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福助くん その6

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    福助くん、9歳の秋です。 ちょっと長めの散歩をして、世田谷公園へ。 紅葉と福助をご覧くださいまし。

福助くん その5

  • 赤いサルビア♪
    2010年秋の福助くん。とある週末に埼玉県所沢市にある航空公園に行ってきました!

福助くん その4

  • 1 毎年恒例の・・・
    今さらですが、今年の花見の福助くん。ご近所の目黒川に行ってきました。

福助くん その3

  • 1 田舎に行ってきました!
    飼い主の田舎に行ってきた福助。うららかな春を迎えた大自然のなかで、いつもと違った表情に。

福助くん その2

  • 定位置
    平日は会社にいる福助。こんな感じの毎日です。

福助くん その1

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    笠木の飼い犬。甘えん坊でちゃっかり屋の8歳。雄。

小説・創作

2017年10月10日 (火)

クリエイティブ

 

 先週10月3日のブログで「奇妙な部屋」というホラー小説の習作にチャレンジ。今週は結末を書きますと予告しましたが、これが連休中の大変な難行苦行になってしまいました。どうもね、ボクは記者としてノンフィクションの仕事を長く続けてきたせいか、ストーリーテリングの才能に欠けているようです。

 

 ホラーやSFは、いかに民話や都市伝説、科学に触発されているとしても、基本的には純然たるフィクションであります。いわば絵空事の世界を完全なゼロ状態から構築していき、読者を戦慄または震撼、あるいは感動させなければならない。このように説明すると分かったような気になりますが、いざ自分で書こうとすると、ありきたりでどこかで読んだような内容に墜ちてしまうんですよね。というわけで、ホラーの結末はしばらく延期させていただきます。決して諦めたわけではなく、いつか機会を見て再びトライするつもりですので、お許しください。

 

 この挫折に対する精神的な反動なのか、やはり連休中に、普段使いしている腕時計の革ベルトをとんでもない色にしてしまいました。

 

 2000年前後にアラーム付きの機械式時計「クリケット」を購入。便利なのでずっと愛用してきたのですが、1947年に製作されたオリジナルを継承しているので、革ベルトなんですよね。承知のように革ベルトは猛暑が大敵でございまして、使い方にもよりますが、2~3年で汗染みが表面にまで浸潤することがあります。こうなるとみっともないので取り替えなければいけません。

 それに対して金属製のブレスレットは汗で傷むことはほとんどないので、永続的に使い続けることができます。交換のためのランニングコストが不要というメリットもあるせいか、高温多湿の日本では革ベルトよりも人気があります。ブレスレットのメタリックな輝きが「男のアクセサリー」としての役割も果たしているんですけどね。

 

 しかしながら革ベルトは、この交換がむしろ楽しみになってくるのです。素材や色柄などを変えれば、見慣れたはずの腕時計が新しい表情にリフレッシュされる。ボクのクリケットは金メッキなので、これまでブラウン系のレザーを合わせてきました。明るいものから暗いものまで、すでに7代目くらいになるかなぁ。

 

 ゴールドにブラウンというのは、想像していただけば分かるように、色味としては「鉄板」といっていい組み合わせです。ボクたちの肌の色にも違和感なくフィットするのですが、何しろ7代目ですからね。あまりにも似合い過ぎのオーソドックスな雰囲気に飽きてしまったのです。

 

 それでいろいろな色を合わせてみて、ボクがエイヤっと決めたのは、何だと思いますか? この続きは明日に、というのは冗談で、最初はレッドにしようと思っていました。けれども、なかなか気に入ったものがないだけでなく、ゴールドにレッドというエキセントリックなコンビネーションは、ヘタをするとライターとしての信頼感を喪失させる怖れもあるじゃないですか。

 

 そこで、ジャジャーンンンンン、ボクが思い切って選んだのは、何とイエローなのであります。しかもきっぱりと、どこまでも屈託なく明るいレモン色。いやもう目立つ目立つ。こんな革ベルトをしている人は東京でも滅多にいないはずです。しかし、革ベルトだからこそ、これくらいの「遊び」は許されるのではないでしょうか。

 

