着直後に大阪で死者が出る大きな地震があったと聞きました。搭乗した航空機はインターネットに接続できるのですが、有料なので利用しなかったんですよね。機内でネットを使う必要性は特段になく、ニュースを早く知ったところで、飛行機の中でやれることなんてないという旧世代的なメンタリティもあるのかな。ケチと思う人もいるでしょうが、いま時ネット接続でカネを取ろうという心根のほうがセコいと思いませんか。舗道を歩くときに、誰も通行料なんて支払いません。インターネットもそれと同じではないのかなぁ。インフラは税金で賄うとして、カネがもっと欲しいなら独自の付加サービスを発明しろよ、って思うわけです。

 

 さて、ドレスデンですが、これは明日の話題にするとして、念願の映画『シェイプ・オブ・ウォーター』を観ることができました。以前に海外出張した時にチラリとチェックして、独特の映像世界に興味を持ったのですが、何せ中東の航空会社だったので日本語字幕がなかったんですよね。この映画はセリフを理解しないとダメだろうと勝手に決めて、活劇(古いなぁ)の『ワンダーウーマン』を選びました。これなら英語のセリフも前後関係で理解できますから。

 

 で、『シェイプ・オブ・ウォーター』の感想なのですが、ストーリー自体はそれほどの新味はありません。異質な生物との遭遇譚は宇宙人をはじめとしていろいろあります。ところが、この映画は主人公の女性が決して美人でも若くもないことに特徴があります。むしろ不細工といったほうが適切でしょう。しかも子供の頃のトラウマか何かで、耳は聞こえるのだけど会話はできません。

 

 そんな彼女は、冷戦下のソ連と対抗するための極秘研究所に清掃員として勤務しています。住んでいるのは映画館の上階。ベッドがないのかアイマスクを着けてソファで就寝。毎朝、手を伸ばして目覚ましを止めて起床。卵を3つ茹でてからバスに乗って通勤するという生活です。つまり、掃除のオバサンの男っ気のない退屈な日常が淡々と描かれるのですが、セピアっぽい雰囲気がなかなか良くて、すぐに惹き込まれてしまいます。そんな彼女が、ある時に、研究所に運び込まれた半魚人というのか何というか、エラ呼吸だけでなく肺呼吸もできる異生物と出会い、手話を使いながら交流していきます。しかもプラトニックではない具体的な恋におちてしまうというあたりが、21世紀らしいファンタジーといえるのかな。

 

 けれども、研究所はこの異生物を扱いかねて、生体解剖するらしい。その計画を知って、彼女は海に逃がしてやることを決意します。掃除のオバサンが、何とアメリカ政府を敵に回すわけです。このあたりから映画は大きく動き始めるのですが、異生物への同情が恋心に変わる前後あたりから、このオバサンが魅力的に見えてくるから実に不思議なのです。大きな鼻で不細工であることに変わりはなくても、見え方が違ってくるのかなぁ。昔から「美人は3日で飽きるが、ブスは3日で慣れる」とも言われますが、恋をした女性は誰でも綺麗になれるのだと実感させる映画です。

 

 その脱出計画に協力する隣人の絵描きのオッサンが同性愛者ということもあって、「生物多様性」を読み取ることも可能でしょうが、それは副産物じゃないかな。今でも感想をうまくまとめられないで困っていますが、映画としての完成度はかなり高いと思います。最後にオバサンと異生物が「結ばれる」あたりは蛇足だと思いますが、あれがないと隠された関係性が分からないので、必然性がないわけではありません。

 

 とにかく最初から最後まで不思議な魅力に満ちているのです。アカデミー賞で作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞の4冠に輝き、けれども女優賞には縁がなかったのも納得できます。ことさらにヒューマニズムを強調していないことも好感を持てました。日本語にすれば「水の形」となるのかな。そんな雰囲気を楽しむ映画といえるかもしれません。

 

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2018年5月21日 (月)

孤独のショッピング

 

