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福助くん その6

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    福助くん、9歳の秋です。 ちょっと長めの散歩をして、世田谷公園へ。 紅葉と福助をご覧くださいまし。

福助くん その5

  • 赤いサルビア♪
    2010年秋の福助くん。とある週末に埼玉県所沢市にある航空公園に行ってきました!

福助くん その4

  • 1 毎年恒例の・・・
    今さらですが、今年の花見の福助くん。ご近所の目黒川に行ってきました。

福助くん その3

  • 1 田舎に行ってきました!
    飼い主の田舎に行ってきた福助。うららかな春を迎えた大自然のなかで、いつもと違った表情に。

福助くん その2

  • 定位置
    平日は会社にいる福助。こんな感じの毎日です。

福助くん その1

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    笠木の飼い犬。甘えん坊でちゃっかり屋の8歳。雄。

経済・政治・国際

2021年2月25日 (木)

頭と尻尾はくれてやれ(続)

 

 ある程度の知識とそれなりの荒波にもまれた経験を持ち、さらに中高年以上の年齢の人なら、世の中がどのように動いていくかを大まかにでも予測できるようになります。

 ボク自身も、決して自慢ではありませんが、いやちょっとだけ自慢かな、昨年11月のブログ「郵政省(前・後)」で総務省の不祥事を何となく匂わせたつもりです。郵政はとっくに民営化されたといっても、電波行政などの利権は総務省がきっちり引き継いでいるからです。社会保険庁もそうでしたが、世代が完全に入れ替わらない限り、不正や癒着に染まりやすい組織風土はなかなか改まらないんじゃないかな。今のところはコロナ禍での和牛ステーキや海鮮料理といった過度な接待会食に留まっていますが、もしかすると1998年に発覚した大蔵省接待汚職事件のような大事に発展するかもしれません。衆知のように、新宿のノーパンしゃぶしゃぶ屋で、官僚の皆さんが肉を頬張りながら女性のスカートの中を凝視するという世にも恥ずかしい痴態が日本中に暴露されました。この時は官僚7人が起訴され、全員が執行猶予付きの有罪判決が確定しています。果たして総務省からも“縄付き”が出るでしょうか。それを招いた主役が菅首相の長男というのですから、もはや「別人格」と居直ってはいられないと思うんだけどね。

 おっと、またもや寄り道してしまいましたが、株や不動産のバブル的高騰がテーマです。昨日の日経新聞でもJTBが資本金を23億から1億円に減資すると報道されていたように、長引くコロナ禍で実態経済はボロボロといっていい。もちろん情報サービスなど活況の業種もありますが、観光関連や飲食といった個人消費に直結する分野が壊滅的なダメージを受けています。不動産にしても、少子化による人口減が依然として続くほか、テレワークの浸透で都心のオフィスを引き払う大企業も目立つようになりました。要するに明るい材料なんてどこにもないのに、株価が3万円を超えたり、若い人たちがマンションを競って買い求めたりする。

 その背景にあるのは、誰でも分かるように「異次元の超金融緩和」です。あろうことか日銀がお札をバンバン刷って株を買い支えてくれるのですから、投資家も安心して株式市場にカネを注ぎ込む。それでもあり余ったカネは暗号資産とも呼ばれるビットコインに、そして不動産市場にも流れ込み、どんどん価格を上昇させているわけです。

 そんな理屈は新聞やYouTubeでも見ていただければ分かるはずですが、ボク自身はもっとシンプルに「上がれば下がる、下がれば上がる」を座右の銘としてきました。つまり、高騰は暴落を招き、バブルもいつかはじけないでは済みません。

 ただし、ですよ。それがいつになるのかを正確に予測するのは大変に困難なんですよね。そんなことが分かったら、かつてのバブル崩壊の時に株の空売りで大金持ちになっていたはずです。リーマンショックの時もそうかな。風船を膨らませるのと同じで、「もうすぐ」「いやまだまだ」と様子を窺っているうちに、突然にパンとはじける。風船ならゴムの張り具合が目に見えても、経済活動は複雑ですから、俯瞰するのは無理ってものです。なのでボクたちのような素人はヘタに手を出さないほうが安全ですが、そうなると富裕層と庶民の経済格差がますます拡大することになってしまう。