 この奇抜な選択を精神分析してみると、ホラーの習作で欲求不満を残したボクにおける、せめてものクリエイティビティの発露だったかもしれません。

 そこで話は俄然ぶっ飛びますが、政治にも国際社会が驚くようなクリエイティブがあっていいんじゃないかなぁ。たとえば安倍さんが突然に北朝鮮を訪問して、アメリカとの仲直りを進言するとかね。実際に小泉元首相は似たようなサプライズを決然と実行したではありませんか。安保があるから何がなんでもアメリカに追従するという大昔からの決まり切った外交方針に、そろそろ飽きてもいいんじゃないかなぁ。

 

 そこで「政治にもクリエイティブを!」というのが、ボクの最近のスローガンなのであります。

 

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2017年10月 3日 (火)

奇妙な部屋(前)

 

 今は建て替えられて真新しいビルになってしまいましたが、若い頃に半年ほど働いていた大手町の某ビルに奇妙な部屋がありました。

 

 2畳程度の細長い廊下みたいな空間で、窓はありません。そのせいか、夏でもコンクリートの冷たい湿気を感じる部屋でした。そこに灰色のイスと机が1セットと、蛍光灯のスタンドがあるだけ。普通の家やマンションならクローゼットかなと思うくらいのスペースですが、何しろ大手町の大型ビルですからね、そんな個人的用途とはおよそ考えられません。

 

 フロア自体は柱が少ない開放的な空間にもかかわらず、どういうわけだか変則的な狭小スペースがあったらしい。そんなところにわざわざドアをつけること自体が無駄じゃないかと思うくらいですが、この密室の隔離感がボクたち記者にとっては原稿書きの絶好の環境となったのです。

 

 どう考えても合理的な存在理由は見つからなかったのですが、ボクたちは自虐的に「お仕置き部屋」とか「折檻部屋」というニックネームで呼んでいました。締め切りがもうすぐなのに原稿がちっとも進まないという切羽詰まった状況の時に「ちょっと折檻部屋に行ってきまーす」という感じですね。デスクから「お前さあ、そろそろ折檻部屋行ってこいよ」と促されて、「げっ!」という用法もあります。

 

 今のようにケータイなんてなかった時代に固定電話も置いてなかったので、何からも煩わされないというメリットがある反面で、前述したように窓がないですから、世間のことや時間の経過がほとんど感じられません。原稿に集中して「やれやれ終わった」と外に出たら、デスクも含めてみんな飲みに出て誰もいないなんてことはしょっちゅうでした。

 

 さて、この部屋で明け方まで原稿に取り組んでいた奴がいます。

 彼は原稿用紙のマス目を埋めながら(当時はワープロすら普及していなかったので)、ふと奇妙な物音に気づきました。仕事をしながら聞く気もなく耳に入れていると、どうやら人の声らしい。何か言っているようだけど、あまりに小さくて聴き取れないので、2Bの鉛筆を止めて、じっと耳を傾けるようになりました。

 

 すると、しくしく泣いているような若い女性の声らしいことが分かったのです。もしかすると、ここは本当に折檻部屋だったのかなと背筋がひんやりしたそうです。

 それと同時に、壁に残された消し損いのような薄い落書きにも気づきました。ほとんど読み取れないのですが、目を近づけて何度も見直すうちに、どうやら9月31日と書いてあることが分かりました。9月は小の月で30日までしかないので、31日なんてあり得ません。「なんだこりゃ」と不思議に思うと同時に、それまで小さくて聴き取れなかった人の声のような音が、悲しそうな泣き声に変わり、いつしか恨みを込めたような重低音になっていきました。その声が酸素を奪ってしまうのか、次第に息苦しくなり、このままでは窒息してしまうぞと意識した時に「はっ」と目覚めたそうです。

 

 何だよ夢だったのかと笑いながらも、あまりにも現実感が強かったので、すぐに部屋を出て、オフィスの端にある来客用のソファにへたり込みました。落ち着いてから、念のために例の部屋のほうを振り向いて見ると、ドアの隙間から灯りが漏れているではありませんか。スタンドを消して出たはずなので、そんなはずがない。腕時計を見ると深夜の3時半です。誰もいないのに、なぜだろうと訝しく思いながらも、たった1人でドアを開けるのが怖ろしくて、書類をそそくさと片付けて会社を出たそうです。

 

 あまりにも不思議な体験をしたので、翌日の午後に彼はビルの管理室に行きました。そこで最古参の警備員に「あの部屋はいったい何ですか」と聞いたわけですね。

「何かありましたか?」

「何かありましたかということは、以前に何かあったんですか?」

「まぁ、なくもなかったですけど」

「だったら教えてくださいよ」

 

