せこましい
誰から聞いたのか、あるいはボク自身の造語だったか忘れてしまいましたが、「せこい」と「いじましい」「あさましい」を一緒にした「せこましい」という言葉があります。あります、といってもテレビで聞いた記憶はまったくなく、仲間うちの会話でも使われないので、やはりボクだけの妄想的な造語なのかもしれません。
いずれにしても、近頃の風潮にぴったりの言葉だと思うんだけどな。とりわけGoToナンタラに群がり、地域共通クーポンもアテにするだけでなく、「トリキの錬金術」も話題になりました。これは居酒屋チェーンの鳥貴族にGoToEatを利用して300円程度の1品を注文。それによって1000円分のポイントを得るので、差し引き700円程度の儲けになるというものです。グループの限度である10人で10回同じことを繰り返せば合計で何と7万円の純利益。そんなわけで「トリキの錬金術」だの「鳥貴族マラソン」としてSNSで紹介されていたらしい。「弁護士ドットコム」というサイトによれば、農林水産省のGoToEatキャンペーン事務局では、こんなやり方でも「理論上、問題ない」と回答したというのですから驚きます。このポイントに費されるのは紛れもなく税金ですぜ。まともな利用者がバカを見るようなことを容認する施策があっていいのでしょうか。
さすがに見かねたのか、昨日に加藤官房長官は制度の見直しもあり得ることを示唆。続いて鳥貴族もポイント付与の対象を1000円以上のコースに変更したそうです。かくて「トリキの錬金術」は終了したと報道されていますが、近頃はこういう抜け穴を見つけるこすっからい連中が跋扈しているような気がします。システムや制度の脆弱な部分を探しまくって、すかさず自分だけトクをする。マスクの買い占めもそうでしたよね。現実を肌身で知らない政治家が増え、行政官僚もエリート街道まっしぐらの優等生ばかりなので、抜け穴を見逃した政策を作ってしまうんじゃないかな。
こういう「せこましい」ことはやめようよ、といっても皆さんやめるはずがありません。なぜなら、安倍政権では寄生虫のようにぶら下がるお仲間たちに利権を付与してきたからです。その典型が「モリカケ問題」であり、役人が自殺したにもかかわらず、関係書類ごと闇に葬られました。お上がそうなら、下々だって負けてはいません。特殊詐欺は横行し、フィッシングも大賑わい。法律やルールがどうあれ、倫理も道徳もかなぐり捨てて、とにかく儲けた奴が勝ちなのでありますよ。
以前に、ある会社の部長職の人から水増しの架空請求書を依頼されたことがあります。そのかわりにキックバックをよこせという。清廉潔白で倫理も道徳も大切にするボクは(自称)もちろん断りました。それによって彼の機嫌を損ねて仕事を失ったところで、やってもいない仕事の請求書なんて出したくない。それにしても、どういう会社なんだろうと思っていたら、経営が相当に悪化しており、沈没する船からネズミが逃げ出すように、退職者が続出する状況だったようです。どうせ破綻する会社なんだから、ちょっとばかり儲けて何が悪いという理屈なのでしょうか。
これはあくまでも一例であり、世の中には「せこましい」ことは少なくありません。けれども、真似をしてズブリと浸かれば、その汚れは一生取れないと覚悟したほうがいい。世の中がどうあれ、生きるのは自分自身ですから、自分が守るべき基準は自分が作って遵守していくほかないのです。目先のトクばかりを追いかけると、逆に世間という魔物の奴隷になっちまうぜ。
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