 ボクが1つだけ追加してご紹介できるのは、2013年5月24日のブログで紹介した相場の格言です。「頭と尻尾はくれてやれ」。これは実にまったく、つくづく至言だと思います。欲をかき過ぎると大損につながるので、上がり目も下がり目も、ほどよいところで手を引け。このアドバイスが今こそ有効ではないかと思うんですけどね。

 

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2021年2月18日 (木)

今こそ調査報道

 

 新型コロナの陽性者が日々減少するのに伴って、テレビの意気込みもどんどん消沈してきたように感じます。東京で陽性者が毎日1000人、2000人という1月前半には「こりゃ大変です」と、あたかも笑みを抑えて深刻そうなフリをしつつもはしゃぎまわる。というのはすごく失礼なので直ちに撤回して謝罪いたしますが、少なくともコメンテーターと一緒にわぁわぁ騒いでいたと感じるんだよな。

 ところが、500人を下回った頃から温和しくなりました。そのかわりに。東京五輪・パラリンピック組織委員会の後継会長選びにすっかりご執心です。3時頃にテロップで陽性者数が発表されても、ちょいと触れるだけでほとんどスルーだもんね。オリンピックがちゃんと開催できるかどうかも分からないですから、その原因である新型コロナのほうをもっと深く追いかけるべきなのに、橋本だの山下じゃないかと場外での品定めばっかり。それよりもワクチンの導入がどうしてこれほどまでに遅れたのか、本当に重篤な副反応はないのかといったことを深く調べたほうがいい。

 とはいっても、マスコミというのはもともとそういうものであって、新聞の発行部数を飛躍的に伸ばしたのは太平洋戦争であることくらい衆知ですよね。今でもテレビを本気で視聴するのは地震と台風くらいじゃないですか。それにしたってネットのほうが情報は早く、SNSを利用しているなら、現地からリアルな情報もキャッチできます。

 その意味では、まだまだ大きな資本を持つメディアがやるべきことは「調査報道」だと思うんですよね。かつてはフリーライターがコツコツと調査や取材を繰り返して真実を追求。それがベストセラーになるということもありましたが、出版不況の現在ではほとんど期待できません。1年も2年も手弁当で取り組んで単行本発行にこぎつけても、持ち出しばかりの大赤字になりかねない。だったら、大手の新聞社やテレビ局が率先してやるべきではありませんか。ところが、大手ほど権力に近くて、晩飯を政治家にご馳走になるといった癒着がないわけではありません。あれほど批判された記者クラブも温存されており、横並びの報道姿勢はまるで変わっていないように思えます。

 情報環境はネットによって劇的に変わり、オールドメディアはいよいよ深刻な経営危機を迎えるはずです。だったら、先手を打って、何よりも事実と真実、それも国民の目線できちんと深掘りした信頼できる報道に邁進すべきだと思うんだけどなぁ。たとえば政治関係ならA局、犯罪事件ならB新聞といった棲み分けが今こそ必要ではないでしょうか。それによって、すっかり失われたリスペクトも取り戻せると思うのです。

 

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2021年2月12日 (金)

税制は国政の根幹

 

 生まれて初めて、いや2回目かな。税務署に提出する確定申告の準備をようやく済ませることができました。

 業態はフリーランスでも、法人として法務局に登録したおかげで給与所得者を続けてきたので、確定申告なんてまったく縁がなかったんですよね。ずいぶん以前に、出版した時計の本の印税が手違いで個人口座に振り込まれたせいで、税務署のお世話になったことはあります。「高級時計を紹介する本ですから、かなりおカネがかかったでしょう」と経費に水を向けられたにもかかわらず、「いやいや、いちいち新作時計を購入していたらたちまち破産しますよ」と返したんだからアホです。もしかすると課税されるところでしたが、正直の頭には神が宿るんですな。結局は課税ゼロで放免された記憶があります。安月給に助けられたのかもしれないけどね。