 という会話から分かったのは、、、、、、、長くなったので、この続きは来週月曜日にしようかな。ネタ枯れで適切なブログのテーマを思いつけなかったので、いくらかの事実に基づいたホラーの習作にチャレンジしてみました。くれぐれも実話だと思わないでください。

 

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2017年9月14日 (木)

感性の言語化(後)

 

 昨日は威勢のいいことを書いてしまいましたが、そもそも言語というのは感性を表現するために生まれたといっていいんですよね。けれども、文化や文明が発展するうちに、論理や解説的な言辞が優先され、さらには理系の科学やテクノロジーのほうにも偏ってしまい、本来はボキャブラリーがどんどん蓄積されていかなきゃいけない感性的な分野が置いてきぼりになってしまったのではないでしょうか。

 

 ボクの仕事では、その代表的な分野が「味」であり、次に「景色」ということになるわけです。いずれも形容表現が未発達なせいか、手垢にまみれた慣用句が少なくないんですよね。たとえば「味」なら「ジューシィ」だとか、「脂っぽくなくてあっさり」とかね。ボクが最も抵抗を感じたのは、生シイタケを焼いたものを「ジューシィ」とした文章です。いくら水分が豊富としても、菌類が集まったキノコが果たして「ジューシィ」かなぁ。シイタケに歯をあてた瞬間に汁が吹き出るようなイメージですよね。これは逆に乾いていないことを強調する「しっとり」と表現したほうが適切ではないでしょうか。「脂っぽくなくてあっさり」に至っては、ちっとも美味しそうに思えません。パサパサで味気ないってことかなぁ。そんなのよりも「脂っぽくてギトギト」のほうが旨そうに感じるのはボクが男だからでしょうか。

 

 景色についても類型的な慣用句はかなり多くて、秋も深まってくると「燃えるような紅葉」が頻出します。しかし、そこまで深紅に染め上がった紅葉は現実には珍しくて、黄色や褐色やオレンジ色や赤が入り混じったほうが多くはないですかねぇ。そうした色彩混淆状態は「燃え上がった」とは言えませんが、ではどのように形容したらいいでしょうか。

 

 そんなわけで、ついありきたりな慣用句を使いたい時に「ちょっと待てよ」と心にブレーキをかけ、「さてどうしよう」と迷うことが本当に多いのです。文章というのは基本的には誰でも書けますが、ことほどさように適切な形容というのは誰でも思いつけるものではありません。その意味では最初に「燃えるような紅葉」を発明した人はすごいと尊敬してしまいます。けれども、慣用句となった段階で、そんなことは忘れてしまい、みんながあたかも自分の言葉のように使ってしまうんですよね。

 

 かといって特許を取得できる科学分野とは異なり、言葉の権利を占有されたら、人間の会話はどんどん不自由になってしまいます。そんなわけで、こうした微妙かつ繊細&複雑な狭間で、ライターはオリジナルな表現を探すことに腐心しているんですよ、ということをちゃんと伝えたくて、グダグダと2回も続けてしまったわけですね。

 

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2017年9月13日 (水)

感性の言語化(前)

 

 ここ2年くらい、新しい分野として「味」の表現に挑戦してきました。というのも、グルメ関連の記事はインターネットも含めて山のようにありますが、「うまーい」「おいしーい」「さっぱりしてる」「トロトロ」といった曖昧なものばかりで、他者に味を正確に伝達した文章はほとんどないといっていいからです。

 

 素材の特性や調理方法、栄養価、店内の雰囲気やインテリア、それに店主の人柄といった周辺情報にはおよそ事欠かないのに、肝腎の料理の味についてはまるきりスルーされた記事ばかりではないでしょうか。「旬の味」というなら、具体的にどんな味なのか。旬とそうでない時期とどのように味や食感は違うのか。そこまで掘り下げた記事にお目にかかることは滅多にない、というより、ボクは読んだことがありません。小説などの文芸方面は別ですけど、こちらは芸術的&私的な感情が強過ぎて一般的とはいえないと思います。

 

 だったらオレがやってやろうじゃないの、と果敢にチャレンジしてはみましたが、いやいや相当に難物なことを痛感しました。たとえば焼肉にしても、あなたはどのように旨さを友人・知人などに説明しますか? 「すっげぇ美味しい」とか「甘辛のタレが絶妙」「肉が柔らかい」程度で、実は肉の味については何も言っていないのと同じですよね。テレビのグルメ番組のリポーターも似たようなもので、芸のないタレントほど食べた後に数秒の沈黙を経て、「んまーい!」と大げさに顔をしかめる。それで視聴者に味が伝わるはずがない。