 テレビドラマとしてもシリーズ化されましたが、『孤独のグルメ』という漫画がありました。原作は久住昌之、作画が谷口ジロー。1994年の『月刊PANJA』が初出らしいのですが、ボクは2008年に『SPA!』で復活した読み切りシリーズのほうを愛読していました。

 

 中年のオッサンが1人でランチや晩飯を食べるという、実にまったく単純なストーリーであり、「グルメ」とタイトルされているものの、美味に極端なこだわりはなく、いわゆる3大珍味なんかも出てこなかったと記憶します。とにかく1人で街を歩き、1人で食べ物屋を探して、1人でメシを食いながら、心の中であーだこーだと「独白」する。仮にまずかったとしても、それをむしろ珍しい経験と解釈して、愛想良く「ごちそうさま」と言って勘定を払って立ち去る。

 

 谷口ジローの細い線描による白っぽい画面と痩身の主人公は、そうした心地良い孤独感と絶妙にフィットしていたんですよね。夏の眩しい陽光で白と黒のハイコントラストになった街の光景と似ていて、様々な階調=グラデーションが消し飛んでいる。この透明感に優れた画質が、オッサンが1人でメシを食うという悲哀や貧乏くささを完全に脱色しており、ヘタすりゃオシャレに見えなくもない雰囲気がボクは好きでした。

 

 であるなら、ですね。ぜひ「孤独のショッピング」という漫画かテレビドラマをやって欲しいなぁ。オリジナルは「独白」のおもしろさが魅力でもあったので、たとえば紳士服のバーゲンなんかに行って、うるさくつきまとうオバサンに要望を言いながら「この人のご亭主はどんな仕事をしているのかな。もしも現場仕事なら作業着だからサイズにこだわるなんてことはないだろう。それに比べて、オレたちはどうしてこんな窮屈な格好をしなきゃいけないのか」とかね。

 

 百貨店や専門店、それにアウトレットまで、販売店だけでなく、ジャンルも広げられるので、いろいろ話は続けられるように思うんですけどね。そこにウンチクをちょっとばかり加味するのはもちろんだけど、中高年の寂しさが込められていることが必要になります。

 

 カナダの精神分析学者が命名したらしいですけど、「ミッドライフ・クライシス」=「中年の危機」。そうした心理的な葛藤への共感こそが、『孤独のグルメ』が人気になった本質的な理由だったのかもしれません。であるならば、ボクにもちょっとは書けそうな気がするんだけどなぁ。

 

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2018年4月27日 (金)

チャーチルとダンケルク

 

 スイス取材の往路の飛行機内で、映画『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』を観ました。原題はもっと簡単で、“Darkest Hour”。「最も暗い時間」という意味になるのかな。このタイトルを見た時に、ボクは1967年公開の映画『日本のいちばん長い日』(岡本喜八監督)を思い出しました。玉音放送をめぐる軍事政権内部の抗争を描いた、かなり見応えのある映画なので、連休でヒマならレンタルしてみてください。

 

 さて、『ウィンストン・チャーチル……』ですが、特殊メイクを担当した日本人がアカデミーを受賞したことで大きな話題になりましたよね。映画のデキも感動的なのですが、ボク自身は第2次世界大戦初期のドイツ軍の圧倒的な強さを再認識しました。

 

 1940年5月10日に、ドイツ軍はオランダ、ベルギー、ルクセンブルグに侵攻。5月17日には北フランスまで蹂躙しています。これに立ち向かったフランスとイギリスによる連合軍はまるきり歯が立たず、約35万人の兵士がドーバー海峡ギリギリまで追いつめられました。彼らを救出する作戦「ダイナモ」をテーマにした映画が、昨年に公開された『ダンケルク』です。