 これだけが超例外でありまして、大多数のサラリーマンと同様に、確定申告より年末調整のほうがお馴染みであり、12月の給料だけは天引き、すなわち源泉徴収がないので、ボーナスと合わせてハッピーな気分になれたものです。自分が会社の代表になってみると、毎月の給料日は嬉しいどころか最も憂鬱な日に変貌しましたが、年末調整だけは相変わらず。要するに払いすぎた所得税が戻ってくるだけで、税金という名目で貯金していたようなものですが、それでも天引きがゼロで翌年も還付があったりすると、トクしたような気分になるんだよな。

 ところが、今年はある事情から確定申告が必要になったのです。国税庁のウェブサイトには自動的に作成できるフォームが用意されているので、これを利用すれば簡単に計算してくれるのですが、説明がいちいち分かりにくいんですよね。税務用語がそのままナマで記載されているので、素人には意味不明ということも少なくありません。ライターで編集者のボクとしては、ジーサンバーサンでもすぐに理解できるように言い換えたほうがいいと思うのですが、それでは行政事務の正確性が担保されないせいか、そうした配慮は御法度らしい。ネットや本を参考にしなさいというわけです。それで意味自体は分かったとしても、ある項目に含まれるモノと含まれないモノがあったりする。曖昧な「など」が頻出するので、数学的な正確さに欠けるんですよね。

 にもかかわらず、すべてをきちんと理解しようとするから、どんどん深みにはまってしまう。もっと簡単な税制にできるはずなのに、まるで古手の大型旅館のように増築が繰り返されてきた気配があるんだよな。おかげで税理士も失業することなく繁盛するわけですが、ボクはハタと気づいてしまったのであります。税制というのは、つまり政治であり国策だったんですよね。

 それこそ面倒で長い話になるので簡単に言い換えれば、税金のありようこそが国政の根幹といっても過言ではないのです。それを象徴するのが相続税でありまして、3代継承したらゼロといわれるほど急峻な累進課税になっています。これは太平洋戦争敗北後にアメリカからシャウプ博士が来日。「税制はこうしなさいね」という勧告を受けた結果ですから、占領軍の強い意向が反映されています。代々続く大金持ちを許しておいたら、自由で民主的な資本主義国家にはならないと判断したのでしょうか。日本国憲法も戦争放棄が高らかにうたわれているので、当時の統治担当者はアメリカではもはや不可能な理想を日本で実現しようとしたらしい。

 少なくとも、累進課税の相続税ならびに所得税は、税制というより政策の一種であることは間違いないわけです。法人税も含めて、税金に取られるくらいなら銀座のホステスクラブで散財しようと考える人もいるので、重要な経済政策でもあるんだよな。トランプ元大統領だって大金持ちを優遇する税制改革を実施。再選で勝利するために味方を増やそうとしましたからね。消費税ともなれば、これは思想とすらいえます。所得税はおカネの入口で課税するのに対して、消費税は出口で支払うことになります。おかげで金持ちも貧乏な人も等しく負担しなきゃいけないという不公平が発生する。社会主義的な理念とは真逆といっていいじゃないですか。

 この消費税を増税するということは、甚だしい所得格差を是認することになり、公平な競争を旨とする民主主義を阻害するのではないかと、ボクが野党なら言いたくなりますが、かくのごとく税制というのは政策にほかならないわけです。

 もしも政治を語るのであれば、税金を知らないでは済まない。代議士の方々は、そのあたりをちゃんと把握しているのかなぁ。財政の源泉は税金以外にあり得ないですからね。

 

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2021年2月 9日 (火)

話が逆だろ

 

 ダメな会社ほど目標の数字を派手にぶち上げるだけで、そのための方法論を言うことはありません。たとえば目指せ売上げン百億円をひたすら部署別に下ろしていくだけなので、結果的に社員に与えられるのはノルマしかない。達成方法を教えられていないのですから、泣き落としや、時には高齢者を騙すような犯罪的な営業に走ったりするわけです。 