 

 実は味の基本要素は、甘味・酸味・塩味・苦味・旨味の「五味」とされています。だから「あまーい」「すっぱーい」「しょっぱーい」「にがーい」と言えば、味の概要は何とか伝えることができます。重ね技として前述した焼肉のタレのように「甘辛い」「苦甘い」という表現でも、その複雑さを感得してもらうことは可能です。

 ところが、ですよ。「旨味」だけは、いくら「うまーい」と連呼しても、食べていない側には見当もつきません。「どのようにうまいんだよ」「とにかく頬が落ちそうなくらいで」「頬が落ちそうというのは?」などと禅問答を繰り返すことになりますよね。

 

 つまり、味の表現というのは、この形容不可能とすら思える「旨味」を説明することが基本になってしかるべきなのに、それができていないのです。

 

 言語表現がほとんど沈黙してきた未踏の分野といっても過言ではないとボクは思いますが、科学的には「旨味」の成分はすっかり解明されています。ウィキペディアによれば、主としてアミノ酸であるグルタミン酸、アスパラギン酸、それにイノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸など。歴史をたどれば、1908年にダシ昆布から初めて発見された旨味成分がグルタミン酸です。続いて18年には鰹節からイノシン酸、ちょいと飛んで57年にはシイタケからグアニル酸が発見されました。

 

 このように特定の成分が抽出でき、その分子構造が解明できれば、化学合成も可能になります。それで前述のグルタミン酸をベースとして1909年に商品化された新しい調味料が、「味の素」なのです。

 

 しかしながら、だからといって「旨味」が言語として表現されたわけではありません。たとえば乾しシイタケはグアニル酸をたっぷり含んでいるので旨い、といわれて誰が納得できますかねぇ。そんなシイタケから取ったダシの深いコクをどうすりゃ他人に分かってもらえるのか。

 

 そんなわけで、ボクは旬の食材を相手に孤軍奮闘を繰り返してきたのですが、またまた感性表現に強敵が加わりました。それは「景色」であります。たとえば絶景といっても、何がどう絶景なのか。これからの時期なら紅葉ですけど、取って付けたような「燃えるような紅葉」ばかりではないですよね。それを見て感動することをどのように表現するかも、やはり未踏の領域なんだよなと再認識したのであります。つい長くなったので、続きは明日ということで。

 

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2013年8月19日 (月)

質量保存の法則

 

 最近はなぜだかケータイやスマホのカメラで食事前に料理を撮影する人が増えてきたように感じます。そういえば、都知事選にいつも出馬する東大出身の自称「エジソンを超えた」発明家は大昔に同じことをやっていました。自分の食べた料理の写真をアルバムとしてまとめるだけでなく、そのデータを分析して「アタマの良くなるオヤツ」みたいなものを「発明」していた時期があります。

 

 私はこれを食べてきたから発明のひらめきを得た=アタマが良くなったという理屈ですから、何という自信家だろうと呆れるほどですが、そのオヤツというのが姿カタチも味も浅草煎餅そっくりだったと記憶しています。なぜ知っているかというと、取材のついでにススメられて断り切れなかったからです()。アタマはちっとも良くなりませんでしたが。

 

 でも、食事の前に料理の重量を計測する人はまだいないんじゃないかな、ということで、そんな男を主役にした小説が書けないかと構想しています。

 

 コトの発端は、健康診断でこまめな体重測定を勧められたことです。糖尿病などの生活習慣病が想定される年齢ですからね。そのためには体重計が必要ですけど、独身男でそんなものを持っている奴は変人といったほうがいい。そこで家電量販店で格安のデジタル体重計を購入。朝・晩の2回測定することを習慣にしようと考えました。

 

 当初は75キロレベルで安定して推移していたのですが、ちょっと多忙で1週間ほどサボっているうちに2キロほど増えているではありませんか。煙草をやめてから食事が美味しくなったという自覚はありますが、1週間で2キロも増えるような食事をした覚えはありません。むしろ以前より食事量は減っているはずで、酒の量も激減といっていいほどです。

 