 この映画では撤退の現場が描かれていましたが、『ウィンストン・チャーチル……』は、その作戦を指揮したチャーチルの苦悩と政争が中心になっています。エピソードの積み重ねが巧みで、特殊メイクを施されたゲイリー・オールドマンも愛嬌のあるチャーチルを好演。さらに妻役のクリスティン・スコット・トーマスが素晴らしい。国王のジョージ6世を演じたベン・メンデルゾーンも秀逸です。やはりドイツと講和すべきかと苦悩するチャーチルの弱腰を励ます妻に、「私は不愉快でならない」と吃音でドイツ軍への怒りを吐露するジョージ6世。良い映画は脇役も優れているのです。

 

 ダンケルクからの撤退作戦は奇跡的に成功。ドイツとの単独和平条約を画策していたハリファクス子爵の目論見は崩れますが、この時に彼は「チャーチルは言葉を武器にして戦場に送り届けたのだ」と呟きます。まさに、このセリフこそが映画の基本テーマなんですよね。

 

 ただ、それにしても当時のドイツ軍は強かった。ダンケルクから1か月も経たない6月10日にフランス政府はパリを放棄。同月14日にドイツ軍は無血入城しています。

 

 ちなみにドイツは遅ればせで始まった産業革命が急速に進展。20世紀になった頃の鉄鋼生産量は本家のイギリスを抜く規模に成長していました。その当時に作られた世界最大の飛行船ツェッペリン号が、実はドイツの工業力を象徴していたのです。だから第1次世界大戦での惨めな敗北が国民にはどうにも信じられなかった。そこでユダヤ人などによる「背後からのひと突き」が敗因という説が流布するようになり、次の世界大戦の下地となっていったのです。

 

 ヒトラーは、こうした国民感情をうまく煽り立てて政権につくと同時に、徴兵制と再軍備を進めていきました。という話を続けていくとキリがないのでやめますが、たとえばティーガー戦車は前面の装甲の厚さが何と10センチ。敵弾が当たってもはじいてしまいます。この重量57トンにも達する大型戦車を中心にした機甲部隊が、高速でヨーロッパを走り抜けていったわけです。

 

 そんなドイツ軍が、どうして北アフリカやロシアにまで足を伸ばしたのか。それさえしなければ、ヨーロッパの半分くらいは領土として残ったかもしれません。つまり、指導者によって国家はあっという間に滅びてしまう。その一方で、国民の勇気を鼓舞することさえできれば、いかに劣勢であっても暴虐非道な侵略から国を守ることができる。そんなことを感じさせる映画なのであります。

 

 

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2018年4月18日 (水)

静かにしろよ!

 

 地上波のテレビをほとんど見なくなったということを以前にご報告しました。あまりにも子供じみた内容のバラエティが多くて、5分と見ていられないのです。

 

 それでもニュースのついでにチャンネルをそのままにしていると、クイズ番組の宣伝が流されたりしますが、いま時ですね、東京大学や京都大学出身者を知性のシンボルみたいに祭り上げるのはどういうセンスなのかなぁ。単純な知識や情報はネットで検索すれば一発で分かります。にもかかわらず、些末なことを問いかけて「おおお、さすが東大」なんてね、いつ頃の話だよって思うわけですね。

 

 そうした知識はインターネットによってどんどん大衆化されてきたので、もはや囲い込まれた特権ではなくなっています。本が典型的ですが、かつては特定の知識を得るためには代価が必要でした。ところが今ではスマホやパソコンを動かす電気代さえあれば、ネット経由で簡単に入手できます。広辞苑なんてバカデカい辞書を買って本棚に置いてなくても、難しい言葉を瞬時に調べることができますからね。それと同じように、昔は大学に行かなきゃ触れることのできない知識(知識人も含めて)が厳然とありましたが、誰でもその気になればアプローチできるものになりつつあることを、もっとリアルに認識すべきだとボクは思うのです。

 

 つまり、知識の有無なんぞでなく、その知識を使って何をするか、という方向に行かなきゃおかしい。にもかかわらず、相変わらず旧態依然のクイズ番組ばっかりですから、秒速でCSやBSに戻らざるを得ないじゃないですか。

 