 こんなことを経営やマネジメントなどと標榜したら、ドラッカーが真っ赤な顔をして怒り出すでしょうね。それと同じように、数字をこねくり回すことを政策と勘違いしている政治家が少なくありません。その典型がコロナ禍の緊急事態宣言なんだよな。テレビでは毎日午後3時に東京の感染者数を速報して大騒ぎするだけでなく、このままならステージ3とか4とか、いや7割減少したら緊急事態宣言も解除などと大声で解説していますが、そんなことの前に、政府や自治体が提示するのは目標数値ばっかりで、それを達成するための方法論がまるきり欠如していることに気づかないのでしょうか。

 どうすれば感染者が減少するか。これは1年も前からまったく同じで、要するに3密の回避です。しかしながら、これはあくまでもボクたちが心がけることであって、政府と自治体はもっと別のことをやるべきだったんじゃないかな。感染者の収容場所から救急救命体制の充実、医師や看護師など医療人の適正な配置や金銭的なケアなどなど、やるべきことは一杯ありますよ。飲食店の営業時短も同じで、中途半端に8時閉店にするくらいなら、休業できるほどの補償をするべきです。そもそも飲食店自体に感染の責任はないんですから。家にいろ、なるべく人と接触するなと、もはや分かり切ったことを指示する前に「いつ感染しても受け入れるから安心してね」とはあまりに言い過ぎにしても、医療に関してやるべきことは山のようにあるはずです。 

 それを見て見ぬフリして「帰宅したら手を洗ってうがいして」なんて子供を諭すようなことを言って誤魔化すんじゃないよ。そのくせ細かい数字による段階別の指標を出して、国民はそれに向けて努力しろというんだから、話が逆さまですぜ。いつどこで感染するか分からないからこそ、納税者を確実に保護する施策が先であって、数字なんか結果論に過ぎないじゃないか。ワクチンだって世界の先進国に比べて遅れています。いつまでB29に竹槍で立ち向かうつもりだよ。 

 テレビの評論家やコメンテーター諸氏も、それについてはまったく批評しません。国や自治体に楯突くと仕事がなくなるのでしょうか。これまではCSやBSばかり視聴してきたけど、コロナ禍なので朝と昼に地上波のニュース番組を横目で見るようになりましたが、やっぱりもうやめよう。ほとほと愛想が尽きました。ニュースはYouTubeでもまとめて見られるしね。

 女性蔑視で舌禍の森さんを近くで見たことがあるけど、悠々自適で引退できる人が権力に執着してはいけませんよ。功成り名を遂げたジーサンの進退は誰よりも潔くなきゃ。はぁ、これでも武士の国かよ。

 

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2021年2月 4日 (木)

コロナバブル

 

 こんなバカなことがあっていいのかなぁ。コロナ禍で飲食業や観光産業は危機的な状況だというのに、株式市場は高騰。アメリカのナスダック総合指数は過去最高を更新したそうです。日経平均にしても30年ぶりの高値を記録しました。

 株式市場だけでなく、不動産やビットコインも値上がりしているため、2月9日付けの「ニューズウィーク日本版」では早々と「コロナバブル、いつ弾けるのか」という特集を組んでおります。その一方で東京商工リサーチは、コロナが原因の倒産が全国で1000件、失業者も8万人以上と発表(2月2日)。飲食などのサービス業では、学生やフリーターといった表の統計から漏れる非正規雇用者が多いので、実際に収入源を失って喘いでいる人たちはこの程度の数字では済まないんじゃないかな。

 にもかかわらず、このような乖離というか分断が発生しているのは、日本もアメリカも史上空前の財政出動と金融緩和を続けてきたからです。ボクはまともに経済学を勉強したことがなく、専門用語は苦手なので感覚的に表現すれば、景気を浮揚させるためにじゃんじゃん刷り続けたお札が、折からのパンデミックで行き所を失い、株式などの投資市場に集中しているんじゃないかな。莫大なカネがボクたちの頭上でグルグル回っているというのに、「5割の世帯が生活苦を実感」(幻冬舎GOLD ONLINE2月4日)しており、緊急事態宣言の延長によって、路上生活者や自殺者もますます増えそうな気配を見せています。