 にもかかわらず、なぜ体重が2000グラムも増えたのでしょうか。物質が化学反応しても、その前後の総質量は変化しないとする「質量保存の法則」によれば、いくら食べたものがすべて血肉になるにしても、その総量より体重が増加するなんてことはあり得ません。極端にいえば、何も飲んだり食べたりしなければ、体重は減っても増えるはずがないのです。

 

 でね、その主人公はどうにも自分の体重変化に納得がいかないので、検証を試みることにしました。つまり、自分が飲んだり食べたものの重量を記録することにしたのです。痩せたい時には摂取カロリーを計算しますが、この主人公の場合は物理法則を無視したことが体内で起きているのではないかと疑ったので、重量がポイントになるわけです。

 

 かくて、食事の時には肉が200グラム、生野菜が40グラム、煮物などで40グラム総計280グラムなどと記録するようになりました。飲み物はすべてペットボトル経由にすることで重量として計算しやすくしたのです。

 これらを累積して、それ以上の体重増加があったら自然科学の常識を変えるようなことが起きていることになります。

 

 幸いに、そのような事態は起きませんでした。けれども、すぐに彼は「入り」だけで「出」を測っていないことに気づいたのです。つまり、尿と便の重量も計測して「入り」の重量から差し引いてから比べないと「おかしい」とは言えません。ところが、液体のほうは尿瓶で何とかできても、固形のほうはどのように計測すればいいのか。いつも固形とは限らず、体調によっては流体状の時だってあるはずなので、これをどのように計測すればいいのか……。

 

 などと話は延々と続くわけですね。このように構想はまあまあ()でも、うまいエンディングが思いつかないので、この段階で放置しました。もし体重が飲食の総量より増加していることが検証されたら、SFか不条理小説にしなきゃいけない。けれども、そうなるともっと破天荒な想像力が必要になるんですよね。

 

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2011年7月13日 (水)

「珍品堂モノ語り」(習作2)白い貝殻

 東京・山手線内側の都心でも、何かの事情で開発から取り残されてしまった場所がいくつかある。渋谷の隣駅の恵比寿にも、昭和な感じの木造2階建てアパートや廃屋が軒を連ねる一画があり、その中に沈み込んだかのような目立たない店が、珍品堂だ。

 板の切れ端にぞんざいに書かれた店名の横には、小さく「売ります、買います」とある。

 初夏の暑い日に、ダークグレーのスーツを着て、大きなカバンを持った若者が、珍品堂の前で佇んでいた。流れ出る汗を、しきりにハンカチで拭いている。

「遠慮せず、入ったらどうかな」と、ふいに店主が奥から表れて彼に言った。

「いえ、特に買い物の予定もないので」

「果たして、そうかな」と店主は呟いて背中を向けた。

 若者は自然に、その店主の後を追う格好になって中に入った。珍品堂の玄関はガラス戸なのだが、いつも開けっ放しになっているのだ。

「まだ就活中なんです」と彼は恥ずかしそうに言った。

「スーツを着慣れていないから分かったよ。それにネクタイの結び目をいじるのも、慣れない証拠だ」

「だからかなあ……」

「みんな一緒なのだから、それが理由で落ちたわけではあるまい」

「でも、内定を決めた奴はみんなちゃんとしているみたいなんです」

「くだらん」

「僕も早く決めないと、大変なことになっちゃいますから」

「まあいい。店に入ったのだから、忘れなさい、そんなことは」

 若者は店内をまず目だけ動かして見た。それからゆっくりと首を回した。

「ヘンな店ですねえ」

「余計なお世話だ」

「コンセプト、っていうんですか、商品構成がバラバラで統一感がないですよね」

「そういうことはズケズケ言えるんだな」

「経営学部なので……、すいません」

「まあ、いいよ。好きなだけ見てくれ」

 しばらくウロウロしていると、若者はふと白い貝殻を目にして、手に取った。

「ふーむ。それが呼んだのか」と、店主はいわくを語り始めた。

 ある地方の有名進学高校で、その事件は起きた。女子生徒が2年生の終わりに失踪してしまったのだ。担任の先生は、理由を知っていた。それ以前に、親が突然に「来年度に転校させる」と通告してきたからだ。いなくなったのは、その女子だけでない。もう1人、ある男子生徒も消息が分からなくなっていた。

 女子生徒の親は地域の素封家で、手広く事業をやっていた。どうやら彼女は、その男子生徒と恋仲になったらしいのだが、彼の親父は飲んだくれで無職。母親の仕事で何とか生計を立てている家庭だった。それでは釣り合わないということで、以前から注意はしていたらしい。ところが、若い男女は止められれば、それに絶対に逆らう。ロミオとジュリエットですな。