 もうひとつ。たまにはテレビのスイッチをオフにしてみてください。ものすごく静かになることを実感できるでしょう。それで分かるように、地上波の民放はとにかくBGMが過剰でうるさい。もっと静かにしろよ。駅のホームでの大音声のアナウンスも海外では聞いたことがありませんが、あれは警告なども含まれているので許すとして、ニュースくらいはBGMなしのシンプルでピュアなスタイルでやってくれないものでしょうか。悔しいけど、そこのところだけはNHKはエラいと言わざるを得ません。民放に比べて圧倒的に静かなのであります。

 

 こんなことをやっていたらテレビ離れが始まるぞ、と以前に予告したことがありますが、実際にネットTVが普及しつつあります。凋落したのはフジテレビだけだと思っている業界人がいるとしたら、あまりにも甘い。速攻で虫歯になるほど甘過ぎですな。出版業界と同じく、放送業界も存続の危機を迎えていると認識すべきでしょう。大昔に似たようなことを指摘すると、「だったら見なきゃいいでしょ」と豪語したテレビ関係者がいました。「だから見ないんだよ」という人が急増している現実を、もうちょっと深刻に受け止めたほうがいいと思うけどなぁ。

 

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2018年2月20日 (火)

『Major Crimes~重大犯罪課』

 

 出てくるのはベテランというより、ジーサンたちといったほうが早い老練の刑事ばかり。サイドストーリーも養子縁組やらゲイ同士の恋愛や別れ話に加えて、離婚がうまくいったから再婚などなど実に面倒くさいことばっかり。

 にもかかわらず、前述したジーサンたちが実にいい味をナチュラルに醸し出しており、一度でも視聴したらやめられなくなる、不思議な魅力を放つアメリカのテレビドラマがあります。

 

 CS放送のFOXでは、『Major Crimes〜重大犯罪課』とタイトルされています。調べてみるとエミー賞も授与された人気番組『クローザー』からのスピンオフドラマとありますが、そこまで熱心にテレビは見ないので、よく知りません。ほかでは見たことがない俳優さんばかりの中で、唯一、面識があるのは、キャプテン=警部であるシャロン・レイダー役のメアリー・マクドネルだけです。1996年公開の映画『インデペンス・デイ』で重傷を負った大統領夫人の役だったと記憶します。1952年生まれなので、彼女もすでに年齢的にはシニアなのですが、曲者揃いのオッサン刑事たちをまとめる女性リーダーをみごとに演じているんですよね。

 

 決して美人とはいえないのですが、時にはチームを叱咤激励して現場に戻したり、捜査の基本を知らない上司との軋轢の中で悩んだり。いわゆる群像劇なので、彼女を主役にした番組ではありませんが、俗世の横車や凶悪な犯罪にへこたれそうになりながらも、くじけずに正義を貫こうとするオッサン並びにオバサンたちの純情が溢れており、こちらまで漏れてくる番組なのであります。

 

 シーズン5では、部下からプロポーズされて、それを素直に喜ぶ彼女が描かれていました。どうひいき目に見ても50代後半以降、どちらも白髪混じりの刑事と警部ですぜ。そんな年配にもかかわらず、「職場では親しくしない」という約束事を決めているらしいのですが、フィアンセの刑事が悪党のクルマから振り落とされて怪我をした時には、さすがに心配と不安を隠さず、いくつになっても変わらない可愛い女心を垣間見せるなど、リアリティがね、ハンパではないのです。

 

 CM中に日本の刑事ドラマをザッピングしたのですが、カメラが固定されていることもあって、ものすごく作り物くさく見えてしまいました。セリフも舞台みたいな大仰な節回しで、カメラに向けて飛ばした目線がね、わざとらしくて仕方ないのです。Kさん、あんたのことだよ。

 

 それに比べて、平均年齢がかなり高いので雰囲気はそれなりに重厚なんだけど、巧まざるユーモアがあり、愛すべきシニアの皆さんが重大事件の解決に奔走する。こういうテレビドラマは、まだ日本では見たことがありません。いいところはどんどん真似すりゃいいのにね。

 

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