 これが自由な経済活動を許す資本主義の現実といえばそれまでですけど、銀行などの金融機関と投資家の皆さんは大切なことを忘れているんじゃないかな。何億円も、いや何兆円もお金があったところで、それを食べて身体の栄養にすることはできないんですぜ。目の前に山のような札束があっても、空腹や喉の渇きを満たせるはずがない。それを使える飲食店と従業者と、世界中に網の目のように張り巡らされた流通が維持されてはじめて、ボクたちは豊かな食事にありつけるのです。そう考えれば、カネの行き所がまるきり違う、というより偏波な目詰まりを起こしているじゃねえか、となるはずなのに、投資市場が気にするのは金利だけなんだよね。 

 こんな悲惨な分断を生む資本主義はもうやめようといっても、それができるなら前世紀にとっくに実現していたはずです。ボクはかつて唯一の希望の灯としてクラウドファンディングに期待を寄せたのですが、某経済学者に「そのカネをどこに投資するのかね」とせせら嗤われたことがあります。いま思えば、こういうオールドエコノミストが普及を阻んだといえるかもしれない。ところが、コロナ不況のおかげといえば顰蹙ものですが、あちこちでクラウドファンディングの動きが活発化してきました。どこまで普及するかまだ分かりませんが、大きな可能性を秘めていることは間違いないんじゃないかな。

 繰り返しますが、お札を食べることはできません。株式市場などへの投資も結構ですが、カネなんて何かと引き換えにしない限りは数字の列に過ぎない。そのことをもっと強く再認識すべきではないでしょうか。

  

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2021年2月 2日 (火)

軍医部長・森鴎外の失策

 

 森鴎外といえば、夏目漱石とともに日本文学史上で双璧を成す大文豪です。それだけでなく、本業だった軍医としても、人事権を擁する最高位とされる陸軍省医務局長にまで上りつめました。

 ただし、ドイツ留学中に執筆した論文2本ともに臨床実験なしの切り貼りだった(ウィキペディア)など、近年になって毀誉褒貶が表出しています。その中でも、拭いきれない汚点として歴史に刻まれているのが脚気問題です。兵士の患者が急増していた脚気の原因について、軍医の森鴎外は細菌による伝染病説に固執。当時はビタミンこそ発見されていませんでしたが、それを含む麦飯が脚気を予防することが経験的かつ実証されていたにもかかわらず、これを黙殺したのです。

 1904年4月8日に、第1師団の鶴田軍医部長と第3師団の横井軍医部長が軍の食事を麦飯にするよう進言。けれども「麦飯供与の件を森(第2軍)軍医部長に勧めたるも返事なし」と『日露戦役従軍日誌』(横井禎次郎・著)に記されているそうです。日露戦争はからくも勝利しましたが、その陰で陸軍では約25万人にもおよぶ脚気患者が発生。うち約2万7000人が死亡に至りました。脚気がビタミンの欠乏による疾患であることが公的に認定されたのは、それから20年ほども経た1924年。森鴎外の死後2年目ですから、何かいわくを感じませんか。

 森医務局長が創設した臨時脚気病気調査会が原因の特定に貢献したという説がある一方で、脚気ビタミン説の否定に邁進しただけじゃないかという批判もあります。ボク自身は、後の薬害エイズなどの歴史を踏まえれば、森鴎外の失策にほかならないと考えています。ここでは略しますが、日本の行政は太平洋戦争の敗北を経てもほとんど変わることがなく、官僚は失敗しないという「無謬性の原則」が貫かれてきたからです。

 それはともかく、どうしてこんな昔話を今頃持ち出したかといえば、新型コロナでも、森医務局長と同じように、クラスターにこだわり過ぎたのではないかと疑っているからです。すでに面的な広がりを持つ市中感染に移行していたにもかかわらず、夜の街などのクラスター潰しに躍起になったのは、いったい誰の指示だったのでしょうか。ボクごとき素人でも海外の報道などで第2波や第3波の到来が予想できましたから、クラスターの徹底的な追求を一段落させて、PCR検査の拡充や入院体制の整備に軸足を移すべきだと思いますよね。 保健所にしても、爆発的に増加する相談者の対応や陽性者の隔離場所の振り分け、さらに濃厚接触者の調査などに追われたら、バンクしてしまうのも当然です