 そんなことの繰り返しの中で、「いっそのこと」と駆け落ちすることにしたらしい。

 今では、そんなに頑固で厳しい親は絶滅寸前。高校生も昔よりずっと賢くなってきたので、駆け落ちなどという、どう考えても割に合わない、ハイリスクな選択などしないだろうが、昔はそういうことが実際にあったのだ。

 もちろん想像の通り、こうした若い純愛の末路は悲惨である。17歳で何とか東京にやってきても、高校中退の身元不明では、まともな仕事には就けない。男は何とかツテを探して、短期の派遣仕事を繰り返した。保証人がいないので、アパートも借りられず、都会を漂流するように暮らすことになった。

 それでも彼女は幸せだった。好きな男子と一緒にいられるのだから。彼もまた、酒乱の親父と気の弱い母から逃げられたことに解放感を得ていた。もう帰るつもりなどない。何とかして、この都会を生き抜いて、彼女を幸せにしてやるのだ。

 それから1年もすると、彼はある暴力団の下部組織で使い走りをしていた。彼女は年齢を隠して新宿・歌舞伎町のクラブでホステスになっていた。彼は自分の将来を描くことができず、彼女も酔客のしつこい口説きに閉口するようになる。それまでまったくなかった口喧嘩を、落ち着くに連れて頻繁にするようになった。彼は彼女の浮気を疑い、彼女は彼への失望を深めていった。

 そして、しばらくすると、彼女は置き手紙をして粗末な安アパートを後にした。その手紙の上にあったのが、白い貝殻だ。彼と彼女が最も幸福だった頃に、手をつないで歩いた海岸に落ちていた。

 彼女は実家に連絡して、「これから帰る」と短く伝えてから列車に乗った。その頬に一筋の涙の跡があった。

 だが、例によって、話はこれで終わりではない。

 それからおよそ10年の歳月が経過した。

 東映の実録ヤクザ路線なら、彼はヒットマンとなって抗争に参加。敵の組長を拳銃で射殺して、自首のために出頭する途中で、偶然に彼女と出会って貝殻をそっと渡すなんて場面になるだろう。

 ところが、彼が末端で手伝っていた組織の組長はなかなかの人物で、暴対法によってシノギがどんどん厳しくなることを知っていた。「お前は○○高校だったろう。もともと頭はいいんだから、こんなことをやっていてはいかん」と、旧知の政治家の書生にしてしまったのである。

 それから彼は勉強して大学入学資格検定(現在は高等学校卒業程度認定試験)に合格。その後、大学を卒業して、その政治家の秘書になった。

 一方、彼女は親が決めた、つまらん男と結婚した。無断で家出して帰った以上は、もう親に逆らうことはできない。だが、財産があることだけが取り柄の男で、すぐに彼女に飽きてしまうと、ほぼ公然と浮気を繰り返す。政略結婚なんて、そんなものです。かくて、彼女の親も辛抱できなくなり、離婚させてしまった。

 その頃に、彼が師事した政治家は心筋梗塞で突然に亡くなり、跡を継いで立候補することになった。慌ただしく周りは準備を進めているが、彼は今ひとつ乗り気になれない。彼は彼なりに、彼女の消息を調べていたのだ。

「今まで本当にお世話になりましたが、どうしてもやらなければならないことが残っています。3日間だけ、僕を自由にさせてください」

 そんな手紙を残して、彼は生まれ故郷に戻った。そして、再び彼女に会って、残された白い貝殻をもう一度手渡したのである。

 リクルートファッションの若者は、この話を聞いて「随分と運のいい人たちですね」と店主に言った。

「人生にレールは1本と決められているわけではない。これからいくつも違ったチャンスがやってくる。だがな、諦めたら、それで終わりなんだ」

「理屈はそうでも、社会の入口で失敗すると、非正規で一生を終えるなんてことになっちゃいますよ」

「そういう姿勢だから落ちる。今の会社にぶら下がりやしがみつきを入れる余裕はないはずだ。だから、会社なんてのは、入れてもらうのでなく、オレが入ってやるという気構えでなければ、評価されないぞ」

「そうかなあ」

「さあ、これを買え」と店主は、白い貝殻を押し付けた。

「押し売りみたいですね。でも、話を聞いていると縁起は良さそうだな。いくらですか?」

「10万円だ」

 若者は驚いて目を見開いた。

「ちょっと、あまりに高いですよ。ただの貝殻じゃないですか」

「ただし、ある時払いの催促なし。お前が払いたくなったら、この店に持ってこい」

 果たして、この若者がうまく就職できたのかは分からない。ただ、採用面接には、その白い貝殻を握りしめて臨んだという。

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2011年7月12日 (火)

「珍品堂モノ語り」(習作1)

「この店はね、元気な人には見えないんだよ」

 珍品堂、と書かれた看板、というより板きれと言ったほうが適切だが、その名前に惹かれてふと入った店の奧から、主らしい人の声が聞こえてきた。白髪まじりの頭から想像するに、60歳前後らしい。顔はまだよく見えない。

「どういうことですか?」

「普通の人は、こんな小汚い店に興味なんか持たない。だから見過ごしてしまう。けれども、時々あんたのようにフラリと入ってくる客がいる」

「何となく面白そうだなと思ったので」

「それだけではないだろう」

 確かに、それだけではなかった。ひどく疲れていたのだ。うまく社会に適応してきたと思いこんでいたが、どうやらそうではなかったらしく、昨夜はひどく悪酔いして、上司と激論してしまったのである。会社の業績も下降気味で、レギュラーだったはずの取引先を失った。それが私のせいだと、ヤツが指摘したのが理由だ。殴りこそしなかったが大声で「バカヤロー」だから、悪い印象を持たれたに違いない。

 それが後をひいてしまい、翌日は体調不良を利用に会社を休んだ。きっと今頃、上司はあの一件を社内で吹聴しているに違いない。それを想像すると、ますます気持ちが萎えてしまう。いっそ辞めてしまおうかと思いながらマンションを出て、フラフラ歩いているうちに、この店を通りかかったのだ。

「こちらは骨董屋さんなんですか。それとも古道具屋かな」

「そうでもあり、そうでもない」

「壷だとかの焼物系はほとんどありませんよね」

 そう言いながら目を泳がすと、古びた壁に掛けてあった絵を見つけた。目を凝らしてよく見ると、完成したジグゾーパズルだ。

「あれはジグゾーですか。でも完成したものなんて誰も買わないですよね」

 そう言いながら、ゆっくりとその絵に近づき、表面を指で軽く撫でてみた。

「これ、一つピースが欠けていませんか」

「ああそうか。それが呼んだのだな」と店主は言う。

「何だかいわくがありそうですね」

 そう訊ねると、店主は私の目をじっと見つめて、話を始めた。

 高校時代に意気投合して、親友になった2人の男がいた。1人は真面目な努力家だが、もう1人は要領良く立ち回る外向的な男だった。お互いに違う性格なので、逆にウマがあったのかもしれない。

 進学した大学も学部も違うのだが、つかず離れずで交流を続けてきた。真面目クンは卒業後に上場企業に就職。一方、外向クンは就活をナメていたせいで、卒業ギリギリになって中小企業に入ることになった。

 別々の会社に就職すると、普通は縁遠くなるものだが、彼らは年に数回は会っていた。

「いいよな、大手の会社は。オレのとこなんか社長がワンマンで大変だよ」と外向クン。

「給料は確かに悪くないけど、僕の大学のランクでは下っ端間違いなしで出世なんて無理だからさ」

 そんな日常が変わり始めたのは、意外なことに真面目クンが酒酔い運転で事故を起こしてからだ。

 真面目クンらしくないことだが、取引先とのトラブルで珍しく酒に走った。そんな時に親から連絡があり、母親の具合が良くないという。たまたま会社の営業車で帰宅していたことから、その車で2時間ほどかかる実家に向かってしまったのだ。事故は幸いにも電柱にぶつかった程度。違反も酒酔いでなく酒気帯びで、書類送検で済んだのだが、営業車を使っていた関係で会社は彼をあっさりと解雇した。

 その頃に、外向クンも危機に陥っていた。取引先に誘われて行った闇カジノにはまってしまい、数百万単位の借金を背負ったのである。真面目クンはいきなり会社のレールからはじき飛ばされ、外向クンも抜き差しならない。

「僕は真面目にやってきたように見えるかもしれないが、今度の件で、つくづく社会がひどく冷たいところだと分かった」と真面目クンは言う。すると外向クンも「結局は人をダマしたヤツが勝ちなのさ」と応じた。