 結果的に医療や救急が逼迫し、本来は死ななくて済むはずの中高年や若者が自宅療養中に悪化して死ぬという悲惨な事態が起きています。いくら総理大臣が「申し訳ない」と頭を下げたところで、亡くなった人が生き返るはずがない。このような不備な対策、というより、そもそもPCR検査の普及に消極的だったのはどこの誰だったかくらいは、そろそろ特定すべきだと思うんだけどなぁ。政治家が判断できるわけないので、やはり厚生労働省の医系技官が関与しているとしか思えません。薬害エイズの時も、奥の院に隠れていた責任者が露見したのは被害が完全に終息してからだもんね。

 誰だってミスや間違いを犯します。それが分かったら修正すればいいだけですから、個人の責任を問い詰めるわけではありません。しかしながら、失策や誤謬を迅速に改めることができない組織には根本的な欠陥があります。最上位に座した1人の人間を崇め奉るあまりに、誤った決定でも覆すことができないんじゃないかな。誰かが止めれば、あるいは諫めてさっさと修正できれば、多数の命が救われたにもかかわらず、自分のクビを大事にして隷属と沈黙を続ける。流行語にもなった忖度が積み重なったピラミッド型組織によって、国家運営にかかわる重要な意思決定が、ボクたちには不可視な雲の上で行われてきました。こんなやり方を民主主義と呼んでいいはずがない。

 鴎外は「森林太郎の名前以外は墓に刻むな」と遺言したらしいですが、軍医としての致命的な判断ミスも火中に葬るつもりだったのでしょうか。死者を今さら糾弾しようというのではなく、陸軍省医務局長・森林太郎の失策を許した日本型組織が現代も継承されていることを、今こそ思い出してほしいのであります。

 

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2021年1月18日 (月)

普通の復権

 

 緊急事態宣言が出されているにもかかわらず、約53万人の若者を全国各地に移動・集合させる学力試験をどうして実施したんですかねぇ。中にはわざわざ離島から出てくる高校生たちもいたんですよ。超短期的な「GoTo」ともいえるじゃないですか。その結果がどうなってもボクは知りませんからね。

 さすがに「不要不急の外出」とは言いませんが、センター試験改め大学入学共通テストを現下の状況で同時期一斉に「強行」することに、果たしてどれだけの意味や意義があるのでしょうか。スマホで調べればたいていのことが分かる時代なのに、机に向かってクイズのような試験を解くことがどれだけ必要なのかなぁ。ましてや、その試験で人間を点数化して選別したところで、一生にわたってその学力が維持できるとは限らないですよね。

 緊急事態宣言は史上初の昨年に続いて2回目なので、繁華街の人出が比較され、「まるで減少せず、むしろ増加している地域も」なんてテレビで騒いでおります。こいつらはバカかって思いませんか。前回の時は、デパートなども揃って休業していたんですよ。店が開いていなければ、銀座や新宿なんかに行っても仕方がない。だから閑散としていたわけです。ところが今回は飲食店の時短営業とテレワークの要請程度。さすがに夜は出歩かないにしても、昼間の人出を止められるはずがありません。なのに、ああ、なのに、ですよ、歩行者天国だけは中止だってさ。やってることがメチャメチャに矛盾しております。

 新型コロナの影響が強すぎて、為政者は普通にモノを考えられなくなったのでしょうか。普通に考えればやめるべきことを無理強いする、普通に考えればあたりまえのことなのに嘆いたり批判したりする。さらには、要請に逆らったら罰則を付与することを本日から国会で審議するそうです。そんなことの前に、解決すべき課題や問題は山のようにあると思うぞ。

 すべては「大人の事情」で物事を進めようとするから奇想天外なことになっていくわけでね。普通に考えたことを、普通に実行すれば、期待した普通の結果に至るはずです。いわば普通の復権。これが今の日本の政治や行政に何よりも必要なことではないでしょうか。