 それで彼らは、いつか2人で会社を立ち上げるために、「オレオレ詐欺」に手を染めることにした。方法は闇カジノのマネジャーが紹介した男が教えてくれた。アガリの2割が条件だ。2人の目標は、半年で3000万円。それさえあれば、何か店でもやれるではないか。

 それから半年後に、真面目クンが社長で、外向クンが専務という会社が誕生した。仕事は、外向クンの会社が扱っていた部品の販売であり、当初はうまくいっていた。だが、不良品を納品したことで、会社の信用を一気に失ってしまった。

 しかし、その頃に彼らは、ある女性と知り合いになった。彼女は富豪の娘であり、うまく結婚できれば確実に逆タマになれる。そこで2人は真剣に相談した。どちらが、それを取るか。

「お前に譲るよ」と真面目クン。

「いや、彼女はともかく、あの親はオレよりお前を信用するはずだ」

 このあたりが親友同士らしい思いやりなのだ。まだ付き合い始めで、どちらにも好意を持っているようだから、1人に決めれば何とかなる。

「仕方がない。後腐れのないジャンケンにするか」と外向クンが言う。

「じゃ勝った方がモノにする権利を得ることにしよう。1回じゃ何だから、3回勝負な」

 深夜のバーで、人生を賭けた真剣なジャンケンが行われ、外向クンが勝った。

「僕はボロ会社と心中か」と真面目クンはため息をついた。

「心配するな。うまく行ったらカネを回すから」

 外交クンは持ち前の口説きトークで、短期間に結婚に至った。ところが、逆タマ亭主ではカネはそれほど自由にならない。親の会社に転職してから結婚し、豪邸に住んではいるが、親が死んで相続するまでは無理なのだ。

 その間に、真面目クンはますます窮地に陥っていった。

「カネはどうなった」

「まだ無理だよ」

 債権者からの厳しい催促で、真面目クンは再び「オレオレ詐欺」に手を染めることに。だが、その頃は警察の監視も厳しくなっており、逮捕される恐れが出てきたので、真面目クンは夜逃げを決心した。

「そんなわけで、しばらく海外に逃げるよ」

「大丈夫か。すまないなあ、オレが勝ったばかりに」

「高校の頃に、退屈しのぎで2人で作ったジグゾーバズルみたいなものさ」

「あれ、まだ持っているのか?」

「ああ。結局、僕はあのジクゾーからはじき出されてしまったんだろうね。最初の会社まではうまく嵌めてきたのに、ちょっと揺れたらポンって抜け落ちてしまった。それまでの苦労が水の泡だよ」

「そんなことはない。また、合わせればいいんだ」

「残ったピースは1枚しかないんだよ。だから、お前にこれをやる」

 真面目クンが広げた手の中には、1枚のジグゾーピースがあった。

 話はここで終わらない。外向クンは、妻との仲が次第に冷えてきたのである。酔った勢いで漏らしてしまった「ジャンケン」がショックだったらしい。真剣な恋ではなく、グーチョキパーで勝手に決められたのだから、これは無理もない。

 妻は別の男と浮気を始め、やがて離婚話に。そうなれば、外向クンは一気に何もかも失うことになる。その怖れと怒りとヤケもあって、ある夜に口論の果てに妻を包丁で刺してしまった。

「これが、そうだよ」と店主は、ポケットからシミのついたピースを出した。

「すると、このシミは血ですか」

「絵に嵌めてみたらどうかな」

 やってみると、ピタリと合うはずなのに何かが違うらしく、カチリとうまく嵌まらない。

「絵柄は間違いないが、ピースが歪んだんだろうな」

「いろいろな人生があるものですねえ」

「で、どっちを買う?」

「はあ?」

「このピースか、あの絵か。両方買っても、絶対に完成はしないが」

 未完成のジグゾーを飾る気もしないが、血のついたピースも不吉きわまりない。

「買わなければいけない、ということもないですよね」

「あんたには、こっちかな」と店主は強引にピースを押し付けてきた。

「いくらですか?」

「500円」

「そりゃ助かりますが、ちょっと安くないですか」

「その程度の小話だからな。これはあんたのお守りにしなさい」

 それが作り話だったのか、本当の話なのかは分からない。黒いシミも血とは限らないだろう。いずれにしても、私は翌日に出社して、上司に暴言を詫びた。

 おかげで会社というジグゾーのピースに、無事戻ることができたのである。

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