 

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2021年1月15日 (金)

孤高のグルメは何処へ

 

 どうもね、政府や自治体は自らの無策を飲食業にどんどん押しつけることで、責任逃れをしているんじゃないかという気がしてきました。

 ここで改めて確認しておくと、食べたり飲んだりする時には、どうしたってマスクを外しますよね。この時に会話をすると、ウイルスが侵入する可能性がある。だからマスクなしで会話するのは控えようねってことでした。

 もっと過激に言い直せば、「黙って飲食しろ。話す時は必ずマスクをしろ。それでも多人数は危険だからやめろ」ってことじゃないですか。これはあくまでも飲食する側の態度の問題であって、店には何の罪もありません。近頃はほとんどの飲食店が常にアルコール消毒しているほか、透明なアクリル版の仕切りもあるので、できる限りのことはしていますよね。

 ただし、夜はどうしても酒がらみになり、居酒屋などに集まって会食すれば、次第にマスクなしの談笑が伴うことになります。これが感染を拡大させるので、午後8時の閉店が要請されたはずです。それによる飲食店のダメージは甚大であり、ボクの行きつけのライブハウスも休業を余儀なくされました。

 そのうえさらに昼間の外食も自粛しろというのですから、某チェーン店の社長が「ふざけんな!」と激怒するのは当然です。もしも飲食店に構造的な問題があるなら、午後8時までという悠長なやり方ではなく、新型コロナの隔離期間である2週間を前提として、余裕を加えた3週間の限定で完全休業にしたほうが効果的ではありませんか。その期間の休業補償が多額になるから、中途半端なことをやっているんじゃないかな。これでは店も客もヘビの生殺しですよね。

 東京都のモニタリング会議によるクラスター分析でも、「経済活動が活発になった第2波では医療機関が減り、企業や飲食店が大部分を占めた」とするものの、今回の第3波では高齢者施設が最多であり、「学校などの教育施設が40件、医療機関が38件、企業が34件に上り、クラスターの多様化が浮き彫りになった」と報告しています(日本経済新聞、本日付け朝刊)。

 第2波のクラスターで槍玉にあげられた飲食店にしても「接待が伴う飲食店」であって、一般的なレストランや居酒屋じゃないですよね。もちろん、飲食店で感染して家庭内に持ち込まれて発覚するということも否定はできませんが、路上で堂々と酒瓶を回し飲みする蛮勇を示した新成人がいたように、やはり問題は飲食する側にあるとしか思えません。

 にもかかわらず、今度は昼間の飲食まで自粛しろという。これはどうにも筋違いじゃないかな。前述したように、昼夜を問わず「食うなら黙って食え。話すならマスクをして話せ」を徹底すべきですよ。さもなきゃ早晩、飲食店は絶滅危惧業種になってしまう。

 孤高のグルメを自称してきたボクは、明日からどうすりゃいいんだろう。自炊も出前もすぐに飽きるんですから。「お一人様」の飲食も増えてきたようですが、やはり3週間に限定したロックダウンで痛みを互いに分かち合うのが最も有効な対策だと思うんだけどなぁ。

 

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2021年1月14日 (木)

風を受けて進め

 

 テレビに限られますが、菅首相を見ていると、番頭さんが主人になってはいけないとつくづく思わされます。日本の政治が国民を面前にするのでなく、奥の院=御簾の向こうで院政的、あるいは根回しや談合で進められてきたことを、これほどあからさまに体現した人物も珍しいんじゃないかな。

 安倍政権では内閣官房長官として活躍。カミソリのような切れ者と噂されたようですが、いったいどこがだよ。緊急事態宣言は出さない、いや出しますと短時日でフラフラ変更するだけでなく、会見があまりにもヘタ過ぎる。しかも頻繁に言い淀み、間違えることもしばしば。こんな人でも日本のトップになれるのですから、政治が国民の意思をないがしろにして進められてきたとしか思えないじゃないですか。

 少なくとも、紙に書かれた文字やプロンプターを読むのはやめたほうがいい、ドイツのメルケルもイギリスのジョンソンも、あのトランプでさえ自分の言葉で国民に話しかけているじゃないですか。ボクが個人的に最も贔屓にしているのは、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相ですけどね。そこらのオバサンが井戸端会議で話をしているかのように、聴衆に距離をまったく感じさせません。そのせいかどうか、かなり早期からロックダウンを敢行したにもかかわらず、国民が好意的に協力。新型コロナウイルスの封じ込めに成功したと伝えられています。

 首相在任中に産休を取って女児を生むという、相当にキモの座った女性でありながら、小池さんのような薄気味悪さがないんだよな。ロックダウン中は会見を毎朝行うだけでなく、「うふふふふ。今日はとても嬉しいことがあったので、子供と一緒に小躍りしました。だって感染者がゼロだったんですよ」。こんなスピーチができる政治家が果たして日本にいるでしょうか。

 海外の事例をひきあいに出すと、「だったら日本から出て行け」という人がいるようですが、良いことは率先して学ぶべきじゃないですか。国民の気持ちに寄り添えないリーダーなんて即刻クビにしたほうがいい。

 それもこれも、ボクたちはリスクを避けた2番手意識が強過ぎる。1番のすぐ後ろで風をよけながらチャンスを待つというか、旧軍隊の参謀のように、意見や文句はうるさいほど具申するクセに、結果責任は指揮官に押しつける人が少なくないんだよな。

 2番手は先頭を走る人の背中越しに世界を見ているけど、トップの人が眼前にする景色はまるで違います。菅さんは、自分が首相になってみて、官房長官とはあまりにも異なる政治責任の重さに当惑しているんじゃないかな。だからさ、番頭がいきなり主人になってはいけないのです。

 今さらこんなことを言っても遅いですから、学校でちゃんとしたリーダー教育をやっとけよ。決して難しいことではなく、先頭に立つことを怖れず、常に風を真正面から受けて進めってことなんですけどね。あるいは、他人の後塵を拝することを潔しとせず、たった一人で違う道を行くとかね。そうすれば、どんな振る舞いが卑怯なのか、誰が本当の勇気を持っているか、なんてことがすぐに分かるんだけどな。

 

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2021年1月 7日 (木)

小学生かっ?

 

 飲食店の閉店を午後10時から8時に前倒しにして、果たしてどれほどの効果があるのでしょうか。本日夕方に2度目の緊急事態宣言が「発出」されるらしいのですが、そのおどろおどろしい名称にはまるでそぐわない中途半端な内容に、怒りすら感じてしまいます。もしも飲食店が新型コロナの主要な感染源というなら、たった2時間程度の短縮ではなく、いっそ2週間に限って夜間は完全休業してもらい、その間の収入も完全補償するべきじゃないかな。ボクが居酒屋の店主なら、近隣の有志を集めて「これではヘビのナマ殺しじゃないか」と抗議に行きますよ。

 そんな憤懣を吹き飛ばすような悪い冗談が、調整に入ったとされる国会議員の会食ルールです。緊急事態宣言下の1都3県を対象として、会食するなら4人以下で、午後8時以降は控えるように衆参の両院で申し合わせるそうです。お前らは小学生かって大笑いしませんか。修学旅行のお菓子はいくらまでなんて、今どき学級会で討議しているのかなぁ。そんなもん、大人になったら自主的に判断するのが当たり前だろが。

 こんなレベルの低い連中が国家の運営に携わり、彼らから選出された総理大臣と内閣が、民主主義によって保証された私権の制限が伴う緊急事態を宣言する。バッカじゃなかろかと、改めて深く深く、マリアナ海溝よりも深く絶望します。感染予防よりも何よりも率先して、この連中をまとめて解雇すべきじゃないかな。はあ、いつまで続くんだろうか、この泥沼は。 

 そろそろ天災というより人災の側面が濃厚になってきました。その徹底的な分析と検証にもとづいて、新たな対応策を練り直すべき時期じゃないかな。

  

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